陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム
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陰謀論を民主主義を揺るがすメカニズムと位置付ける[2]。陰謀論は民主主義を蝕むもので、これを誰が信じなぜ政治的な影響力を持つのかという陰謀論を重用するメカニズムを解説する書籍[3]。
21世紀の現在に荒唐無稽な言説が多くの人に信じられ政治的影響を持つのはなぜかが述べられている。この書籍では研究成果に基づき陰謀論が受容されるまでのメカニズムが述べられている。日本で蔓延している陰謀論の実態や、それの個人の政治観やメディアとの関連、それへの必要なリテラシーなども交えた対抗法も述べられている[4]。
この書籍では日本で見られる様々な陰謀論を取り上げ、これらをサーベイ実験という統計的な手法を用いて、どのようなメカニズムでどのような人が信じているのかを検討する。その結果、陰謀論を信じやすい人というのは、自分は陰謀論を信じず他の人が信じやすいと思う人、保守的な人もリベラルな人も親和的な陰謀論を信じる傾向にある、政治に対しての関心が高い人ほど陰謀論を信じやすく私的なことに没頭している人ほど陰謀論を信じない傾向にあるという3つの結論が出ていた[5]。
世論調査で測定される意識や態度というのは、社会的に望ましい方向に答えてしまうバイアスが働くということが知られており、このバイアスで本当の意見の分布を理解することが妨げられているとする。このため通常のアンケート調査では本音の意識を明らかにすることが不十分であり、より高度な方法を用いる必要があったために、サーベイ実験を行なっていた。本来ならばこのような方法ならば難解な分析手続きを詳細に記す必要があるのだが、この書籍では一般書として分かりやすさが重視されたために方法や手続きが大幅に割愛された[6]。
著者はこの書籍とは陰謀論が正当な学術研究のテーマと認知されるようになってきたことの表れとしている。この書籍では陰謀論に親和的な人々というのは、自らは政治的には右でも左でもないと自認し、自らを普通の日本人であるとみなしている人々とする。陰謀論に親和的な人々が用いる普通という言葉とは、普通はこう考えるといった形で自らの意見を正当化させるマジックワードとなっているとする。著者はこの普通という言葉が排外主義的な陰謀論と結び付く危険性があるとする。自らを陰謀論とは無縁と思っている人ほど陰謀論に取り込まれやすいかもしれないとのこと[7]。
この書籍で分析されているテーマはネット上で右翼的、保守的、国粋主義的な主張を行なうネット右翼や、コロナワクチンにはマイクロチップが仕込まれているなどと言った現代に即した話題が用いられている。この書籍では日本人の2割から4割程度が陰謀論の信念を持つと指摘されている。自分の正しさに固執するならば、誰もが陰謀論を受容しうるとする[8]。Twitterと陰謀論の親和性は高くないとされている[9]。
陰謀論の発信源とは、一般にはインフルエンサーや特定のサイトが思い浮かべられるものの、最も気をつけるべきであるのが政治家や政党であるとのこと。特に選挙の期間になれば、勝つという強い欲求から時には手段を選ばずに対立候補への誹謗中傷や、自らの正当性を主張するために陰謀論を流すということもあるとする。これが選挙結果を左右するならば民主主義を揺るがす事態とする。陰謀論を弁別するために公共の伝統的なメディアの果たす役割は大きいとする。個々人には自らの信念の正しさに固執しない姿勢こそが今の社会で求められているとする[10]。
三牧聖子はこの書籍を陰謀論を受容するメカニズムを科学的に解明できていると評する。人間とは自分の信念や認識の正しさを肯定する説に惹かれるとのことで、このことから疎外感があるならば陰謀論がもたらす肯定感に癒しを求めてしまうものであるとのこと。陰謀論とは人間の性質に深く根ざしたものであるために、これを根絶することは不可能であるとする。このため自らが信じる正しさに固執し過ぎない姿勢が陰謀論に対する防波堤になるとする[11]。
脚注
- ↑ “陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム -秦正樹 著|中公新書|中央公論新社”. www.chuko.co.jp. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2022年11月26日). “陰謀論 秦正樹著 データ分析し「誰でも陥る」”. 日本経済新聞. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “陰謀論 : 民主主義を揺るがすメカニズム (中公新書 ; 2722) | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “新書マップ4D”. 新書マップ4D. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “「陰謀論」にハマらないようにするにはコツがある:秦正樹 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト”. 新潮社 Foresight(フォーサイト). 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “「政治通」な人ほど“陰謀論”にハマってしまうのには理由があった…!”. 現代ビジネス (2022年10月24日). 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “新書マップ4D”. 新書マップ4D. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ 京都大学新聞社 (2024年12月15日). “〈書評〉「陰謀論」受容のメカニズムに迫る 秦正樹『陰謀論』”. 京都大学新聞社/Kyoto University Press. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “秦正樹氏『陰謀論民主主義を揺るがすメカニズム』中公新書、読了。 - 高口ようこ(コウグチヨウコ) | 選挙ドットコム”. 選挙ドットコム. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “〔週刊 本の発見〕秦 正樹『陰謀論―民主主義を揺るがすメカニズム』” (日本語). LaborNet Japan. http://www.labornetjp.org/news/2025/hon392 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “「陰謀論」受容のメカニズムを科学的に解明 三牧聖子が選ぶ新書2点|好書好日”. 好書好日. 2026年4月28日閲覧。
- ↑ “KINZAIストア”. store.kinzai.jp. 2026年4月28日閲覧。