蟻鱒鳶ル
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| 蟻鱒鳶ル | |
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建物外観(2025年9月、曳家工事中) | |
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| 概要 | |
| 用途 | 住宅 |
| 建築様式 | セルフビルド、即興建築 |
| 所在地 |
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| 座標 | 北緯35度38分44.9秒 東経139度44分32.3秒 / 北緯35.645806度 東経139.742306度 |
| 着工 | 2005年 |
| 完成 | 2026年 |
| 技術的詳細 | |
| 構造方式 | 鉄筋コンクリート構造 (RC) |
| 階数 | 地上4階、地下1階 |
| 土地面積 | 約40平米 |
| 設計・建設 | |
| 建築家 | 岡啓輔 |
| 構造技術者 | 名和研二[1] |
蟻鱒鳶ル(ありますとんびル)は、東京都港区三田に所在する鉄筋コンクリート造の建築物である。
建築家の岡啓輔がセルフビルド(自力建設)で、2005年より約20年にわたって建築を進めたプロジェクトで[2]、その工期の長さから建物は「三田のサグラダ・ファミリア」とも称され[3]、岡本人を「三田のガウディ」と呼ぶ声もある[4][5]。
2003年、建築家の岡啓輔の「蟻鱒鳶ル」案が建築系公募展のSDレビューに入選する[6]。岡が住居用として2000年に購入後[注釈 1]、5年間空き地となっていた東京都港区三田の40平米ほどの土地を使い[8][9]、2005年11月26日に「蟻鱒鳶ル」が着工[10]、まず地下室をスコップで掘り始めた[8]。公的に提出された最低限の図面はあるものの[11]、通常の建築現場のような詳細な設計図は存在せず[8]、型枠にビニールシートを用いるなど[12]、建築は即興のスタイルで進んだ[13]。設計と施行を岡が行うセルフビルドではあるが、完全に岡個人で作業したわけではなく[14]、その過程では友人などの多くの協力者が関わり[15]、またアーティストや学生も作業に参加して構造物などの作成を行った[16]。
名称の「蟻鱒鳶ル(ありますとんびル)」は岡の友人の芸術家による命名で[17]、「あります」という肯定的な言葉に「ヒルトン」や「シェルトン」に由来する「とん」の部分を足し[18]、そこに陸海空に関連した生物の漢字をあてたものである[19]。最後の「ル」の文字は人間を代表し、建築家のル・コルビュジエから取っている[18][20]。
即興と試行錯誤の建築に20年の歳月を要しながらも[19][21]、計画は「地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造の家をセルフビルドで建てる」というもので初期より変わっていない[22]。しかし建築期間の当初の想定は2年から3年で、竣工は2009年の予定であった[22][23]。
建築面積は約25平米、延床面積は約100平米[24]、建築費用は2025年時点で約1億2000万円とされ[25]、資金難は岡の母親からの借金やグッズ販売で一部をしのいだ[17]。
建築的特徴
蟻鱒鳶ルの特徴のひとつは、専門家から「200年以上保つ」とも評される[8][3]、建築に使われたコンクリートの強度である[15][27]。市販の場合は60パーセントほどである水セメント比を30パーセント台に抑えたため[28]、強度は高まったものの作業は難しく「練るのも型枠に流すのも一苦労」だと岡は説明する[24]。この選択は、岡の「日本の建築物の寿命の短さ」に対する違和感に起因し[29]、後には人の寿命を超えた建築物の持つ、施主の所有物以上の意味合いを問う考えにまで発展したと述べている[15]。通常は1階層ずつ行われるコンクリートの打設は[12]、本建築では70センチメートルずつという、人力で扱える型枠のサイズで行われた[30][31]。
不揃いの模様や穴に彩られた建物のデザインもまた独特であり[8]、ジャパンタイムズはそれを「コンクリートスラブのコラージュ」[32]、AFPは「奇妙かつ素晴らしい装飾」と紹介している[33]。表面に見られるその模様は、ビニールシートを巻いた型枠に様々な物体を仕込んでコンクリートを打つことで生じたものである[16]。舞踏を学んでいた経歴を持つ岡は[27]、本建築への取り組みを「踊りながら建てている」と表現し[34]、他者のアイデアを場当たり的に取り入れる柔軟な姿勢は舞踏の即興性と重ねられている[17][27]。また、建築が長期間にわたったことで経年による思考の変化もあり、建物の上部と下部でデザインには差異が見られる[35]。
上述のように実験的な建築やデザインには肯定的な評価も多く、観光スポットのように扱われる面もある一方[9][13]、周辺住民からの反応は賛否が分かれ、岡は否定的な意見を直接示された経験もあると述べている[35]。
