わたしをみつけて

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イラスト 岩崎美里(カバー写真)
アルビレオ(ブックデザイン)
発行元 ポプラ社
わたしをみつけて
著者 中脇初枝
イラスト 岩崎美里(カバー写真)
アルビレオ(ブックデザイン)
発行日 2013年7月13日
発行元 ポプラ社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製本
ページ数 257
公式サイト http://www.poplar.co.jp/
コード ISBN 978-4-591-13536-5
ISBN 978-4-591-14557-9文庫本
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わたしをみつけて』は、中脇初枝による小説。書き下ろし。第27回山本周五郎賞候補作[1]

2012年に刊行された『きみはいい子』と同じ桜が丘という町を舞台に、児童養護施設で育った准看護師の主人公が、家族や医療の問題につまづきながらも自分の本当の居場所を見つけていく姿を描く[2]

2015年NHK総合の「ドラマ10」枠にてテレビドラマ化された。

きみはいい子』は当初、6つの短編で構成されるはずだったが、最初に書いた話が他の話に比べて短すぎたため除外されることになった[3]。本作はその短すぎた作品を改めて書き直したものであるため、続編というより同じ世界観で一緒に生まれた作品であるという[3]。そして、『きみはいい子』では「いい子だね」と言ってもらえない人間が主人公となっていたが、本作は逆に、「あなたはいい子でしょ」と言われ続けて苦悩する人間が主人公となっている[3]。また、『きみはいい子』の5つの話は全て雨のシーンで終わっているが、本作では主人公の弥生がキーパーソンとなる菊地という人物とその雨の日に出会っており、これに「どんなに降り続いている雨でも、いつかはやむ。あがらない雨はない」という著者の思いが込められている[3]。しかしラストについてはどうするか決めずに執筆を開始したため、登場人物が勝手に動き出して書き終えた際には「すごい!この人、こんなことをしちゃうんだ、格好いい!」と自分で驚いたという[4]

あらすじ

慈森会桜が丘病院で准看護師として働く山本弥生は生まれてすぐ親に捨てられ、児童養護施設で育った。いつも“いい子”でいることを心がけ、自らの居場所を探し続けていた弥生はようやく得た居場所を失いたくないため、腕が悪いだけでなくセクハラをする院長や、患者にも看護師にも横柄な大野医師にも何ら意見することなく、波風が立たないように接して日々を過ごしていた。そんな中、理事長に引き抜かれて新しい師長・藤堂優子がやってくる。彼女は初日から大野医師の勤務態度や看護師の仕事の仕方、患者やその家族が抱える問題を即座に見抜いて指摘し、臆することなく次々と対処していくことで病院の空気を変えていく。

ある土曜の夜、腹痛を訴える急患・楠山幸一が救急車で運び込まれてくる。院長は急性虫垂炎と判断してオペしたものの、翌日に急変し、楠山は亡くなってしまう。残されていたレントゲンには虫垂炎では説明のつかない右横隔膜下のフリーエアーが写っていた。出勤してきた藤堂はいち早くそれに気づき、オペリーダーとして立ち会っていた弥生は手術について聞かれるが何も答えられず、上の指示に従うばかりで自分の目で患者を全く見ていないことを思い知らされる。また、患者遺族に真実を伝えない院長の手助けをした弥生に藤堂は、「あなた、かわいそうなひとね。あんな先生しか知らないんでしょ。」と哀れみの目を向ける。

弥生が通勤途中にあるアパートの前でいつも会う菊地勇が入院してくる。菊地は怒鳴り声や子供の泣き声が聞こえるというその2階建てアパートの1番奥の部屋のことを自分のことより気にかけていた。菊地に頼まれた弥生はアパートの様子を見に行き、そこが実は同僚の神田の部屋であることを知る。元凶であった神田の恋人は、神田の息子の担任教師[5]の通報によってすでに逮捕されていた。神田は桜が丘病院を辞めて引っ越し、児童相談所に保護されている息子を引き取って2人で一緒にやり直す決意をしたと弥生に打ち明ける。

