エディントンへようこそ

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エディントンへようこそ』(Eddington)は、2025年アメリカ合衆国ネオウェスタンスリラー映画。監督・脚本はアリ・アスターが務め、主要キャストとしてホアキン・フェニックスペドロ・パスカルルーク・グライムスディードル・オコンネル英語版マイケル・ウォードオースティン・バトラーエマ・ストーンが出演している。COVID-19パンデミック下のニューメキシコ州英語版を舞台に、市長選挙を巡る保安官と市長の対立が引き起こした政治的・社会的混乱を描いている[4]

2025年5月16日に第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でプレミア上映された後、7月18日からA24配給で劇場公開された[5]。『エディントンへようこそ』は批評家から好評を博し、興行収入は1300万ドルを記録している[3]

COVID-19パンデミック下の2020年5月下旬。ニューメキシコ州にあるエディントン市の市長テッド・ガルシアは、州知事の要請に基づきロックダウンを実施し、全住民にマスクの着用を義務付けたが、保安官のジョー・クロスは「選択の自由」を理由にテッドの命令に反対する。ジョーは精神的に不安定な妻ルイーズと、陰謀論に傾倒する義母ドーンと3人で暮らしていた。やがて、ジョーは産業振興のためにデータセンターの誘致を進めるテッドの対抗馬として市長選挙に立候補を表明するが、その決断は引きこもりがちだったルイーズを動揺させ、夫婦間に亀裂が生じてしまう。彼は保安官事務所の助手ガイとマイケルと共に選挙運動を進めていくが、その一方でルイーズはカルト団体の教祖ヴァーノンに心酔して陰謀論にのめり込んでいく。ルイーズとドーンはヴァーノンを夕食に招待し、小児性愛や児童売買について議論する中でジョーはヴァーノンに不信感を抱き、その中でルイーズが幼少期に父親から性的虐待を受けていたことが示唆される。

同じころ、テッドの息子エリックは友人のブライアンや社会運動に熱心なサラと共にBLM運動に参加するようになる。サラは元恋人でアフリカ系アメリカ人のマイケルをBLM運動に勧誘するが拒否され、一方のジョーは選挙戦を有利に進めるために、「ルイーズがテッドから性的暴行を受けていた」と暴露する。しかし、ルイーズはSNSを通じてジョーの主張を否定し、ヴァーノンと共にエディントンを去ってしまう。翌日、ジョーは騒音苦情の通報を受けてテッドのもとを訪れ、資金調達イベントを中止するように命令するが、出席者の面前でテッドに平手打ちされてしまう。その日の夜、ジョーは精神障害を患う浮浪者ロッジを射殺し、遺体を川に遺棄する。次にテッドとエリックを射殺したジョーは、2人の殺害をANTIFAの犯行に偽装して記者会見を行うが、同時期に重武装したテロリスト集団が飛行機に乗り込みエディントンに向かっていた。一方、プエブロの警察官バタフライは、犯人がプエブロの土地から2人を狙撃したことを突き止め、ANTIFAの犯行と決めつけるジョーとは別に捜査を開始する。その後、ジョーはサラやマイケルを犯人に仕立て上げようと画策し、マイケルを逮捕する。

その日の夜、テロリスト集団がエディントンに到着し、保安官事務所を襲撃してマイケルを拉致する。ジョーとガイは砂漠の中でマイケルを発見して確保しようとするが、直後にテロリストが仕掛けた爆弾が爆発してマイケルが重傷を負い、巻き込まれたガイは死んでしまう。ジョーはテロリストに命を狙われながら町を逃げ回り、偶然逃げ込んだ銃器店から銃を拝借してテロリストに反撃するが、騒ぎを聞いて駆け付けたバタフライを誤射してしまう。負傷したバタフライはその場に倒れ込み、テロリストに射殺される。追い詰められたジョーはテロリストに頭部を刺され瀕死の重傷を負うが、現場に居合わせたブライアンがテロリストを射殺してジョーを助け出す。

テロリストの襲撃から1年の歳月が流れ、ブライアンはテロリストを射殺した際に撮影していた動画がきっかけとなり、世間の注目を集める保守系インフルエンサーになっていた。一方、一命を取り留めたジョーは市長に当選したものの、脳に重大な損傷を受け、全身麻痺の状態に陥っていた。そのため、彼にはドーンが介助者として付き添い、公式の場では彼女がジョーの代理として振る舞い、テッドの経済顧問だったウォーレンと共にデータセンターの誘致を実現させる。データセンターの開所式を終えて帰宅したジョーとドーンは、勢力を拡大するヴァーノンのニュース映像を目にし、映像からルイーズがヴァーノンの子供を妊娠していることを知り衝撃を受ける。郊外の砂漠では、保安官代理に昇格したマイケルが射撃の訓練をしており、銃声が響きわたる中で物語が終わる。

キャスト

※括弧内は日本語吹替。

製作

企画

『エディントンへようこそ』は、元々アリ・アスターが長編映画監督デビュー作として構想していた現代西部劇英語版作品である。彼は5年間かけて脚本の執筆を進めていたものの、最終的には『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』の企画を進めることになった[6]。その後、アスターは『ボーはおそれている』のプロモーション活動中、次回作がCOVID-19パンデミック下を舞台とした西部劇作品となることを示唆している[7][8]

