臨床病理

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臨床病理(りんしょうびょうり)は用法に揺れのある用語であり、歴史的には臨床検査ないし臨床検査医学の意味で用いられてきたが、 文脈によっては病理診断の意味で使用される場合もある。

臨床検査の意味での臨床病理という用語は英語の"clinical pathology"に由来する。 米国では、歴史的な事情から、臨床医学としての病理学である"pathology"は、"anatomic pathology"(直訳すると「解剖病理」)と "clinical pathology"(直訳すると「臨床病理」)の2つの主要な領域に大きく区分されている。 "Anatomic pathology"(「解剖病理」)は日本の病理診断学に概ね対応する。 "Clinical pathology"(「臨床病理」)は検体検査を主に扱う領域であり、日本の臨床検査医学に概ね対応する。 この区分は専門医制度や教育体系にも反映されている[1][2]

第二次大戦後、米国から日本に臨床検査医学が導入された当時は、 米国の"clinical pathology"の直訳により「臨床病理」と呼ぶことがよくあり、 臨床検査に関する学会[注 1]や大学の講座[注 2]の名称も当初は「臨床病理」を冠していた。 しかし、検査の意味での「臨床病理」は、「病理」の語を含むため病理診断と混同されやすいことが指摘され、 2000年には日本臨床病理学会も日本臨床検査学会に改称している。 近年は、検査については「臨床検査」が一般に使用されており、 検査の意味で「臨床病理」を使用する例は限られている。 また、「臨床病理」は、基礎医学としての病理学に対する、 患者検体の診断を行う臨床医学としての病理学(病理診断学)という意味で用いられることがある [3][4][5][6][7]

このような用語の変遷や用法の揺れがあるため、歴史的な文献を参照したり、英語文献の"clinical pathology"を解釈・翻訳する場合は、混同に注意を要する。

用例

「臨床病理」の意味するものは文脈によって異なるため、解釈には注意を要する。

臨床検査という意味での「臨床病理」用例

以下の例の「臨床病理」は臨床検査を意味する。

  • 日本臨床病理学会 - 日本臨床検査医学会の旧称(2000年に改称)[8]
  • 臨床病理 - 日本臨床病理学会が機関誌として発行していた学術雑誌(ISSN: 0047-1860)。日本臨床検査医学会への改称後、2021年より雑誌名も「日本臨床検査医学会誌」に変更となった[9]
  • 臨床病理レビュー - 日本臨床検査医学会の臨床病理刊行会が2023年まで発行していた臨床検査の学術雑誌(ISSN: 1345-9236)[10]

以下の獣医学領域の「臨床病理」もヒトの臨床検査に対応する概念である。

  • 日本獣医臨床病理学会 - 動物の臨床病理学(疾病の診断法、疾病の病態の評価法、治療効果の評価法など)を扱う[11]
  • 東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医臨床病理学研究室 - 動物の臨床検査に関連した研究を多く実施[12]
  • 「伴侶動物の臨床病理学 第3版」 - 緑書房から発行されている伴侶動物の臨床検査に関する学術書(ISBN:978-4-89531-377-3、2019年発行)[13]
  • 「獣医臨床病理学」 - 近代出版から発行されている獣医学領域の臨床検査に関する学術書(ISBN978-4-87402-640-3、1998年発行)[注 3][14]

病理診断関連の「臨床病理」用例

「臨床病理学」/「臨床病理科」の名称の意味は施設によって異なるが、 「病理診断学」/「病理診断科」を意味したり、業務内容に病理診断を含む場合がある。以下、例をあげる。

  • 新潟大学医学部 臨床病理学分野 - 基礎医学としての病理学と臨床医学としての病理診断学を担当している[15]
  • 京都府立医科大学大学院医学研究科 臨床病理学 - 主に病理診断学を担当している[16]
  • 昭和医科大学医学部 臨床病理診断学講座 - 基礎医学としての病理学と臨床医学としての病理診断学に加え、臨床検査医学をも担当している[17]
  • 市立八幡浜総合病院臨床病理科 - 臨床検査と病理・細胞検査を実施している[18]

関連用語

脚注

関連項目

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