花まんま

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花まんま
著者 朱川湊人
発行日 2005年4月26日
発行元 文藝春秋
ジャンル 短編集短編小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製カバー装
ページ数 272
コード ISBN 978-4-16-323840-1
ISBN 978-4-16-771202-0文庫本
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花まんま』(はなまんま)は、朱川湊人の短編小説、および表題作とする短編集、短編小説を原作とする日本映画。映画公開に合わせて刊行された短編集『花のたましい』についても本項で概説する。

短編集は、第133回(2005年)直木三十五賞を受賞している。

あらすじ(短編小説)

80枚ほどの短編である[1]

朱川は金子みすゞの「花のたましい」という詩からイメージが広がり、本作になったと語っている[2]。「花まんま」の語は、子供のままごと遊びの中で散った花びらを茶碗に入れて(幼児語で「まんま」)とみなすことから[2][3]。なお、「花のたましい」は2025年に刊行された映画のスピンオフ短編小説集の題名、表題作名としても採用されている[2]

俊樹の妹・フミ子には前世の記憶があるという。フミ子の前世は薬物中毒者に刺殺された繁田喜代美。彼女には父、母、姉、兄がいて彦根城の近くに住んでいたという。フミ子は前世の家族に会いたいから、一緒について来てほしいと俊樹に頼む。フミ子が繁田の家族に接触しないことを条件に俊樹は承諾する。

繁田の家は、フミ子の記憶通りに存在した。繁田の父は娘の死後、精神的に病み、固形物が食べられなくなって痩せ衰えてしまっていた。フミ子は喜代美が幼いころに作っていた花で作ったままごとの弁当「花まんま」を作り、俊樹に繁田の家へ届けてもらった。弁当を受け取った繁田の家族は、駅まで先回りして、俊樹とフミ子に逢う。繁田の父はフミ子を見た瞬間に喜代美だと認識して涙を流す。しかし、俊樹は繁田の父にフミ子をここで抱きしめるのだけはやめてほしいと伝える。俊樹とフミ子の父親は事故で亡くなっており、母親が女手ひとつで自分たちを育ててくれている。そんな両親に申し訳がないので、フミ子の顔を見るだけにしてほしいと。

時は流れ、フミ子の結婚式の前日。フミ子が選んだ男性は少し気弱なところもあるが、誠実で優しく、学究肌でマジメを絵に描いたような男である。俊樹はしばらくは、フミ子を任せておこうかと思うのだった。

コミカライズ(短編小説)

むろなが供未の作画で、『ビッグコミック』(小学館)2009年10月増刊号(2009年9月17日発売)にコミカライズ版が掲載されている[4]

短編集

短編集『花まんま』

2005年4月に文藝春秋から刊行され、2008年4月には文春文庫から刊行された。2024年12月の時点では累計部数20万部[2]。文春文庫版は映画公開に合わせて、映画主演の鈴木亮平有村架純の写真を装丁に用いた版が刊行されている[2]

解説は重松清が寄稿している[1]

直木三十五賞の選考委員を務めた井上ひさしは、本作収録の短編の共通項として「過ぎ去った幼い日々の日常の中に、さりげなく超自然現象を置く」ことを指摘している[5]。「妖精生物」は怖い話、「凍蝶」は切ない話、「送りん婆」はおかしな話と、6編それぞれ彩りは異なるが、6編ともに佳品であり、一編の無駄打ちもないところに値打ちがあると井上は評している[5]

収録作品
トカビの夜
トカビ朝鮮半島に伝わる妖怪。ユキオは朝鮮人の少年チュンホと親しくなるが、チュンホは生まれつき病弱で死んでしまった。その後、近所の家にチュンホの幽霊が頻繁に出るようになる。住民たちは朝鮮人を差別していた祟りだと慌て、ユキオもチュンホに酷いことをしていたことを悔やむ。
妖精生物
10歳の世津子は変なおじさんから130円で「妖精生物」を買う。正体は不明だったが、世津子は言われたとおりに育て、ときおり手のひらや太ももの上に乗っけて遊んでいた。こうしていると世津子は体中が快感に包まれのだった。世津子の父親が経営している工務店に大介という美男子が入ってきて、世津子は大介に一目惚れしてしまうが、2か月後、大介は工務店を去ってしまい、しばらくすると、世津子の母もいなくなる。
摩訶不思議
女たらしのツトムが事故死した。ツトムの葬式では「女」たちが鉢合わせにならないよう甥のアキラが気を使って修羅場を阻止することに成功する。火葬だけとなった時、ツトムの霊柩車が突然動かなくなってしまう。「女」たち全員から見送られたいツトムの怨念か?
花まんま
上述。
送りんばあ
死の床で苦しむ病者を死へと送り出す呪文がある。先祖代々「送りん婆」に受け継がれてきたその呪文、作中にもその呪文そのものが書かれているが、読者が呪文を知ってもそうは行かない理屈があった[5]
凍蝶
ミチオは部落差別に遭っていた。友人もできないミチオのミチオの相手をしてくれたのは、霊園で出会ったミワという美しい女性だけだった。ミワには病気の弟がいて、その治療費のために多額の借金をしたため、一家は大阪にやって来てのだという。ミワがどんなことをして稼いでいるのかをミチオにはまだ想像できなかった。

短編集『花のたましい』

花のたましい』(はなのたましい)は、2025年3月に文藝春秋から刊行された[2]。映画『花まんま』のスピンオフ小説集である[2]

収録作品
花のたましい
駒子が、お好み焼き屋の看板娘になる前、20歳くらいの話。駒子はさほど親しくもなかった幼馴染の智美と再会し、儲け話を持ち掛けられる[2]
百舌鳥乃宮十六夜詣もずのみやいざよいもうで
小学四年生の陣太郎と貞夫は山に入り道に迷ってしまった。2人の目の前には、ナメクジ地蔵があったが、そこが親たちから「決してその先に行ってはいけない」と言われていた場所でもあった[2]
アネキ台風
塚口ハジメは山田製作所で働く傍ら、ビジュアル系バンドのボーカルとして活躍する人気者。ハジメの姉・香織は保険外交員であり、山田製作所にも出入りしていて、製作所の工員たちからも愛されていた。しかし、塚口家にはハジメだけが知らされていない秘密があった[2]
初恋忌
「私」は癌を患っている。幼少期を過ごした彦根市を娘と共に訪れ、初恋の相手・繁田喜代美に思いを馳せる。

映画

脚注

外部リンク

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