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こと座イプシロン星

こと座の多重星 From Wikipedia, the free encyclopedia

こと座ε(ことざイプシロンせい、ε Lyrae、ε Lyr)、通称ダブル・ダブルスター[1]は、こと座の方角におよそ160光年の距離にある4つの恒星から成る多重星である[2]。全天にみられる多重星の中で、最も傑出したものとも言われる[9]。4つの恒星の中で最も明るいこと座ε1星Aには PongaPonga という固有名が与えられている[5]

仮符号・別名ダブル・ダブルスター[1]
概要 こと座ε星 ε Lyrae, 仮符号・別名 ...
こと座ε
ε Lyrae
双眼鏡の視野によること座ε星付近。中央の重星がε星、右の明るい星はベガ。
双眼鏡視野によること座ε星付近。中央の重星がε星、右の明るい星はベガ
仮符号・別名 ダブル・ダブルスター[1]
星座 こと座[2]
位置
こと座ε星の位置(丸印)
他のカタログでの名称
ADS 11635[3], WDS 18443+3940[4]
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仮符号・別名こと座4番星
Pongaponga(主星Aに対して)[5]
赤経 (RA, α) 18h 44m 20.3459s[6]
赤緯 (Dec, δ)+39° 40 12.453[6]
視線速度 (Rv)-31.2 km/s[6]
概要 こと座ε1星, 仮符号・別名 ...
こと座ε1
仮符号・別名 こと座4番星
Pongaponga(主星Aに対して)[5]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  18h 44m 20.3459s[6]
赤緯 (Dec, δ) +39° 40 12.453[6]
視線速度 (Rv) -31.2 km/s[6]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 4.17 [7]
離心率 (e) 0.243[7]
公転周期 (P) 1725 [7]
軌道傾斜角 (i) 118.6°[7]
他のカタログでの名称
BD+39 3509[4], HIP 91919[6]
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仮符号・別名こと座5番星
赤経 (RA, α) 18h 44m 22.7805s[6]
赤緯 (Dec, δ)+39° 36 45.785[6]
視線速度 (Rv)-29.0 km/s[6]
概要 こと座ε2星, 仮符号・別名 ...
こと座ε2
仮符号・別名 こと座5番星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  18h 44m 22.7805s[6]
赤緯 (Dec, δ) +39° 36 45.785[6]
視線速度 (Rv) -29.0 km/s[6]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 2.92 秒[8]
公転周期 (P) 724.31 年[8]
他のカタログでの名称
BD+39 3510[4], HIP 91926[6]
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星系

こと座ε星は双眼鏡或いは視力が非常に良ければ肉眼でも二重星としてみえる。この対のうち、西側(若しくは北側)はこと座ε1またはこと座4番星、東側(若しくは南側)はこと座ε2またはこと座5番星とも呼ばれる。ε1星とε2星は、小口径でも良質の望遠鏡を使えば、いずれも二重星であることがわかる[9][2][10][11]

ε1星とε2星が共に重星であることは、1779年ウィリアム・ハーシェルによって言及されたのが最初とされる。その後、1831年ヴィルヘルム・シュトルーヴェが、初めて正確に離角を測定し、以後観測が重ねられている[9]。シュトルーヴェは、四重星の測定だけでなく、ε1星とε2星の間に、更に2つの恒星があることも明らかにした。その後、ジョン・ハーシェルが更に3つの恒星を、ε1星とε2星の間に発見した[4]

1985年には、スペックル・イメージングによる観測で、ε2に新たな恒星が検出され、その後も数度検出されているが、別の恒星との取り違えがあったり、測定値に一貫性がないことから、疑問も持たれている[12][13][14][4]

特徴

こと座ε星系は、ワシントン重星カタログでは10個の恒星が収録されており、WDS J18443+3940のAからIまで、そしてCはCaとCbの二重星となっている[4]

