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アンハングエラ科

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アンハングエラ科(アンハングエラか、学名Anhangueridae)は翼指竜亜目に属する翼竜の1。歯を持った翼竜としては最後期の科。前期白亜紀から後期白亜紀にかけて(バランギニアン-チューロニアン)、およそ 140 - 90 Ma(Ma:100万年前)に生息していた。

概要 アンハングエラ科 Anhangueridae, 地質時代 ...
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ケツァルコアトルスのようなアズダルコ科の出現以前は最大の翼竜でもあった。アンハングエラ科は魚を狩る事に長けており、飛行技術を駆使して獲物を捕え、時々翼を打ち下ろすだけで長大な距離を飛行する身体能力も持っていた。

歴史

命名

Ornithocheirus simus の模式標本CAMSM B54428 (A-D) と、同種に属するとされる標本CAMSM B54552 (E-H)

アンハングエラ科は非常に議論を呼ぶ混み合った分類の歴史がある。(イスティオダクティルス科Pteranodontia と同様に)グループ内での相互関係とどの翼竜がこの科に属しどれが属さないかについての一致した見解は未だ無い。アンハングエラ科の化石記録の殆どは抜け落ちた歯や断片的な骨であり、いくつかの産出地では数百から時には数千個も見つかる[1]。最初に発見されたアンハングエラ科化石は1861年にイギリスの古生物学者リチャード・オーウェンによって記載され、オーウェンはその化石をプテロダクティルス属 (Pterodactylus) の新種 Pterodactylus simus とした[2]。1869年、イギリスの古生物学者ハリー・ゴーヴィア・シーリーは新しい属オルニトケイルスOrnithocheirus古代ギリシア語で「鳥の手」の意味)を設立し、P. simus はその模式種とされ Ornithocheirus simus と名が変わった。1870年になって、シーリーはオルニトケイルスのみを含む Ornithocheirae という名の分類群を作った[3]。今日では、この名称は国際動物命名規約 (ICZN) 条11.7.1.3 に従って、原綴 "Ornithocheirae Seeley 1870" の設立時の著者権と日付を維持したまま正式な科階級語尾を持った "Ornithocheiridae Seeley 1870" に修正されている[4]

1874年、オーウェンは非常に特徴的な顎片を基に2つの白亜紀イギリス産翼竜の新属、コロボリンクスColoborhynchus:「傷つけられた嘴」の意味)とクリオリンクスCriorhynchus:「破城槌の嘴」の意味)を提唱した[5]。オーウェンは P. simus をクリオリンクスの模式種に指定し、Criorhynchus simus とした。オーウェンはコロボリンクスに3種を認め、その中には C. clavirostris という名の新種も含まれていたが、模式種は指定されなかった[6]。しかし1876年、シーリーはコロボリンクスはオルニトケイルスの新参異名であると指摘し、これは1888年に古生物学者リチャード・ライデッカーによって追認された[5]。後年、ライデッカーは Ornithocheirus simus がオルニトケイルス属の模式種であると認め、同時に O. simus はその上に伸びた吻部で他のオルニトケイルスとされている種(槍先状の吻端を持つ)から区別されるとした。ライデッカーは混同を避けるために、"クリオリンクス" を O. simus に充てて "オルニトケイルス" を他の槍先状吻を持つ種に充てる事を好むようになり、この考えは1914年に古生物学者 Reginald Walter Hooley にも支持された。彼のオルニトケイルスに関するレビューにおいて、彼はオルニトケイルス科 (Ornithocheiridae) を2つの亜科、オルニトケイルス亜科 (Ornithocheirinae) とクリオリンクス亜科 (Criorhynchinae) に分割した:オルニトケイルス亜科はオルニトケイルスと Lonchodectes で構成され、クリオリンクス亜科は Amblydectes とクリオリンクスからなっていた[7]。そのレビューの中で、Hooley は "Coloborhynchus clavirostris" を "Criorhynchus simus" のシノニムであるとした[4][8]。しかし1967年になって、古生物学者 Oskar Kuhn はクリオリンクスをクリオリンクス科(これは現在アンハングエラ科と同義だと考えられている)におき、オルニトケイルスをオルニトケイルス科オルニトケイルス亜科においた。Kuhn は Coloborhynchus clavirostris をコロボリンクス属の模式種に指定したが、Hooley に同意し Co. clavirostrisCr. simus のシノニムとした[4][6]。しかし1994年に李隆濫 (Lee Yuong-Nam) は、コロボリンクスは Co. clavirostris を模式種とした有効な属であり、Criorhynchus simus とは別のものであるとした[6]。その後2001年に古生物学者の David Unwin はケンブリッジ海緑色砂岩 (Cambridge Greensand) 産翼竜の分類史を見直し、オルニトケイルス科 (Ornithocheiridae) を3つの属(オルニトケイルス属、コロボリンクス属、アンハングエラ属)に分割した。Unwin はまた、Ornithocheirus simus をオルニトケイルス属の模式種に指定し、かつ唯一の種であるとした[4]

