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カルレティキュリン

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カルレティキュリン(英: calreticulin)は、ヒトではCALR遺伝子にコードされるタンパク質であり、カルレギュリン(calregulin)、CRP55、CaBP3、ERp60(endoplasmic reticulum resident protein 60)などの名称でも知られる[5][6]。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号CALR, CRT, HEL-S-99n, RO, SSA, cC1qR, calreticulin
染色体19番染色体 (ヒト)[1]
概要 CALR, PDBに登録されている構造 ...
CALR
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

3POW, 2CLR, 3DOW, 3POS

識別子
記号CALR, CRT, HEL-S-99n, RO, SSA, cC1qR, calreticulin
外部IDOMIM: 109091 MGI: 88252 HomoloGene: 37911 GeneCards: CALR
遺伝子の位置 (ヒト)
19番染色体 (ヒト)
染色体19番染色体 (ヒト)[1]
19番染色体 (ヒト)
CALR遺伝子の位置
CALR遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点12,938,578 bp[1]
終点12,944,489 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
8番染色体 (マウス)
染色体8番染色体 (マウス)[2]
8番染色体 (マウス)
CALR遺伝子の位置
CALR遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点85,568,479 bp[2]
終点85,573,563 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能• calcium ion binding
• protein folding chaperone activity
• 炭水化物結合
• ホルモン結合
• 金属イオン結合
• complement component C1q complex binding
• mRNA結合
• iron ion binding
• unfolded protein binding
• zinc ion binding
• integrin binding
• DNA結合
• シャペロン結合
• ペプチド結合
• androgen receptor binding
• ubiquitin protein ligase binding
• RNA結合
• 血漿タンパク結合
細胞の構成要素• 細胞質
• 細胞質基質
• endoplasmic reticulum lumen
• 膜
• 焦点接着
• 細胞外領域
• perinuclear region of cytoplasm
• sarcoplasmic reticulum lumen
• 細胞核
• endocytic vesicle lumen
• cell surface
• 小胞体
• エキソソーム
• ゴルジ体
• 細胞内膜で囲まれた細胞小器官
• 細胞外マトリックス
• 細胞内
• integral component of lumenal side of endoplasmic reticulum membrane
• 筋小胞体
• smooth endoplasmic reticulum
• ペプチドローディング複合体
• 先体
• external side of plasma membrane
• ポリリボソーム
• phagocytic vesicle membrane
• endoplasmic reticulum-Golgi intermediate compartment membrane
• 細胞外空間
• nuclear envelope
• 高分子複合体
• endoplasmic reticulum quality control compartment
• collagen-containing extracellular matrix
生物学的プロセス• negative regulation of neuron differentiation
• protein folding in endoplasmic reticulum
• 受容体介在性エンドサイトーシス
• 有機物への反応
• 細胞老化
• 精子発生
• positive regulation of dendritic cell chemotaxis
• regulation of apoptotic process
• 有機物への細胞応答
• positive regulation of phagocytosis
• negative regulation of intracellular steroid hormone receptor signaling pathway
• regulation of transcription, DNA-templated
• negative regulation of retinoic acid receptor signaling pathway
• cardiac muscle cell differentiation
• regulation of meiotic nuclear division
• protein maturation by protein folding
• positive regulation of cell cycle
• protein export from nucleus
• cellular response to lithium ion
• peptide antigen assembly with MHC class I protein complex
• antigen processing and presentation of peptide antigen via MHC class I
• タンパク質の安定化
• cellular calcium ion homeostasis
• negative regulation of transcription by RNA polymerase II
• positive regulation of DNA replication
• フォールディング
• negative regulation of transcription, DNA-templated
• cortical actin cytoskeleton organization
• chaperone-mediated protein folding
• エストラジオールへの反応
• response to testosterone
• ATF6-mediated unfolded protein response
• positive regulation of substrate adhesion-dependent cell spreading
• sequestering of calcium ion
• positive regulation of gene expression
• positive regulation of cell population proliferation
• protein localization to nucleus
• glucocorticoid receptor signaling pathway
• positive regulation of NIK/NF-kappaB signaling
• antigen processing and presentation of exogenous peptide antigen via MHC class I, TAP-dependent
• negative regulation of translation
• vesicle fusion with endoplasmic reticulum-Golgi intermediate compartment (ERGIC) membrane
• positive regulation of endothelial cell migration
• negative regulation of trophoblast cell migration
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_004343

NM_007591

RefSeq
(タンパク質)

NP_004334

NP_031617

場所
(UCSC)
Chr 19: 12.94 – 12.94 MbChr 19: 85.57 – 85.57 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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カルレティキュリンはカルシウムイオン(Ca2+)を結合する多機能型可溶性タンパク質である。Ca2+の結合親和性は低いものの、多くのCa2+を結合し、シグナルに伴って放出される。カルレティキュリンは小胞体と関連した貯蔵区画に位置し、小胞体常在タンパク質であると考えられている。