さらに見る 視等級, 半径 (R☉) ...
こと座ε星(WDS J18443+3940)系の恒星
視等級半径
(R)
質量
(M)
自転速度
(km/s)
分光分類光度
(L)
表面温度
(K)
年齢
(×106 年)
他の名称
A 5.01[8]1.89[15]2.07[8]165[16]A4 V[8]24[17]7,943[17]400[18]HD 173582
HR 7051
SAO 67310[10]
B 6.10[8]1.81[15]1.56[8]159[16]F1 V[8]8.4[17]7,047[17]HD 173583
HR 7052
SAO 67309[19]
C
(Ca)
5.25[8]1.87[8]212[16]A8 Vn[8]29[17]7,816[17]350[18]HD 173607
HR 7053
SAO 67315[11]
D 5.38[8]1.79[8]233[16]F0 Vn[8]32[17]7,852[17]HD 173608
HR 7054[20]
E 12.3[4]
F 12.7[4]
G 14.2[4]
H 13.9[4]
I 10.12[4]BD+39 3512[21]
Cb
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ε1星は、対のうち明るい星をε1星A、暗い星をε1星Bといい、重星カタログではAとBにあたる[10][19][4]。この2世紀の間に、4あった離角が、2.4秒に縮まった[4][18]。明るさはAが5.01等、Bが6.10等、スペクトル型はAがA4 V、BがF1 Vとされる[8]。両者の相対的な位置関係の変化から見積もった、AとBの間の実際の距離(軌道長半径)は120au程度、公転周期はおよそ1700から1800年となる[18][8]

ε2星は、対のうち明るい星をε2星A、暗い星をε2星Bといい、重星カタログではCとDにあたる[11][20][4]。離角はこちらも約2.4秒で、明るさはCが5.25等、Dが5.38等、スペクトル型はCがA8 Vn、DがF0 Vnとされる。CとDの間の実際の距離は110au程度、公転周期はおよそ720年と見積もられている[18][8]。Cは、りょうけん座α2型星である可能性が指摘されているが、確定はしておらず、変光星総合カタログでも新しい変光星候補に止まっている[4][22]

ε1星とε2星の間は、離角が約3.5で、実際の距離にすると0.16光年にもなる[4][2]。これだけ距離があると、重力的に結び付いた連星であるかどうかの判断は容易ではなく、ヒッパルコス衛星位置天文学的情報を基に、ε1星とε2星が束縛系であるかどうか判定した結果は、束縛であるとするものも、非束縛であるとするものもある[23][6]。真の連星であるとすれば、公転周期は何十万年にもなるものと予想される[2]

EからIの5つの恒星は、年周視差からすると、ε1星、ε2星とは物理的な関係がない、偶然同じ方向に位置する恒星とみられる[24][25][26][27][21]

さらに見る 離角 (秒), 離角 (au) ...
重星の位置関係
離角
(秒)
離角
(au)
方位角
(°)
備考
AB-CD 209.5[4]172[4]ε1星-ε2
A-B 2.36[18]124.2[28]346[4]ε1星内の対
C-D 2.36[18]110.8[28]76[4]ε2星内の対
Ca-Cb 0.058:[13]224.5:[13]不定性大
A-I 149.5[4]137[4]
C-E 63.2[4]334[4]
CD-F 93.3[4]0[4]
CD-G 75.1[4]293[4]
CD-H 96.6[4]313[4]
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名称

2つの恒星から成る二重星が隣り合って2組存在している様子から、ダブル・ダブルスターという愛称が広く用いられている[1]

クック諸島プカプカ島においては、こと座ε星は「ネズミ鼻孔」を意味する Na ponga-ponga-iyu-o-te-kiole という伝統的な名称が用いられてきた[29]2026年6月18日国際天文学連合 (IAU) の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names) はこの名称を短くした Pongaponga をこと座ε1星Aの固有名として正式に承認した[5]

出典

関連項目

外部リンク

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