2003年に Unwin はオルニトケイルス科を、Haopterus gracilisOrnithocheirus simus を含むグループの最も近い共通祖先とその子孫全て、と定義した。Umwin はオルニトケイルス科に、アンハングエラ・Brasileodactylus・コロボリンクス・ハオプテルスLudodactylus・オルニトケイルスを属させ、さらに AraripesaurusArthurdactylusSantanadactylus もこの科に属する可能性があるとした。しかし彼らの分類上の状況と他のオルニトケイルス科翼竜との正確な系統関係は不明である[9]。Unwin によってオルニトケイルス科とされ[9]、Brian Andres らによって Eupterodactyloid の基盤的位置に置かれていた[10]ハオプテルスは、2019年のミモダクティルスの記載においてアレクサンダー・ケルナーらによってミモダクティルスの姉妹群であるとされた[11]

2014年に Andres らはオルニトケイルス科に対して、Ornithocheirus simus を含むが Anhanguera blittersdorffi を含まない最も包括性の高いクレード、と別の定義を与えた。Andres らはコロボリンクス・オルニトケイルス・トロペオグナトゥスをオルニトケイルス科においたが、アンハングエラは別の科であるアンハングエラ科とした[10]。一方で、遡ること2001年に Unwin はアンハングエラ科 (Anhangueridae) はオルニトケイルス科 (Ornithocheiridae) の新参異名であるとしており[5]、この考えはその後何人かの古生物学者(2013年の Mark Witton など)に受け継がれた[1]。しかしながらいくつかの系統分析では、オルニトケイルス科とアンハングエラ科が別の科として分類されるというこの2つの同義性に否定的な結果が出たため、代わりに2014年の Andres らによる分析に従っている[12][13][14]。2019年のケルナーらによる研究のような現代の多くの研究では、コロボリンクス・トロペオグナトゥスをいくつかの他の属(LudodactylusCaulkicephalus など)と共にアンハングエラ科におき、それがハミプテルス科 (Hamipteridae) とあわさってより大きなグループ Anhangueria を形成するという、また違った考え方をとっている。これらの場合、オルニトケイルス属はその標徴の貧弱さから Anhangueria の外に置かれた[4][11][15]。最近の研究のほとんどはこの見解に従っている[16][17][18]

記載

オルニトケイルス模式標本 (A, C) とトロペオグナトゥス模式標本 (B, D) の比較

歯を持つ翼指竜亜目翼竜の中でアンハングエラ科は最大であり[19]、最も成功し最も広く分布した翼竜でもあった。アンハングエラ科は、長い上下顎と釘のような歯を特徴とする。彼らの翼開長は変化に富み、小型の種ではおよそ 4 m である一方で、大型種の翼開長は 8 m を超える事もあった[13]。最大の有歯翼竜である Coloborhynchus capito のものとされる標本番号 NHMUK R481 は、翼開長が 7 m に達した可能性がある[20]。しかしながら2013年に、アンハングエラ科と推定される[21]トロペオグナトゥス標本 (MN 6594-V) の翼開長は通常 8.26 m、最大 8.70 m と推算され、歯を持つ翼竜でも翼開長が 7 m を超える事があると示している[21]

頭骨

Anhangueria に属する異なる翼竜の頭骨比較:Hamipterus (A,B)、Ludodactylus (C)、Caulkicephalus (D)、トロペオグナトゥス (E, F)、アンハングエラ (G, H)、Uktenadactylus (I, J)