一部の文献で用いられている"Mobilferrin"[7]もカルレティキュリンと同一のものであると考えられている[8]。

機能

カルレティキュリンは誤ったフォールディングを行ったタンパク質に結合し、小胞体からゴルジ体への輸送を防ぐ。

類似した品質管理シャペロンであるカルネキシンは可溶性タンパク質に対してカルレティキュリンと同様の機能を果たすが、カルネキシンは膜タンパク質である。カルネキシンとカルレティキュリンはどちらも、末端にグルコース残基を含むオリゴ糖に結合する機能を持ち、こうした糖鎖を持つタンパク質を分解の標的としている。カルレティキュリンとカルネキシンは炭水化物に結合する能力を持つため、レクチンファミリーと関係している。正常な細胞過程においては、N-結合型グリコシル化時に付加されたオリゴ糖コア構造中のグルコースは、タンパク質のプロセシングの過程でトリミングされる。タンパク質のフォールディングを監視している酵素がミスフォールディングを検知した場合には、タンパク質にグルコース残基が再付加され、カルレティキュリン/カルネキシンが結合することでタンパク質のゴルジ体への移行が防がれるとともに、再フォールディングが試みられる。再フォールディングが成功しなかった場合には、異常なフォールディングのタンパク質は分解標的となる経路へ向かう[9]。

カルレティキュリンとカルネキシンは、MHCクラスI分子の産生にも重要なタンパク質である。新たに合成されたMHCクラスI分子α鎖が小胞体へ移行すると、カルネキシンが結合して部分的にフォールディングした状態に維持する[10]。β2-ミクログロブリンがペプチドローディング複合体(英語版)(PLC)に結合した後、カルレティキュリン(とERp57)はMHCクラスI分子に対するシャペロン作用を引き継ぎ、タパシン(英語版)がPLCと抗原処理関連トランスポーター(TAP)とを関連付ける。この結合によって、MHCクラスI分子が細胞表面に提示する抗原を結合する準備が整ったこととなる。

トランスジェニックマウスを用いた研究では、カルレティキュリンは心臓発生に必要不可欠な遺伝子であることが明らかにされている[11]。

転写調節

カルレティキュリンは核内にも存在し、転写調節に関与している可能性が示唆されている。カルレティキュリンは核内受容体スーパーファミリーのDNA結合ドメインのアミノ酸配列とほぼ同一なKLGFFKR合成ペプチドに結合する。カルレティキュリンのN末端は糖質コルチコイド受容体のDNA結合ドメインと相互作用し、糖質コルチコイド応答エレメントへの受容体の結合を防いでいる[12]。カルレティキュリンはアンドロゲン受容体のホルモン応答エレメントへの結合も阻害する。In vivoではアンドロゲン受容体とレチノイン酸受容体の転写活性の阻害や、レチノイン酸による神経分化の阻害を行うこともできる[13]。このように、カルレティキュリンは核内ホルモン受容体による遺伝子転写の調節の重要な調節因子としても機能する。

臨床的意義

カルレティキュリンは、抗SS-A/Ro抗体(英語版)を持つ全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群の患者の特定の部位で自己抗体に結合する。全身性エリテマトーデスはカルレティキュリンに対する自己抗体価の上昇と関係しているが、カルレティキュリンがSS-A/Ro抗原であるわけではない。初期の論文ではカルレティキュリンをSS-A/Ro抗原としているが、後に反証されている。ヒトカルレティキュリンに対する自己抗体価の上昇は、先天性完全心ブロック(CCHB)の新生児にみられ、IgG抗体とIgM抗体の双方がみられる[6][14]。

2013年に2つのグループによって本態性血小板血症と原発性骨髄線維症のJAK2変異陰性/MPL(英語版)変異陰性型患者の大部分でカルレティキュリン遺伝子に変異がみられることが明らかにされ、CALR変異は骨髄増殖性腫瘍の中で2番目に多い変異となった。全ての変異(挿入や欠失)は遺伝子の最終エクソンに影響を与えるものであり、リーディングフレームの変化によって末端のペプチド配列が変化し、小胞体への保持を担うKDELシグナルの喪失が引き起こされていた[15][16]。

がんにおける役割

カルレティキュリンは多くのがん細胞で発現しており、一方でマクロファージによる有害ながん細胞の貪食を促進する役割も果たす。こうしたカルレティキュリン発現がん細胞の大部分が破壊されないのは、カルレティキュリンを遮断するCD47が存在しているためである。そのため、CD47を遮断する抗体はがん治療に有用である可能性がある。骨髄性白血病や非ホジキンリンパ腫のマウスモデルでは抗CD47抗体ががん細胞の除去に有効であり、また正常細胞は影響を受けなかった[17]。

相互作用

カルレティキュリンはパーフォリン[18]やTTF-1(英語版)[19]と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

外部リンク

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