(98943) トリフネ

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(98943) トリフネ[1]英語: Torifune)は、アポロ群に分類される地球近傍小惑星 (NEO) である。2026年小惑星探査機はやぶさ2」によるフライバイでの近接探査が予定されており、正式な命名前に付与されていた仮符号2001 CC21[3][4]

概要 トリフネ, 仮符号・別名 ...
トリフネ[1]
98943 Torifune[2]
セロ・トロロ汎米天文台のダークエネルギーカメラによって2021年5月24日に撮影されたトリフネ
仮符号・別名 1982 VE13[3][4]
2001 CC21[3][4]
小惑星番号 98943
分類 地球近傍小惑星(NEO)[3][4]
軌道の種類 アポロ群[3][4]
発見
発見日 2001年2月3日[3][4]
発見者 LINEAR[3][4]
軌道要素と性質
元期:TDB 2,461,200.5(2026年6月9.0日[3]
軌道長半径 (a) 1.032 au[3]
近日点距離 (q) 0.806 au[3]
遠日点距離 (Q) 1.259 au[3]
離心率 (e) 0.219[3]
公転周期 (P) 383.103 [3](1.049 [3]
軌道傾斜角 (i) 4.808°[3]
近日点引数 (ω) 179.413°[3]
昇交点黄経 (Ω) 75.356°[3]
平均近点角 (M) 328.704°[3]
物理的性質
三軸径 591 × 461 × 392 m[5]
840+160
120
× 320+100
80
× 340+60
60
m[6]
平均直径 476 ± 9 m[5]
420 - 560 m偏光観測より)[7]
自転周期 5.021516 ± 0.000106 時間[6][8]
スペクトル分類 S[7] または Sq[6][8]
絶対等級 (H) 18.71[3]
18.78 ± 0.14[5][8]
アルベド(反射能) 0.208[5]
0.23 ± 0.04[8]
赤道傾斜角 5 ± 3°黄道面に対して)[6]
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発見と名称

2001年に地球近傍小惑星捜索プロジェクト「リンカーン地球近傍小惑星探査 (LINEAR)」によって発見された[3][4]2001 CC21 という名称は、発見後に暫定的に与えられる仮符号である。発見後には正確な軌道要素の精査が行われ、発見から約4年後の2005年2月24日小惑星センター (MPC) から発行された小惑星回報 「M.P.C. 53677」にて小惑星番号98,943番が付与された[9]。新天体として発見されたのは2001年だが、その19年前の1982年サイディング・スプリング天文台から2回観測されていたことが判明している[4]

小惑星番号が与えられた後も長らくは 2001 CC21 の正式な固有名は命名されていなかったが、はやぶさ2の拡張ミッションの探査天体に選定されたことを受けて、2023年12月6日にJAXAは 2001 CC21 に付与する名称の一般公募を行うと発表した。名称の公募は日本国内からに限られ、2024年5月9日まで公募が受け付けられた[10]。そして、同年9月23日国際天文学連合 (IAU) の小天体の命名に関するワーキンググループ (WGSBN) により発行された「WGSBN Bulletin」にて、公募案の中から提案されたトリフネ (Torifune) が正式に承認・命名された[2]。この名称は日本神話に登場する神および、鳥のように速く岩のように安定して航海する船である鳥之石楠船神(天鳥船)に由来しており、はやぶさ2がこの小惑星への高速接近探査を安全に遂行できるようにという願いが込められていると命名理由では述べられている[2]。この名称は、日本宇宙少年団および認定NPO法人の子ども・宇宙・未来の会から選出された「子ども選定委員」の協力を得て、正式に命名を提案する名称が選定された[1][11]

軌道

トリフネはの軌道長半径は約 1.032 auで、離心率が約 0.219 のやや潰れた楕円軌道を約383日かけて公転している[3][4]。地球軌道と交差する軌道で、軌道長半径が地球よりも長いため、地球近傍小惑星 (NEO) の中でもアポロ群に分類される[6][8][12]

物理的特徴

2026年4月時点でのトリフネの平均直径の最も新しい推定値は 476 ± 9 m となっている。この直径は、トリフネの地上観測からの絶対等級 (H)の測定値、およびNEOWISEスピッツァー宇宙望遠鏡によるトリフネの近赤外線熱放射の測定値から推定された[5]2023年3月5日日本からトリフネによる恒星 TYC 4082-00763-1(10.1等)の掩蔽で0.1秒間の減光を起こす様子の観測に成功している[13]。この掩蔽観測から、長軸に対する短軸の比が 0.37 ± 0.09 となっているほど、球形からは程遠い歪な形状をしていると考えられている[13]スペクトル分類においては、2004年の研究ではカルシウムアルミニウムに富むL型小惑星に分類されると考えられていたが[14]2023年に行われた近赤外線分光観測によって、トリフネにはケイ酸塩が多く含まれており、L型小惑星では通常見られない輝石吸収線が確認されたことで、トリフネは従来考えられていたL型小惑星ではなくS型小惑星であると考えられるようになっている[7][10]

探査

打ち上げから拡張ミッションの最終目標天体である1998 KY26に到着するまでの「はやぶさ2」の軌跡を示したアニメーション
      はやぶさ2 ·       (162173) リュウグウ ·       地球 ·       太陽 ·       (98943) トリフネ ·       1998 KY26

2020年7月、日本宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は小惑星探査機はやぶさ2」がカプセルを地球へ分離した後に行う「拡張ミッション」の内容について、トリフネをフライバイした後に小惑星1998 KY26へ向かう計画を発表し[15]、同年9月にこの計画で運用することを正式に選定された[16]。はやぶさ2によるトリフネの近接探査は2026年7月に行われる予定となっている[16]。拡張ミッションのスケジュール公表時点では、まだ研究の進んでいないL型小惑星を高度約100 kmまで接近して近接探査することで、炭素質隕石に見られる白色包有物 (CAI) との類似性の判定に生かす予定が示されていたが[17]、先述の通りトリフネが後にS型小惑星であると考えられるようになったので、はやぶさ2ははやぶさ初号機が探査した(25143) イトカワと同程度の大きさを持つS型小惑星を探査するということになる[7][10]

2026年6月9日には、JAXAははやぶさ2のトリフネへのフライバイ時刻は同年7月5日18時30分頃(日本標準時)で、トリフネの中心から 1 km 以内の距離を約 5 km/s 程度の速度で通過し、近接探査を行う予定であると発表した。この探査において、JAXAは地球防衛(プラネタリーディフェンス)の観点で大きな役割を担うとされている、高精度な軌道誘導技術の実証や小惑星の意図的な軌道変更に応用できる技術の蓄積を目指すとした[18]。同年6月24日の記者説明会では、約700万 km 離れた位置にあるトリフネを観測した画像が公開された。また、トリフネの大きさを長径 1,400 m、短径 400 m とこれまでの観測からの推定の2倍程度と仮定し、トリフネの中心から 800 m 程度の至近距離を約 5.2 km/s の速度で通過しながら観測を行うことが発表された[19][20]。これほど小惑星に接近してフライバイ観測を行うのは、2012年中国月探査機である嫦娥2号がトリフネと同じく地球近傍小惑星である(4179) トータティスに約 770 m まで接近して観測を行った事例以来となる[21]

出典

関連項目

外部リンク

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