アンハングエラ科は上下に半円形のトサカをもった長い顎を持ち、牙のような頑丈な歯を備える[13][22]Ornithocheirus simusTropeognathus mesembrinus のトサカはの前端にまで伸びており、同様の特徴は Siroccopteryx moroccensis にもみられる:これら3種のさらなる共有派生形質も見つかっており、高く細い前面を持つ前上顎骨、前方から見ても側方から見ても膨らんでいる前上顎骨の前側縁、尖らず丸い外観を持つ吻部前端などが含まれる。S. moroccensis の吻には吻端ロゼット後部のくびれがなく、この特徴は O. simusT. mesembrinus にも共有されているため、これもまたこの3種に見られる新たな共有派生形質である。この3種が共有する特徴には他に、歯が直線的で短く比較的一様な大きさをしている点があり、これはコロボリンクスやアンハングエラなどの他の Ornithocheira 類には存在しない特徴である[18][13]。コロボリンクスにおいては、異歯性で長く反り返った犬歯状の歯を持ち、この特徴は Caulkicephalus と呼ばれる別のアンハングエラ科翼竜にもみられる[16][18][23]Caulkicephalus は垂直に切り立つまで伸びた吻部前端や滑らかな吻部背側縁を含む低い骨質の矢状稜など、他のアンハングエラ科翼竜との類似性がある一方で、いくつか独自の形質をも持っている。Caulkicephalus の最も特異な特徴は前頭骨-頭頂骨上にトサカを持つことであり、同じ特徴が見られるのはプテラノドンなど Pteranodontia 類と、かつてはオルニトケイルス科に分類されていたが最近の分析ではより包括的なグループである Anhangueria に収められるようになった Ludodactylus のみである[12][14][24]。なおLudodactylus については、より限定的なアンハングエラ科であるとする研究もある[11][16][18]

体骨格

飛行中のトロペオグナトゥス3頭の復元図 高いアスペクト比に注目

アンハングエラ科の前肢は比率的に非常に大きく、脚部のおよそ5倍の長さがある。この強力な腕部を保持するために胴体の支持部は頑丈である必要があり、そのためアンハングエラ科翼竜は強健な肩甲烏口骨と強固で深い竜骨を持った胸骨を持ち、前肢に必要な筋肉の付着部となっている。アンハングエラ科の肩帯は脊椎に対して直角に位置しており、烏口骨肩甲骨よりずっと長い。肩帯は Ornithocheiroidea に典型的な構成となっている。翼長の 60 % 以上を翼指骨が占めており、これは他の翼指竜亜目のなかでも最大の割合である[25]

成体のアンハングエラ科翼竜では仙椎棘突起の上部に上神経棘板が発達する。アンハングエラ科の尾部に関してはほとんどわかっていないが、少なくとも 11個の短い尾椎からなり後端に向かうに従い断面が円形に近くなっていくと考えられている。類縁のあるイスティオダクティルス科のように、アンハングエラ科の細長い大腿骨は骨軸とほぼ同方向に飛び出した大腿骨頭を持つが、後趾の筋群が付着する顕著な突起などは持たない。アンハングエラ科の脛骨も同様に発達し大腿骨と同じ長さになる。アンハングエラ科の足部はほとんど明らかになっていないが、おそらくは小型で華奢であり未発達の鉤爪とフック状の第5中足骨を持っていたと考えられている[26]

分類

アンハングエラ科 Ferrodraco の上下顎 (A)、同科 Mythunga の上下顎 (B)、別科 (Targaryendraconidae) Aussiedraco の下顎 (C) 全て模式標本

