黒い家
From Wikipedia, the free encyclopedia
大手生命保険会社「昭和生命」の京都支社で保険金の査定業務を担当する主人公・若槻慎二は、保険加入者である菰田重徳からの呼び出しにより菰田家を訪問する。そこで、菰田家の子供(妻の連れ子)が首を吊った状態で死亡しているのを発見してしまう。
遺体を発見した際の重徳の反応から保険金目当ての事件の疑いが濃厚な事案であったことに加え、菰田家には以前にも自傷とも疑われる不可解な保険金請求があったことから、昭和生命は保険金の支払いを保留するが、重徳は慎二のいる支社に毎日やってきては執拗に支払いを求める。そんな中、上司の葛西好夫の調査により、重徳がかつて自傷行為により障害給付金を詐取する『指狩り族』グループの一員だったことが判明する。疑念を抱いた若槻は独自の調査を開始。過去に菰田夫妻と関わりのあった人々から彼らの過去を調べ、更に彼らが幼少のころに学校で書いた作文を入手する。若槻は恋人である恵が勤務する大学の教授である心理学者の醍醐則子と助手で犯罪心理学に詳しい金石にその詩を見せ、プロファイルを依頼する。 重徳から日々支払いの要求を受ける中、若槻は自宅への大量の無言電話をはじめ、重徳の行いと思われる複数の嫌がらせを受けるようになる。しかし、結局警察が夫婦の子供の自殺を認定したことから、保険金は支払われることとなった。 その直後、金石より菰田夫妻はサイコパスであり、これ以上彼らに関わると身が危険であるという忠告を受けた若槻は、一連の事件の首謀者を重徳と推測し、妻の幸子宛に注意を促す匿名の手紙を送る。
そこから、若槻自身とその周囲の生命が脅かされる恐怖の日々が始まった。
恵が飼っている愛猫3匹が彼女の留守中に何者かによって殺され、その首が若槻の自宅前に置かれるという事件が発生し、続いて金石が惨殺される。金石は長期間の監禁・拷問の末殺害されバラバラにされており、若槻は重徳の異常性と犯行の可能性を訴えるが、警察は取り合わない。若槻は醍醐教授や恵の話から、重徳ではなく幸子が主犯として行動しているのではないかと考え始める。その矢先、菰田家から再び保険金請求の書類が提出されるが、若槻と葛西が病院を訪れると重徳が両腕の肘から先が切断されていた。 最早廃人と化している重徳の前で幸子は事故を主張するが、あまりに状況が不自然であったことに加え、病院での幸子の態度などから若槻や葛西は夫婦が保険金の不正受給をもくろんでいると断定。ついに詐欺や不正請求が疑われる契約の解除交渉を専門とする「潰し屋」で元暴力団員の三善の派遣を決断する。 三善は病院にて即座に幸子が主犯と見抜き、裁判や刑事事件に発展させると取り扱い契約解除を迫る。
三善に菰田夫妻の件を任せた若槻だったが、そのたった数日後の深夜、若槻の自宅に幸子が襲撃を仕掛けてくる。偶然にも買い物に出かけており、帰宅直前に幸子が合鍵を使って侵入するのを目撃した若槻はなんとかやり過ごすことができた。合鍵を渡している相手は恵一人だったことから彼女が拉致された可能性に思い当たった若槻は、警察に通報すると幸子が帰宅する前に菰田家に先回りして内部を探索する。 すると菰田家邸内で大量の死体が埋められた穴や殺害されバラバラにされた三善の亡骸を発見。更に拉致監禁されていた恵を見つけ、共に脱出を図る。しかし、想像より早く帰宅した幸子が現れ、隠れてやり過ごそうとするも絶体絶命に陥る。 辛くも警察が到着したことで二人は切り抜けることができたが幸子は逃走。恵は精神を病み関東の実家で療養することになる。
恵の救出から3週間が経過した後、別の部署の社員から夜に連絡事項があるので社内で待っていてほしいという連絡を受け取った若槻は、夜ほかの社員が帰宅して残っているのは警備員だけという状況で社内にいた。実はその連絡は幸子の罠であり、彼女は若槻への報復として単身で事業所へ襲撃をしかけてきた。 警備員が殺害され、電話線も切られて孤立無援になった若槻はなんとか事業所から脱出を図るが、幸子の策にはまり彼女と1対1での対決を強いられる。若槻は片腕に重傷を負いながらも消火器を利用して幸子を殺害し、死闘を制するのだった。
心を癒して京都に戻ってきた恵と共に怪我を癒した後、元通りの生活に戻った若槻だったが、物語は菰田幸子を超える異常な保険顧客の登場を示唆して幕を閉じるのだった。
刊行情報
受容
漫画
小野双葉によって漫画化された。1999年12月角川書店から刊行。全1巻。