TEAD1

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TEAD1(TEA domain transcription factor 1)は、ヒトではTEAD1遺伝子によってコードされているタンパク質である。TEF-1(transcriptional enhancer factor 1)、TCF-13(transcription factor 13)の名称でも知られる[5][6][7][8]。TEAD1はTEADファミリーの転写因子の中で最初に同定された因子である[5]。このファミリーに属する他のタンパク質には、TEAD2TEAD3英語版TEAD4英語版がある。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号TEAD1, AA, NTEF-1, REF1, TCF-13, TCF13, TEAD-1, TEF-1, TEA domain transcription factor 1
染色体11番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
TEAD1
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

2HZD, 3KYS, 4RE1, 4Z8E

識別子
記号TEAD1, AA, NTEF-1, REF1, TCF-13, TCF13, TEAD-1, TEF-1, TEA domain transcription factor 1
外部IDOMIM: 189967 MGI: 101876 HomoloGene: 2418 GeneCards: TEAD1
遺伝子の位置 (ヒト)
11番染色体 (ヒト)
染色体11番染色体 (ヒト)[1]
11番染色体 (ヒト)
TEAD1遺伝子の位置
TEAD1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点12,674,421 bp[1]
終点12,944,737 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
7番染色体 (マウス)
染色体7番染色体 (マウス)[2]
7番染色体 (マウス)
TEAD1遺伝子の位置
TEAD1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点112,278,525 bp[2]
終点112,506,014 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 DNA-binding transcription factor activity
血漿タンパク結合
DNA結合
transcription factor activity, RNA polymerase II core promoter proximal region sequence-specific binding
transcription coactivator binding
sequence-specific DNA binding
protein heterodimerization activity
cis-regulatory region sequence-specific DNA binding
DNA-binding transcription factor activity, RNA polymerase II-specific
細胞の構成要素 細胞核
核質
transcription regulator complex
生物学的プロセス regulation of transcription, DNA-templated
Hippo経路
transcription, DNA-templated
transcription initiation from RNA polymerase II promoter
positive regulation of pri-miRNA transcription by RNA polymerase II
positive regulation of transcription, DNA-templated
embryonic organ development
positive regulation of transcription by RNA polymerase II
protein-containing complex assembly
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_021961

NM_001166584
NM_001166585
NM_009346
NM_175559

RefSeq
(タンパク質)

NP_068780

NP_001160056
NP_001160057
NP_033372

場所
(UCSC)
Chr 11: 12.67 – 12.94 MbChr 11: 112.28 – 112.51 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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構造

TEAD1の各ドメインの構造

TEADファミリーに属するタンパク質は全て、TEAドメインと呼ばれる高度に保存されたDNA結合ドメインを有する[9][10]。このドメインが結合するDNAのコンセンサス配列は5'-CATTCCA/T-3'であり、MCATエレメントと呼ばれている[11][12]。TEAドメインの立体構造は明らかにされている[11]。その構造はホメオドメインと類似しており、3本のαヘリックス(H1、H2、H3)を有する。その中のH3ヘリックスがDNAへの結合を可能にしている[13]

その他に、C末端領域に保存されたドメインが存在する。このドメインはトランス活性化ドメイン(もしくはYAP結合ドメイン)と呼ばれる。YAP(とそのパラログであるTAZ)はTEADタンパク質のコファクターとして、Hippoシグナル伝達経路の標的遺伝子の転写活性化に寄与する[14]。TEADタンパク質は単独では遺伝子発現を誘導することはできず、作用するためにはコファクターとの結合が必要である[15]

組織分布

TEAD1は、骨格筋膵臓胎盤心臓を含むさまざまな組織に発現している[16][17][18][19][20][21][22]

オルソログ

TEADタンパク質は多くの生物種でさまざまな名称がつけられており、さまざまな機能を有することが反映されていると考えられる。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにおけるホモログであるTEC-1タンパク質はトランスポゾンTY1を調節しており[23]、また偽菌糸(pseudohyphae、栄養不良条件下で生育された酵母が形成する伸長した形状)の形成に関与している[24]アスペルギルス・ニデュランスAspergillus nidulansでは、TEAドメインタンパク質AbaAは分生子柄の分化を調節している[25][26]ショウジョウバエでは、Scallopedが翅原基の発生、生存、細胞成長に関与している[27]アフリカツメガエルXenopus laevisではTEAD1のオルソログが筋分化を調節していることが示されている[28]