アンハングエラ科は、非常に込み入って複雑なその分類の歴史をもっており、このグループについて研究してきた古生物学者は分類群の構成について各々異なった意見を持っているかのようである。アンハングエラ科 (Anhangueridae) という分類群名は1985年に Diogenes de Almeida Campos と Kellner によってこのグループに収められる翼竜を指す語として作られた。しかし2001年に Unwin は、オルニトケイルス科 (Ornithocheiridae) という分類群名が当該の翼竜グループに対して用いられており、命名規約上の優先権を持つはずであると主張した[1]。そのため Unwin は2003年の翼竜の系統関係に関する研究において、アンハングエラ科をオルニトケイルス科の新参異名として扱った[9]。しかしながら最近の研究の多くでは、アンハングエラ科はオルニトケイルス科とはそれぞれ異なる属を含む別の科として復活している[27]。シーリーによる原綴 Ornithocheirae は、Anhanguera blittersdorffiOrnithocheirus simus を含む最も包括性の低いクレードであると再定義され[10]、近年の分析でアンハングエラ科とオルニトケイルス科から構成されるより大きなグループとして復活した[10][12][13][14]

かつて本科とされていた属

過去には多くの属がオルニトケイルス科に分類されていたが、最近の研究ではオルニトケイルス科と考えられていたこれらの属は他の科やグループに再分類されている。例えば、Boreopterus は当初オルニトケイルス科に分類されたが、後の分析ではボレオプテルス科 (Boreopteridae) と呼ばれる別の科であるとされた。2019年のRodrigo Pêgas らのような最近の研究では BoreopterusZhenyuanopterus の姉妹群とされた上でボレオプテルス科として Lanceodontia 類の基盤的グループとされており[17]、同じく2019年の Adele Pentland らによる研究では BoreopterusZhenyuanopterus をボレオプテルス亜科とした上で同様の位置においている[14]

Aetodactylus も当初オルニトケイルス科に分類されていた別の翼竜で、後にオルニトケイルス科の外に置かれた。例として、Timothy Myers による2015年の研究や Nicholas Longrich らによる2018年の研究では、AetodactylusCimoliopterus 属の2種(C. cuvieriC. dunni)と姉妹群であるとされた[12][27]。2019年、Pêgas らは Aetodactylus を他2つの翼竜(CamposipterusCimoliopterus)と共にクレード Targaryendraconia 内の Cimoliopteridae 科に置き、他2属と合わせた3属は多分岐 (polytomy) を構成するとした[17]

ハオプテルス (Haopterus) は2003年の Unwin の研究ではオルニトケイルス科とされていた。しかしながら2013年の Andres と Myers による研究では、2001年の Unwin の論文の校正刷りに付記された小型のオルニトケイルス科と思われるという記述以外に、ハオプテルスがオルニトケイルス科とされたことは無かったと指摘された。それ以降行われた分岐分析ではハオプテルスを翼指竜亜目や Ornithocheiroidea (sensu Kellner 2003) や Pteranodontoideaイスティオダクティルス科など多くの分類群の中での孤立したタクソンとして扱われた。Andres と Myers による系統分析においては、ハオプテルスはオルニトケイルス科の安定な姉妹群とされた[28]。その後の研究のいくつかはこの見解を受け継ぎ、ハオプテルスとオルニトケイルス科を共により大きなグループである Eupterodactyloidea の中に置いた[10][12][29]。2019年の別の研究では、ハオプテルスはミモダクティルス科 (Mimodactylidae) と名付けられた別科に置かれている[11]

系統

行われる系統分析ごとにこの科に含まれる属には変化があり、特にトロペオグナトゥス・コロボリンクス・オルニトケイルスなどで特にそれが著しい[27][28]。2014年、Andres らはオルニトケイルス亜科 (Ornithocheirinae) を創設しコロボリンクスとオルニトケイルスをそこに含ませトロペオグナトゥスの姉妹群として、全体でオルニトケイルス科を構成するとした[10]。2018年に Longrich らは 自分たちの分析の中で、Siroccopteryx をコロボリンクスの姉妹群でありオルニトケイルス亜科とした[12]。2019年、Adele Pentland らによる研究ではオルニトケイルス科にはさらに多くの属が含められ、トロペオグナトゥス・コロボリンクス・オルニトケイルスなど典型的な属が含められた上で、Pentland らは FerrodracoMythunga も同様にオルニトケイルス科に(オルニトケイルス亜科の中のオルニトケイルスに近縁な姉妹群として)属するとした[14]。同年、Megan Jacobs らの分析中においてオルニトケイルス科内の関係性についてまた異なった組み合わせが発表された。オルニトケイルス科の中には3つのクレードが置かれ、1つ目のクレードはオルニトケイルス・トロペオグナトゥス・Siroccopteryx からなり、2つ目にはコロボリンクス属の数種と共に Uktenadactylus が含まれ、3つ目は CimoliopterusCamposipterus を含む。Siroccopteryx・オルニトケイルス・トロペオグナトゥス間の近密な類縁関係は、短く直線的で比較的大きさの揃った歯のようないくつかの共有派生形質によって支持されている[13]