院長の誤診は繰り返され、それを見抜いた藤堂が患者を勝手に知り合いの救命医がいる啓大病院に運んだことが問題となり、藤堂はわずか2か月で病院を去ることになる。現場に居合わせた弥生も一時は辞めることを決意するが、自分がいるべき場所は菊地をはじめとした桜が丘病院の患者のそばだと思い直し、正看護師の資格をとってこの病院をさらに良くすると決意する。そして始まった菊地の大腸がん手術。出血が止まらないにもかかわらず、意固地に術法を変えず周りの意見も聞かない院長の指示を無視し、弥生は菊地を助けるため、初めて自分の意志で輸血に使う血液を求めて手術室を出て行く。

登場人物

慈森会(じしんかい)桜が丘病院

病床数54床の地域密着型病院(二次救急病院)。内科と外科と整形外科がある。駅からは丘を上って下ってもう一度上がった丘の上にあり、徒歩15分はかかる。そばを新幹線が走っており、病院の前の道の先は森になっていて、森の向こうには産業廃棄物処理場がある。

スタッフ

山本 弥生(やまもと やよい)
准看護師。32歳。看護学生のときから現在の付属の病院におり、准看をとってからも11年になる古株。そのため後輩看護師からは表向きは敬語で話しかけられるが、「ドクターお気に入りの准看護師」などと揶揄されたり、実際には後輩の正看護師の指示を受けて動く。数字を覚えるのが得意で、担当患者12人のバイタルなども正確に覚えていられるため、メモをとることが無い。
実は生まれた後すぐ産婦人科医院に捨てられていたため、児童養護施設で唯一の捨て子として育った。民法に従い、当時の区長の苗字が山本で、3月に拾われたことから「山本弥生」と名付けられた。幼い頃から「弥生ちゃんはいい子ね」と言って育てられ、唯一言ったわがままも「弥生ちゃんがそんな子だとは思わなかった」と拒絶されてしまったため、自分が“いい子”でなければ人に受け入れてもらえないと思っている。小学1年生の終わりに榊原という夫婦に引き取られたこともあるが、あまりに嬉しすぎて自分がどんなことをしても捨てられない確証が欲しくなり、わざと悪さをしたところ、「ちっともいい子じゃない」と児童相談所に連れていかれ、一時保護所へ入れられてしまった。その後、前とは別の施設に入れられたが、やはりそこでも「いい子だね」と育てられた。トラウマになってしまったため施設の人間に対しても掛け算ができないことを素直に言えず、九九ではなくひたすら同じ数を足すことでやりすごし、大人になった今でも掛け算ができないことをごまかし隠し続けている。
藤堂 優子(とうどう ゆうこ)
理事長に引き抜かれてやってきた新しい師長。前の職場では看護部長だった。前の師長と同年代だが、すらりとした長身だった前師長とは対照的に子供のように背が低く、化粧っ気が無い。白髪まじりの頭にパーマをかけている。常に笑顔だが、目が細く、笑うと皺と一緒に1本の線になる。声はよく響く。救急看護認定看護師・手術看護認定看護師の資格を持っており、入職1日目で入院患者52人すべての状態と課題を把握した。
2歳の時、本当は尿毒症による意識障害だったにもかかわらず、誤診で精神病を疑われ手遅れで亡くなった父の日記を見て、看護師になることを決意。その後母子家庭ながらも奨学金をもらい働きながら学校へ通い、まず准看護師になった。そこからステップアップし、今に至る。
院長
いつもふざけたり、ヘラヘラしてばかりいる。自分ではめられるにもかかわらず手袋は看護師にはめさせ、お尻を撫でるなどセクハラ行為も珍しくない。腕も良くない。
大野(おおの)
内科の医師。常に30分遅れて出勤する。自分だけがえらいと思っており、患者にも看護師にも横柄な態度をとる。特に神田を嫌っており、渡し方が悪いと舌圧子を投げつけることもあった。
神田(かんだ)
弥生と同い年の正看護師。桜が丘病院には勤めて1年と少し。子供がいる[5]。付き合っている男の煙草の臭いがうつっていてタバコ臭いだけでなく、肩や背中にいつもあざを作っている。「あの」をすぐ挟み、自分のことでなくても「すみません」とすぐ謝る。言葉は文章になっていないことが多い。男は病院にまで金の無心をしに来る。
理事長
頭は禿げあがり、顔はシワだらけ。いつも笑みを絶やさない。藤堂師長をひきぬいてきた。
小森(こもり)
整形外科の医師。笹谷の担当。
今井(いまい)
看護部長。
五十嵐(いがらし) / 関(せき)
正看護師。弥生よりも後輩。
近藤(こんどう)
准看護師。師長よりも年輩。独身。
飯野(いいの)
今年入職したばかりの准看護師。20歳そこそこ。