機能

TEADタンパク質は、発生において重要な役割を果たしている。TEAD1の機能を喪失したマウスは、心臓の重度の欠陥のために胎生致死となる[29]。こうしたマウス胚の心臓は心室壁が薄く、肉柱の数も少ない。TEAD1は心臓特異的遺伝子の発現を促進しており、心筋の分化もしくは成長に重要であることが示唆されている。TEAD1は心臓以外においても平滑筋や骨格筋の形成と機能に関与する遺伝子を調節している。TEAD1は平滑筋や骨格筋のα-アクチン、心筋のα、βミオシン重鎖、トロポニンTI英語版といったタンパク質をコードする遺伝子のプロモーターに結合することが示されている。一方で、TEAD1を過剰発現したマウスは心拍出力が小さく、心筋症心不全後の組織修復に欠陥がみられる[30]

翻訳後修飾

プロテインキナーゼAは、TEAドメイン直後のセリン102番をリン酸化する。このリン酸化はαミオシン重鎖英語版遺伝子の転写活性化に必要である[31]。一方、プロテインキナーゼC英語版はTEAドメインの3番目のヘリックスと隣接するヒンジ領域のセリンやスレオニン残基をリン酸化し、このリン酸化はTEAD1のGTIICエンハンサーへの結合の低下をもたらす[32]。TEAD1はC末端の保存されたシステイン残基がパルミトイル化される。この翻訳後修飾は、TEADが正しくフォールディングし安定化するために重要である[33]

コファクター

TEADタンパク質が標的遺伝子の転写を誘導するためには、コファクターを必要とする[16]YAPとそのパラログであるTAZは全てのTEADタンパク質と相互作用し、TEADの転写活性を高めるコアクチベーターとして機能することが示されている[34][35]。YAP/TAZはHippoシグナル伝達経路におけるエフェクターとして機能し、この経路の活性化によってYAP/TAZはリン酸化されて核外搬出される。この経路は細胞増殖の抑制とアポトーシスの促進によって器官の成長を制限する腫瘍抑制性経路である[36][37]

また、4種類のVGLL(Vestigial-like)タンパク質も全てのTEADタンパク質と相互作用する[38]。TEADとVGLLの相互作用の正確な機能は十分には理解されていないが、TEAD/VGLL1複合体は前立腺がん細胞株の足場非依存性細胞増殖を促進することから、がんのプログレッションに関与していることが示唆されている[39]。さらに、C2C12細胞英語版の分化の際にはTEAD1とVGLL2との相互作用は筋プロモーターを活性化し、また10T1/2細胞においてはMyoD英語版を介した筋原性を高める[40]。一方、VGLL4との複合体は転写リプレッサーとして機能すると考えられている[34]

TEADタンパク質はステロイド受容体コアクチベーター(SRC)ファミリーのメンバーとも相互作用し、SRCファミリーの全てのメンバーがTEADタンパク質のコアクチベータとして機能することがHeLa細胞で示されている[41]。またTEAD1はポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ英語版(PARP)と相互作用し、筋特異的遺伝子の転写を誘導する。PARPはTEADタンパク質をADP-リボシル化することがin vitroで示されている[42]

他にも、血清応答因子(SRF)[43]MEF2[44]MAX英語版[45]といった転写因子もTEAD1と相互作用し、共に転写を調節していることが示されている。

がんにおける役割

がんのトランスクリプトームデータベースの解析から、いくつかの種類のがんでTEAD1の調節異常が生じていることが示されている。カポジ肉腫ではTEAD1濃度が300倍に上昇している。さらに、basal-like乳がん[46][47]卵管がん英語版[48]胚細胞腫瘍英語版[49]においてもTEAD発現の上昇が検出される。一方、他の種類の乳がん、腎臓がん膀胱がんなどではTEADの発現は低下している。こうした両義的な役割は、TEADの標的となる遺伝子や調節が細胞種によって異なっていることで説明される[50][51]卵巣がんではTEAD1とYAPが幹細胞性と化学療法抵抗性を誘導することが示されており[52]、また一部のがんではTEADやYAPの遺伝的多型との関連がみられる[53]

出典

関連文献

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