軌道投入

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宇宙飛行において、軌道投入(きどうとうにゅう、: Orbit insertion[1])は宇宙機の飛行経路を惑星その他の天体をまわる周回軌道へと入れるよう変更する軌道マヌーバをいう[2]。軌道投入マヌーバは対象天体の脱出速度を超える速度からの減速、もしくはより低速からの加速を伴う。

投入する先の軌道が遷移軌道英語版の場合、たとえばdescent orbit insertion[訳語疑問点]の場合、orbit injection[訳語疑問点]と呼ばれる。

軌道の種別

軌道とは周期的もしくは準周期的な飛行経路であり、通常は地球太陽などの天体を中心として周回する。−地球系などの多体系の場合、ラグランジュ点まわりの軌道もありうる(例キャップストーン探査機)。

低軌道

低軌道は中心天体の「重力井戸」の中深くをまわる軌道である。地球低軌道月低軌道などの例がある。低軌道への軌道投入は中心天体に対して大きな減速を行うか、惑星表面から軌道速度へ達する大きな加速を行う必要がある。

高軌道および楕円軌道

静止軌道のようなより高度の高い軌道への軌道投入は楕円をなす遷移軌道を経由することが多い。

減速

軌道投入の種別として、天体の周回軌道への捕捉がある。

ロケット推進

惑星間遷移軌道の余剰速度はロケット噴射により相殺することが多い。このようなマヌーバは宇宙機のエンジンを目標天体との相対速度を減速する方向に噴射することで行われる[3]。たとえば、アポロ月着陸ミッションではまず機械船の推力により月低軌道への軌道投入を行う。

低推力投入

目標軌道によっては低推力での軌道投入が可能な場合もある。1991年ひてんははじめて弾道捕捉をもちいた低推力軌道投入を行った。

その他の技術

その他の技術としては、目標天体がある程度の大気をまとっている場合、エアロキャプチャ英語版と呼ばれる空力減速をもちいた軌道投入が提案されている。しかし危険性が大きく、2012年現在実現化はされていない[4]。軌道投入のための減速は宇宙機のメインエンジンにより行われることが一般的であり、まず離心率の大きい「捕捉軌道」に宇宙機を投入し、その後遠点を段階的減速により下げていくことにより軌道を円に近付けていくが、このときに大気抵抗をもちいて制御された減速を行う空力ブレーキとよばれるマヌーバを実行することにより、搭載燃料の消費を最低限におさえることができる。空力ブレーキを実施したNASAおよびESAのミッションはマゼランマーズ・リコネッサンス・オービタートレース・ガス・オービター英語版ビーナス・エクスプレスなど数えるほどである[5]

加速

一方で、新規に打ち上げられた人工衛星およびその他の宇宙機は軌道投入時に加速を行う。大多数の打ち上げ機は狭い範囲の軌道にしかペイロードを投入することはできない。赤道面と軌道面とのなす角と軌道の最高高度は打ち上げ機の性能と射点の位置により制限される。このため、ほとんどのペイロードはまず遷移軌道へ打ち上げられ、のちに加速を行うことにより楕円軌道を円軌道へと修正するマヌーバが行われる。このマヌーバと惑星軌道投入マヌーバとの決定的な違いは、すでに惑星軌道上にあるものの軌道要素を変更するのに必要なデルタVは、惑星間飛行時の速度を相殺するためのデルタVと比べて非常に小さいことである。

ロケット以外の手段

従来型の化学ロケットを用いた軌道投入には精密なタイミングでの噴射が必要となるが、イオンエンジンプラズマ推進エンジン英語版の進展により、同じ結果を燃料消費を抑えたより長時間の噴射により達成することが可能になりつつある。さらには、電導性テザーを用いて地球の磁場からの磁気反発を利用するテザー推進の研究も有望な結果をだしており、実現すれば燃料がほぼ不要となる可能性がある。

出典

関連項目

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