患者

坂本(さかもと)
患者。80歳男性。元大工。見舞客はほとんどおらず、声を出すことも笑うこともあまりないが、痛みの訴えだけは多い。いつも不機嫌で看護師を睨みつけるが、藤堂には初対面の時から笑顔を見せる。
笹谷(ささたに)
整形外科の患者。藤堂が挨拶周りに来た時はすでに午後の退院が決まっていたが、初対面にもかかわらず自分の病状説明を頼み、答えを聞いて満足する。
一宮 シメ(いちみや しめ)
整形外科病棟305号室の患者。81歳女性。自宅で転んで骨折し、認知症もある。40代くらいの娘がいて毎日のように看病しにくるが、「あんたのせいでこんなところに入らなきゃならない」「あんたなんか生まなきゃよかった」「武史(息子)は来ないの?」と罵るため、娘はうつ病を発症した。息子の武史は見舞いには全く来ない。栗まんじゅうが好き。
シメ自身も8番目の子供で、7番目の姉が最後という意味をこめたトメという名前だったにもかかわらず生まれてきてしまった望まれない子供だった。
肺炎で亡くなるが、最期まで娘ではなく息子の名前を呼び続けた。
楠山 幸一(くすやま こういち)
腹痛で救急で運び込まれた患者。35歳。虫垂炎による腹膜炎と院長に診断され手術を受けるが、翌日急変して亡くなる。
早川 京子(はやかわ きょうこ)
腹痛で救急車で運ばれてきた患者。42歳。虫垂炎と院長に診断されて手術を受ける。しかし実際は十二指腸が破れており、師長が機転を利かせて啓大病院に送ったおかげで命をとりとめた。
菊地 勇(きくち いさむ)
消防団の帽子をかぶり、ラッキーという黒いラブラドールレトリバー(メス)を連れて散歩していた男性で、弥生は通勤途中に何度か姿を見かけていた。背が高くて姿勢が良く、強面だが鼻筋が通った顔立ちで66歳という実年齢より若く見える。津軽出身でなまっている。スーパー「ヤオサワ」の勤続30年記念の金メッキの腕時計をいつもしている。
それまで病院には縁がないことが自慢だったが、健康診断で便潜血でひっかかり、大腸がんの疑いで桜が丘病院に検査入院してくる。見舞いには奥さんや同年代の人、消防団の仲間、娘や息子や勇樹(ゆうき)という孫、学校の先生と生徒たちまで来ていた。奥さんは洗濯好き。
弥生が九九ができないことを打ち明けると、誰にも言わないと約束しつつ「それでも看護師になるなんてすばらしい」と褒め、九九をひらがなで書いたものを渡してくれる。

その他

松井(まつい)
啓大病院の救命医。藤堂師長と知り合い。
みき
最初の施設で弥生が1番仲が良かった子。弥生より1つ年上。親は健在で、休みになると家に帰る。弥生とケンカになった時、「弥生ちゃんは捨て子だからわがままなんだよ」と言ってしまう。
幸子(さちこ)
2か所目の施設での弥生の担当。化粧気はなく、髪の毛も少なく白髪が目立つ。ほっそりしている。
あや
2か所目の施設で、壁やベッドの足に自分で何度も頭をぶつけていた男の子の担当者。
花乃(はなの)
弥生が小学5年生の時に施設にやって来た女の子。おかしいことをはっきりおかしいと言う。弥生に、明日というものがあることを気づかせた子。
川村 賢二(かわむら けんじ)
藤堂師長が看護師になって初めて注射をした患者。失敗してもニコニコと受け入れ、「明日もおいで」と言う。

テレビドラマ

脚注

外部リンク

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