「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ノウ」はニックスがフリートウッド・マックに加入前の1974年、「バッキンガム・ニックス」のセカンド・アルバム用に書いた曲である。結局アルバムを作らないまま、彼女とリンジー・バッキンガムは1975年1月にフリートウッド・マックに加入した。
1976年2月から8月にかけてアルバム『噂』のレコーディングが行われる過程で、スティーヴィー・ニックスが書いた「シルヴァー・スプリングス」が録音される。しかし他のメンバーは「シルヴァー・スプリングス」はアルバムにはそぐわないと判断、収録を拒否した。ニックスがそのわけをミック・フリートウッドに訊くと、「理由はたくさんあるが、あの曲は根本的に長すぎるんだよ。君が書いた別の曲でもっといいものがあると俺たちは考えている」と彼は答えた[2]。以下は1991年にBBCが行ったインタビューにおけるニックスの証言である。
「シルヴァー・スプリングス」のことで怒り始める前に、別の曲って何?と尋ねた。彼は「『アイ・ドント・ウォント・トゥ・ノウ』って歌だ」と言った。
「でも私はあの歌をレコードに入れたくない」
「そうか。それじゃ歌うのはやめな」
私は金切り声を上げて、およそ人が思いつくだけのののしり言葉を彼に向かって浴びせた。それから完全に気が変になった状態でスタジオに戻って言った。「『アイ・ドント・ウォント・トゥ・ノウ』は歌わないわよ。言っとくけど私はこのバンドの5分の1ですからね」
みんなは言った。「君の選択肢は(A)とっととここから立ち去る、(B)素直に『アイ・ドント・ウォント・トゥ・ノウ』を歌う、のどちらかだ。もっとも歌わなきゃレコードに入る君の歌は2曲だけってことになるがね」と。拳銃を頭に突き付けられたようなものよ。私は歌って、「シルヴァー・スプリングス」の方は「オウン・ウェイ」のB面に収録された
[2]。
ニックス以外の4人のメンバーはすでに「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ノウ」のレコーディングを済ませており[3]、ニックスはその音源に自分の歌をかぶせた。結果としてニックスとバッキンガムの二人による、エヴァリー・ブラザーズ・スタイルの明るいアップテンポの曲ができあがった[4]。
1977年2月4日発売の『噂』に収録。
2013年に発売された『噂』の35周年記念盤スーパー・デラックス・エディションに、バッキンガムのみが歌うアーリー・テイクが収録された[5]。