BMW・N54エンジン
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N54エンジンは、自然吸気のN53エンジンと同じ2006年の登場である。しかしN54のベースとなったエンジンはN53エンジンではなく、M54エンジンである。そのためN53やN52エンジンで採用されたマグネシウム合金のエンジンブロックではなく、オーソドックスなアルミ製エンジンブロックを採用している。ただし、N53エンジンに搭載された直噴、ダブルVANOS(可変バルブタイミング)、オープンデッキエンジンブロック[3][4]、電動ウォーターポンプは継承している[5][6][7]。しかし、直噴ユニットがスペースを要したため、ヘッドの容量が不足し、N53と同じようにバルブトロニック(可変バルブリフト)は搭載されなかった[8]。圧縮比は10.2.ボア・ストロークは、84mmと89.6mmとなっている。タービンは、レスポンスを重視するために比較的小型のタービンが2基搭載され、8PSI(0.55Bar)という低圧で使用された。インタークーラーは空冷式。インジェクターは、高価なピエゾインジェクターが採用された(後継のN55エンジンではピエゾインジェクターの採用は過剰と判断され、ソレノイドインジェクターが選択されている)。N54エンジンの初期バージョンは、公式には225 kW (302 bhp) と400 N·m.[9]であるが、これらの数値は控えめの数値である可能性がある[10]。別のテストでは、232 kW (311 bhp) および 422 N⋅m (311 lb⋅ft).[11]が記録されている。N54にはBMW Mシリーズ用の高出力バージョン、すなわちS54と呼ばれるべきエンジンは存在しないが、1シリーズMクーペやZ4 35iS、335iSでは、より高出力化したバージョンのエンジンが使用された。アルピナ用のN54エンジンは、ピストンとオイルクーラー、コントロールユニットが変更されており、さらに高出力化されている。
N54が製造された2010年前後は、6気筒自然吸気のN52、N53、そして6気筒ターボエンジンのN54、N55の4種類のエンジンが製造された時期である。シングルターボのN55エンジンが2009年に登場すると、燃費が悪く始動時の排ガス対策も不十分なN54エンジンは段階的に廃止された。最後にN54エンジンを搭載したのは2016年まで製造されたE89 Z4 ロードスターである。6気筒の自然吸気エンジンとして残っていたN52も同年に製造終了し、BMWの6気筒エンジンは、N55/S55エンジンに一本化され、その後B58/S58エンジンエンジンに移行し、モジュラーエンジンファミリーの一員とされる。
問題
N54エンジンを含むBMWの直噴の一世代エンジンは問題を抱えていた。とりわけ高価なピエゾインジェクターは劣化が早く高額な修理の原因の1つになり、後に改良がおこなわれた[12][13][14][15]。アメリカでは高圧燃料ポンプの故障とウエストゲートの異音が問題になりリコールが行われた。特に初期に販売されたBMW3シリーズの335iは、高圧燃料ポンプは1万マイル毎に故障したために、レモン法による消費者保護の対象となり、ディーラーには顧客から返品された335iが並ぶことになった[16]。これらの不具合により、対策部品に交換されたのちの保証期間が10年間または19万キロに延長された[17][18]。中国でもリコールとなったが、日本ではリコールにはなっていない。他にもイグニッションコイルの故障やオイル漏れ、インタークーラーパイプの破損などのトラブルが知られる。
