クロツバメシジミ

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クロツバメシジミ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: 鱗翅目 Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: シジミチョウ科 Lycaenidae
亜科 : ヒメシジミ亜科 Polyommatinae
: クロツバメシジミ属 Tongeia
: クロツバメシジミ T. fischeri
学名
Tongeia fischeri
(Eversmann, 1843)
シノニム
  • Lycaena fischeri Eversmann, 1843
  • Everes fischeri
  • Cupido fischeri
和名
クロツバメシジミ
英名
The Black Cupid
亜種
  • T. f. fischeri
  • T. f. caudalis
    (九州沿岸・朝鮮半島亜種)
  • T. f. japonica
    (東日本亜種)
  • T. f. shojii
    (西日本亜種)

詳細は本文参照

クロツバメシジミ(黒燕小灰蝶、学名Tongeia fischeri fischeri)は、シジミチョウ科クロツバメシジミ属分類される小型のチョウの1[1][2][3]表は一様な黒色で和名の由来となっている。

前翅長1-1.6(1.1-1.3[4]) cm[3]、開長2-2.5 cm[4]。表翅は一様に黒褐色で、通常後翅の亜外縁に弦月の青白斑列がある[1]本州中部産の後翅の表面の点裂の発達が悪く、中には消失しかかった個体も出現し、裏面では黒斑の一部が内側にずれる傾向があり、地色は褐色を帯びる[5]。裏の地色は淡黄褐色または灰白色(九州沿岸部)で、数本の黒点裂が並び、後翅の肛角部付近に赤斑が現れる[1][5]西日本各地産は後翅表面の点列がよく発達し、裏面では黒斑の一部が内側にずれない個体が多くなり、地色は灰色に近くなる[5]。短い尾状突起がある[1]ツバメシジミに似るが、裏の地色が褐色を帯びることで識別でき[1]ヤマトシジミと似るが、赤斑の位置や、特徴ともなっているたいへん細く短い尾状突起などで、区別はたやすい。メスオスよりも翅形の丸みがわずかに強く、黒点の発達もやや強いが、外見によるオスメスの判別は難しい[1]。本種は生息域が分断されており地理的変異が著しく、それぞれの分布域で翅の模様などに特徴が見られる。日本舞踊師範の藤間勘左はそういった本種の差異を研究している。

生態

日中、発生源となっている食草をあまり離れず穏やかに、穏やかに低く飛翔し、地面や上、上にすぐ止まる。食草のでの吸もよく見られ[1]ヒメジョオンカワラサイコなどの花も吸蜜する[3]。オスは地上で給水する[3]幼虫ツメレンゲイワレンゲタイトゴメオノマンネングサミヤバセチチッパベンケイソウタカネマンネングサなどのベンケイソウ科のものを食草とし[1][2]肉内に食い込む[3]。オスがメスをぶらさげて飛ぶ交尾飛翔形態[3]。母蝶は葉にを1つずつ産みつける。

生活史

寒冷地では年3回、暖地では年4-5回発生する[1][3]。幼虫で越冬する[1][3]中国地方の低地では、7月の初旬-中旬ごろに卵、7月の中旬から下旬ごろに幼虫、7月下旬-8月初旬ごろに、8月初旬-9月初旬ごろに成虫となる[1]日本全体としては、卵は5月初旬-11月下旬ごろ、越冬形態である幼虫は年中、蛹は4月中旬-10月下旬ごろ、成虫は4月下旬-11月中旬ごろ(5月-11月[2]、4月-11月[3])の期間に見られる[1]

分布と生育環境

ロシアウラル地方-極東地方)、モンゴル中国東北部、朝鮮半島、日本に分布する[2]。日本では本州(新潟県南部、群馬県以西)、四国九州に分布する[1][2]。局的的な分布をする[1]

人家周辺の平地から低山地に生育する[1]。食草が生育する日当たりのよい河川堤防の堰石、川原の転石、人家、神社寺院石垣屋根[6]、旧の石垣、露石地などで見られ[2]西日本では海岸場や砂浜にも生育する[1]

分類

以下の亜種に分類されている。対馬、九州、山口県西部の沿岸地域の個体を亜種T. f. japonica)、四国、中国地方以東の本州の個体を亜種(T. f. fischeri)とされることがある[2]

  • T. f. fischeri
  • 九州沿岸・朝鮮半島亜種 T. f. caudalis Bryk, 1946 - 朝鮮半島、九州(おもに福岡県から熊本県の沿岸部、五島列島、対馬)に分布する[7]
  • クロツバメシジミ西日本亜種 T. f. shojii Satonaka, 2003 - 本州西部、四国、九州(福岡県南東部および大分県北部)に局地的に分布する[6]
  • クロツバメシジミ東日本亜種 T. f. japonica Fujioka, 1975 - 本州中部に局地的に分布し、長野県山梨県に生息地が多い[6]

種の保全状況評価

ツメレンゲの花を吸蜜中の外来種のムシャクロツバメシジミ、岐阜県美濃地方にて

日本では露石地の掘削、セメントなどを含む開発[2]、岩場の擁壁工事護岸工事などによる生息地の消滅で、絶滅した産地が少なくない[1][6][7]。採集圧も見られる[6]。2013年10月に名古屋市西区新川河川敷ムシャクロツバメシジミTongeia filicaudis (Pryer))が大規模に発生し、国内で繁殖しているのが初めて確認された[8]。台湾や中国大陸に分布する種で、国外から園芸用に持ち込まれた食草とともに侵入して広がったと考えられている[9]。在来種のクロツバメシジミと同所的に生息するようになった場合、交雑するなどの悪影響があると考えられている[8][9]愛知県新城市では、七郷一色の『クロツバメシジミ自生地』が1999年平成11年)10月12日に市の天然記念物の指定を受けている[10]。日本では環境省によりレッドリスト(レッドデータブック2014)で以下の亜種が準絶滅危惧(NT)の指定を受けている[6][7]。また各々の亜種が以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

クロツバメシジミ九州沿岸・朝鮮半島亜種 T. f. caudalis

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クロツバメシジミ西日本亜種 T. f. shojii

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クロツバメシジミ東日本亜種 T. f. japonica

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脚注

参考文献

関連項目

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