菜系

中国における料理の一般的な区分法 From Wikipedia, the free encyclopedia

菜系(さいけい)は中国語料理の種類を意味する語。この項目では、中国における料理の一般的な区分法について解説する。

概要

中華人民共和国は人口、国土面積において世界最大であり、内包する民族も、少数民族を含めて非常に数多い[1]。広大な国土には様々な風土が生まれ、使用される食材や調理法についても多様性は限りなく広がっている[1]

以下に記す四大菜系、八大菜系は、20世紀後半になってから、特に中国人以外にわかりやすく説明するために常用されるようになった分類法である[2]

歴史

中華料理には古くから、南北2つの料理系統があったとされる[2]

文帝煬帝が整備し、610年に開通した黄河長江を結ぶ京杭大運河によって南北物流が活性化し、物流の要地として淮揚地方(淮河と長江の下流地域)は発達し、淮揚料理が発達して行った[2]

からの時代には各地方料理が発展していった[2]

宋代には都市の発展と共に印刷物の普及もあって、各地方の食物が体系的に認知されるようになる[2]。『東京夢華録』巻四「食店」では汴京にあった飲食店として江南料理店、四川料理店、現地料理を提供する店があったことが記されている[2]。汴京には科挙受験のため全国から人が集まってきていたという事情もある[2]

代になるとこれらに加え、広東料理が加わるようになる[2]

四大菜系

中国料理-系統区分地図

中国の国土を大まかに東西南北に分け、それぞれの気候風土や地域経済圏と関連付けて4つの代表的な地方料理を説明したもの[2]。日本ではよく知られる[2]

  • 北方系 - 北京料理など。塩辛くて味が濃い[3]
  • 東方系 - 上海料理など。甘く、濃厚な味付け[3]江南(淮揚)系とも。長江下流域を広く含む地域概念[2]
  • 南方系 - 広東料理など。素材の味を生かした淡泊な味付け[3]
  • 西方系 - 四川料理など。ピリっとした辛さが特徴[3]

このような四大分類は、代初期までには認知されるようになり、当時の知識人たちの間ではある程度広く認知されていたというのが通説となっている[2]。史料で完全な裏付けが取れているわけではないが、一概に退けられることもされていない[2]

八大菜系

上述のように20世紀後半より用いられるようになった分類法[2]

1980年6月20日の『人民日報』「我国的八大菜系」では以下の8つが挙げられている[2]

香港台湾では上記の8つではなく、異なった8地域が挙げられることもあり、統一的な見解ができているわけではない[2]

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菜系 主な地域 特徴・代表料理
魯菜(ろさい) 山東省 塩味を基調とし、ネギ、ニンニク、海産物を多く用いる。北京料理宮廷料理にも影響を与えたとされる。
川菜(せんさい) 四川省 唐辛子と花椒による麻辣味が知られる一方、辛味を伴わない料理も含まれる。代表料理には麻婆豆腐回鍋肉などがある。
粤菜(えつさい) 広東省 食材の鮮度や持ち味を重視し、海産物を多く用いる。点心叉焼などが代表的で、飲茶の文化でも知られる。
蘇菜(そさい) 江蘇省 煮込み料理や蒸し料理が多く、比較的甘味のある味付けを特徴とする。淮揚料理もこの系統に含まれる。
浙菜(せつさい) 浙江省 魚介類やタケノコなどの新鮮な食材を用い、比較的淡泊な味付けを特徴とする。代表料理には東坡肉などがある。
閩菜(びんさい) 福建省 海産物やスープを多く用い、甘味、酸味、うま味を組み合わせる。代表料理には佛跳牆などがある。
湘菜(しょうさい) 湖南省 唐辛子による辛味、酸味、燻製食品の使用を特徴とする。四川料理と比較すると、花椒による痺れが少ない傾向にある。
徽菜(きさい) 安徽省 山地で得られる食材、乾物、発酵食品などを用い、煮込み料理や蒸し料理に仕立てることが多い。
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これらの分類は各菜系の特徴の一部を単純化したものであり、おおむね次のような傾向として整理される。

  • 辛味を特徴とする菜系四川料理は、唐辛子による辛味と花椒による痺れを組み合わせた「麻辣」を特徴の一つとする。湖南料理は唐辛子による強い辛味や酸味を特徴とする。
  • 繊細な調理を特徴とする菜系江蘇料理浙江料理は、食材の持ち味や外観を生かした調理を重視する。
  • 魚介類を多用する菜系広東料理福建料理は魚介類を多く用いる。広東料理は食材の鮮度や持ち味を生かす調理を重視し、福建料理は魚介類を用いたスープ料理を特徴とする。
  • 北方を代表する菜系山東料理は塩味を基調とし、ネギ、ニンニク、海産物などを多く用いる。
  • 山地の食材を多用する菜系安徽料理は山菜、キノコなどの山地の食材を用い、煮込み料理や蒸し料理を特徴とする。

八大菜系や四大菜系などの区分は、各地域の食材、調理法、味付けおよび食文化に基づいて形成された料理文化上の分類である。

江北料理と江南料理

その他、揚子江(長江)の北と南で2通りに分類する方法がある。

台湾における六大料理

国民政府が中国から台湾へやってきた時、多くの有能な料理人がともに海を渡ったが、その後の台湾は多くの料理が淘汰・吸収を繰り返し、中国とは別の分類が誕生した。

  • 台湾料理(台菜)、四川料理、広東料理、江浙料理(江浙菜)、湖南料理、北方料理(北方菜)

その他系統

その他、地域分類以外のものに清真料理(清真菜)、精進料理(素菜、斎菜)や、薬膳がある。

菜系の一覧

出典

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