アレクサンダー・ケルナーら (2019年) [11][15]や Rodrigo Pêgas ら(2019年) をはじめとする最近のいくつかの研究は、コロボリンクス・Siroccopteryx・トロペオグナトゥス・Uktenadactylus をオルニトケイルス科ではなくアンハングエラ科であるとした[17]。2020年の Borja Holgado と Rodrigo V. Pêgas による研究では FerrodracoMythunga もオルニトケイルス科ではなくアンハングエラ科に置かれた[18]

Cimoliopterus はアンハングエラ科ではないと唱えられ、その後の分析でも上記のように Aetodactylus と姉妹群とされた[12][27]。別の説では Cimoliopterus をクレード Targaryendraconia の中に置き、やはり Aetodactylus と近縁なだけでなく Camposipterus も一緒に3属で Cimoliopteridae 科を形成するとした[17]。Jacobs らによる分析では、Cimoliopterus 属の2種が Camposipterus 属の3種 (C. nasutus, C. colorhinus, C. segwickii) の姉妹群であり、これらがまとまってオルニトケイルス科の中の未命名クレードが構成されるという結果がでた。しかし、Jacobs ら自身の注記によると、スコアできる特徴の数が少なく同形形質のレベルが非常に高い事に起因して、この結果に至る根拠は比較的貧弱である[13]

2020年の Borja Holgado と Rodrigo V. Pêgas によるアンハングエラ科と他のクレード間の関係を表すクラドグラムを以下に示す。

Lanceodontia

下記のクラドグラムは Richards et al. (2023) によるアンハングエラ科内の関係を示しており、データマトリクスは Holgado と Pêgas のものを基にしている。この論文において筆者らはオーストラリア産トロペオグナトゥス亜科翼竜を含むクレード Mythungini を創設した[30]

下記のクラドグラムは Pêgas (2025) によるアンハングエラ科を含んだ Ornithocheiriformes 類内の関係を示しており、筆者の Mythunga はその標徴が属に特有とみなせるものがない疑問名であり Mythungini というクレードの使用に同意できないとの考えを反映している[31]

純古生物学

食性と採餌

Lonchodectes から獲物を盗む Cimoliopterus の復元図

アンハングエラ科は主に海上を飛行するのに適した体制を持っている事から総じて魚食性だと考えられており[33]、実際ほとんどのアンハングエラ科は湖性・沿岸性・海性堆積物から産出している[34]。アンハングエラ科翼竜が餌を捕える方法については詳しい研究がなされていないが、一般的にこの科の翼竜は、現生のハサミアジサシのように下顎を水面下に差し込んだまま飛行し(スキミング)獲物に当たると同時に摘み上げる方法か、現生のアジサシグンカンドリのように水面から獲物を拾い上げる方法をとっていたと考えられている。アンハングエラ科翼竜におけるスキミング仮説は近年評価を下げている一方、拾い上げ法は多くの解剖学的特徴によって支持されている。アンハングエラ科の伸長した吻部は水中に伸ばして遊泳中の生物を保持するのに理想的であると考えられており、彼らの吻部トサカは水に突入させた際に上下顎を安定させる働きがあったのだろう。大きく前方を向いた両眼と発達した小脳片葉も同様に拾い上げ法に適しており、獲物の効率的発見と襲いかかる際の距離判定が可能となっている:このことから少なくとも数属のアンハングエラ科翼竜は拾い上げ法に長けていたと考えられる。狩りをする際には、例えば水面に立って餌に口を伸ばしたり、水面から浅く潜ったりするなど、より穏やかな採餌法も用いられた可能性もある[33]

