食産業
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食産業(英語: food industry)は、世界の人口の大部分が消費する食料・食品を供給する、多様な企業が関わる複雑でグローバルなネットワークである[1]。現代の食産業は高度に多様化しており、労働集約的な小規模・伝統的な家族経営の製造活動から、大規模で資本集約的かつ高度に機械化された工業的プロセスまで幅広い。多くの食産業は、地域の農業、畜産、農産物、漁業にほぼ完全に依存している。少し概念が違うが、食品産業とも言う。
食品生産と販売のあらゆる側面を包括的に表現するのは難しい。英国食品基準庁(UK Food Standards Agency)はこれを「農業や食品生産、包装や流通から、小売やケータリングに至るまでの『食産業全体』」と定義している。またアメリカ合衆国農務省(USDA)の経済調査局(Economic Research Service)は同じ概念を「フードシステム(英語:food system)」と呼び、次のように述べている。
「アメリカのフードシステムは、農家と関連産業から成る複雑なネットワークである。これには、農業機械や化学肥料・農薬のメーカー、輸送や金融などのサービスを提供する企業が含まれる。また、農場と消費者を結ぶ食品マーケティング産業も含まれ、それには食品・食物繊維の加工業者、卸売業者、小売業者、外食産業が含まれる」。
食産業には以下の分野が含まれるとされる。
- 農業:作物、家畜、魚介類の生産。農業経済学研究、地域支援型農業も含む。
- 製造業:農薬・化学肥料、農業用建設、農具・農業機械・資材、種子など。
- 食品加工:生鮮食品の市場向け準備、加工食品の製造。
- マーケティング:一般製品(例:牛乳など)の販促、新製品開発、広告、マーケティングキャンペーン、包装、広報など。
- 卸売・流通:物流、輸送、倉庫業。
- 外食:レストラン、カフェなどのフードサービス。ケータリング、宅配、社員食堂などを含む。
- 小売:スーパーマーケット、ファーマーズマーケット、公設市場など。
- 規制:食品の生産・販売に関する地域・国家・国際的な規制(食の品質、食料安全保障、食の安全、広告・マーケティング、業界ロビー活動など)。
- 教育:学術、コンサルティング、料理学校、料理教室、職業訓練、食育。
- 研究開発:食科学、食品微生物学、フードテック、食品化学、食品工学、食中毒防止。
- 金融サービス:信用取引、融資、保険。

さらに、食品の品質やその維持に直接関係する食品等級、食料保存、食関連レオロジー、食品ロス削減、食品貯蔵、伝統食品・郷土料理文化といった研究分野も、これらの多くのプロセスに重なって関与している。
自給自足農家(自分で栽培したもので生活する人々)や狩猟採集民だけが、現代の食産業の枠外にあると言える[2][3][4][5]。