2023年1月にエマ・ストーンクリストファー・アボットの出演が決まったほか[9]ホアキン・フェニックスの起用が検討されており、8月にはアスターとフェニックスがロケーション撮影の下見のためにニューメキシコ州を訪れている[10]。2024年3月にフェニックスのほかオースティン・バトラーペドロ・パスカルルーク・グライムスディードル・オコンネル英語版マイケル・ウォードクリフトン・コリンズ・Jrの出演が決定した[11][12]。製作はスクエア・ペグとA24が共同で手掛け、アクセス・エンターテインメント英語版IPR.VC英語版が製作費を出資している[11][13]。同年3月から5月にかけてアルバカーキトゥルース・オア・コンシクエンシーズで撮影が行われた[14][15]

音楽

『エディントンへようこそ』
ボビー・クルリック英語版ダニエル・ペンバートンサウンドトラック
リリース
ジャンル サウンドトラック
時間
レーベル A24ミュージック
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2025年4月9日にボビー・クルリック英語版が映画音楽を手掛けることが発表され[16][17]、5月にはダニエル・ペンバートンが共同で作曲を手掛けることが明かされた[18]。サウンドトラックは7月18日にA24ミュージックからリリースされている[19]

インディワイヤー英語版』のデヴィッド・エーリッヒ英語版は、本作の音楽が武満徹から強く影響を受けており、物語の中で発生する事件の空気感を適切に表現していると指摘しており[20]、『ハリウッド・リポーター』のデヴィッド・ルーニーは「ボビー・クルリックとダニエル・ペンバートンが作り出した不気味な音楽は、"人々を苛立たせる"という、アスターの過去4作品に共通する性質に見事にマッチしている」と批評したほか[21]、『スクリーン・インターナショナル英語版』のトム・グリーソンは「不安を引き起こす音楽」[22]、『ロサンゼルス・タイムズ』のエイミー・ニコルソン英語版は「うめき声を思わせる音楽」とそれぞれ批評している[23]。また、『コリダー』のエマ・カイリーは「アスター作品の常連であるボビー・クルリックとダニエル・ペンバートンの作り出す音楽が、この犯罪スリラー映画の雰囲気をさらに盛り上げてくれる。この低く響きわたる音楽が、この映画がアスター作品であることを思い出させてくれるだけでなく、そのすべてが表面上とは異なるものであることを示唆してくれるのだ」と批評し[24]、『タイム』のステファニー・ザカレク英語版は「ボビー・クルリックとダニエル・ペンバートンの音楽は素晴らしい。エルマー・バーンスタインを想起させる軽快な旋律が、雄大な音楽を紡ぎ出してくれる」と批評したほか[25]、『Deadline Hollywood』のデイモン・ワイズも「本作の音楽は、ボビー・クルリックとダニエル・ペンバートンが作り出した西部劇に相応しい心に突き刺さるような旋律に彩られている」と批評している[26]

サウンドトラック

#タイトル作詞作曲時間
1.「Eddington」(Opening) ダニエル・ペンバートン
2.「City Limits」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
3.「Disturbing the Peace」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
4.「You Need a Mask」 ダニエル・ペンバートン
5.「Slogan Ideas」 ボビー・クルリック
6.「Ted and Joe Standoff」 ボビー・クルリック
7.「Dirt Track」 ダニエル・ペンバートン
8.「Take Back Your Mind」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
9.「Zoom Session」 ボビー・クルリック
10.「Joe Cross for Mayor」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
11.「Not a Here Problem」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
12.「Seeds of Protest」 ダニエル・ペンバートン
13.「No Justice No Peace」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
14.「Photo Message」 ボビー・クルリック
15.「Leaves」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
16.「Santa Lupe Crime Scene」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
17.「Here Comes the Cure」 ボビー・クルリック
18.「Sevilla County Observer」 ボビー・クルリック
19.「Third Party, No Conflict」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
20.「Butterfly Pursuit」 ボビー・クルリック
21.「No Peace」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
22.「We Draw Guns」 ダニエル・ペンバートン、ボビー・クルリック
23.「Eddington」(Ending) ダニエル・ペンバートン
24.「Joe Home」(Ending) (Alt Version) ボビー・クルリック
25.「Bedtime」 ボビー・クルリック
26.「Solidgoldmagikarp」 ボビー・クルリック
合計時間:

追加音楽

サウンドトラック未収録[27]

公開

2025年5月16日に第78回カンヌ国際映画祭でプレミア上映されたほか[28]、6月12日にシドニー映画祭英語版[29]、7月5日にレベレーション・パース国際映画祭英語版でそれぞれ上映された後[30]、7月16日にはオープニング作品として第29回ファンタジア国際映画祭英語版でも上映されている[31]。同月18日にアメリカ合衆国で劇場公開され[32]、10月には第20回ローマ国際映画祭英語版のベスト・オブ2025部門で上映されたほか[33]、同月30日には第38回東京国際映画祭英語版のガラ・セレクションでも上映されている[34]

評価

出典

外部リンク

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