移動と飛行

現生のアホウドリと同じように、アンハングエラ科のほとんどは「ダイナミック・ソアリング (dynamic soaring)」と呼ばれる飛行技術を用いており、この飛行法は海面近くの垂直風速勾配を利用して適度な速度で羽ばたかずに長距離を移動するという利点を持つ。いくつかの研究ではアンハングエラ科はワニのように四肢を大きく横に広げて這いつくばっていたとされるが、別の研究ではアンハングエラ科は通常四足歩行をしていたと結論づけられた。さらに別の研究ではアンハングエラ科は鳥類や哺乳類のようにその四肢をおおよそ垂直に伸ばしていたとされた[35]。後期の属に関する研究では、アンハングエラ科翼竜はほとんどの時間を海上で過ごし、結果として後に現れる同様に魚食性で卓越した飛行技術を持つプテラノドン科に先行していた[36][37]。しかしアンハングエラ属の四肢比率に関する分析では、アンハングエラ科翼竜の中にはピョンピョン飛び跳ねていたと考えられるものもいたが、後期の属では翼指を前肢として、後肢を平衡を取るために用いて、四足歩行を行っていたとされた[38]

古環境

アンハングエラ科は分布の広い翼竜で、多くの化石が世界中から発見されている[22]。最初に発見された真にアンハングエラ科と考えられる化石は、イングランドのケンブリッジ海緑色砂岩 (Cambridge Greensand) 産の多くの問題を抱えた属であるオルニトケイルスであり、時代は前期白亜紀のアルビアンとされている[5]。この発見地では他の翼竜もいくつか見つかっており、Amblydectes やコロボリンクス[6]、Targaryendraconia 類の CamposipterusLonchodraconidae 科の Lonchodraco[4]Azhdarchoidea 類の Ornithostoma [39]などがいた。鳥盤類アノプロサウルスアカントフォリス[40]、疑問名の Eucercosaurusトラコドンも同じ層から発見されている[41]竜脚類 Macrurosaurus の化石もあった[42]鳥類エナリオルニス[43]魚竜Cetarthrosaurusプラティプテリギウスシステロニアなども、アンハングエラ科化石と一緒に見つかっている[44]

ブラジル・アラリペ盆地の地質図:サンタナ層群の範囲は暗青色で示されている

ブラジル北東部のサンタナ層群(サンタナ累層としても知られる)と呼ばれるラーガーシュテッテは多数の翼竜の属を産出している。この層群で最も多数の化石を産するのはロムアルド累層であり、翼竜化石の豊富さでも有名である[45]。ロムアルド累層の年代は前期白亜紀アルビアン、 111 - 108 Ma(Ma:100万年前)だと推定されている。ロムアルド累層からは、トロペオグナトゥス[21]・コロボリンクス[46]Araripesaurus[47] など様々なアンハングエラ科翼竜、Targaryendraconia 類の Barbosania[48]、さらに加えて近縁のアンハングエラMaaradactylus も産出している[49]。類縁のアラリペダクティルスBrasileodactylus[50]ケアラダクティルス[51]Santanadactylus[52]Unwindia[53] もここにいた。他にも多くの翼竜が発見されており、タペヤラ科のタペヤラ[54]だけでなくタラッソドロメウス科(またはタラッソドロメウス亜科:著者によって変わる)のタラッソドロメウス[55]トゥプクスアラ[56]もそれに含まれる。獣脚類イリタトル[57]ミリスキア[58]サンタナラプトルワニ形上目アラリペスクス[59]など他の動物も見つかっている。この層準はカメ類の化石も産し、いくつかの標本がサンタナケリスCearachelysアラリペミスと同定されている[60][61]Brannerionサカタザメ属RhacolepisTharrhiasTribodus[62] であるとされる多数の魚類化石も発見されている。

アンハングエラ科は北米の一部にも分布しており、数点の標本は Uktenadactylus 属(元は Coloborhychus wadleighi とされていた)に帰属すると考えられている[63]。この翼竜はアメリカテキサス州Paw Paw 累層から産出し、層準はアルビアン階-セノマニアン階であると推定されている。この累層からはパウパウサウルスTexasetes・未同定のノドサウルス科などの曲竜類も見つかっている[64][65][66]TurrilitesScaphites であると考えられているアンモナイト[67]に加え、サメ類の Leptostyrax の化石もこの地から発見されている[68]

出典

参考文献

外部リンク

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