魔女卵
From Wikipedia, the free encyclopedia
『魔女卵』(まじょらん)は、1984年に公開された日本映画[1][2][3]。大阪アメリカ村のライブハウス「心斎橋Bahama」[4]を主舞台に、ツッパリ少女・三上レイ(渡辺祐子)が、PRESENCEのボーカル・矢作大介(西岡克哉)に一目惚れし、グルーピーに暴力を振るわれながらも、シドとナンシーに自身を当てはめて「アタシ、ナンシー・スパイゲルになるねん!」と、学校も辞め、ジャパメタバンドの押しかけマネージャーになり、バンドをメジャーにしようと奔走する姿を描く青春映画である[3][5][6][7][8]。
タイトルの『魔女卵』は、その「心斎橋BAHAMA」に出演していた実在したジャパメタバンドの一つだが[9]、主役でもなく、タイトルは、映画のイメージを混乱させている[8][9]。『週刊映画ニュース』1984年2月25日付には『魔女卵・MAJORAN』と書かれている[10]。主役格のPRESENCEのメンバーとして出演する恩田快人は、後にJUDY AND MARYを結成した[3][9]。他に出演する「アンチ」「ソフィア」「ジーザス」「クライスト」「マッドロッカー」などは当時関西で活動していた実際のジャパメタバンド[3][9]。劇中、PRESENCE、魔女卵の他、出演はしていないが、LOUDNESSやMIZZYなどのヘヴィメタルナンバーが使用されている[1][9][11]。
キャスト
スタッフ
あらすじ
製作
ピンク映画出身の和泉聖治監督は1982年の『オン・ザ・ロード』で一般映画に進出[2]。一般映画二作目として『沙耶のいる透視図』を製作したが[2]、お蔵入りし[2][12]、一般映画三作目の本作が先に公開された[2]。
カルメン役の井上真由美以外の出演者は、全員オーディションで選ばれた[2][6][13]。『映画情報』1984年6月号には「ツッパリ男を演ずる我王銀次という新人が将来性がありそうだ。松田優作風で、大阪のアングラ劇団にいる役者だ」と書かれている[13]。製作はプロデューサーとしてクレジットされる増田久雄が代表を務めるプルミエ・インターナショナルながら、企画クレジット矢部恒、佐藤和之の二人や、共同脚本の内藤誠は東映の社員、元社員で、文献によっては東映映画と書かれたものもある[2][6]。
宣伝
興行
作品の評価
興行成績
『映画年鑑 1985年版』には「『成龍拳』が『魔女卵』と併映されたが不発に終わった」と書かれている[15]。
批評
北川れい子は「下品で泥臭く、過激で情報過多、何よりネチっこい関西弁の洪水にはうんざりしてしまったが、アラ不思議、しまいにはこれらすべてがゾクゾクと心地良く、和泉監督の関西ロック・グラフィティ、青春映画としても上等だ。サブ役の我王銀次の男っぷりは『不良番長シリーズ』の梅宮辰夫、レイ役の渡辺祐子は『ネオンくらげ』の山内えみ子と、脚本の内藤誠はかつての内藤世界を思わせるチンピラを登場させた」などと[8]、今野雄二は「矢沢永吉をヒーローと仰ぐ原宿あたりのロックン・ローラー族が勝手にキャロル当時の矢沢をネクロフィリアックに神と祭り上げている如く、パンクのパの字も理解せずに、身勝手にナンシー・スパイゲルになるんやーと決心してしまうヒロインにも困ったものだ」などと[8]、出口丈人は「ロック・バンドに入れ込むヒロインの追い方や彼女と同棲するチンピラのキャラクターはそれなりに面白いが、ロックが古色蒼然としているのでテーマに対する作り手の距離があいまいになっている」などと[8]、手塚眞は「題名を見た瞬間に思わず吹き出してしまって、とても期待して観に行ったんですね。『マジョタマゴ』と読むと思ったもので…実際に笑える映画だったので、少し安心しました」」などと[8]、松田政男は「何ともけったいなB級映画を撮った和泉監督に心から拍手を送りたい。『女番長』と『ガキ帝国』をミックスして日活河内アクションのエキスをふりかけ、それでいて演奏シーンが抜群なロック映画でもあるとは、実に並々ならぬセンスではないか」などと評した[8]。