『サイコ』の続編として製作されているが、前作とは違い、原作を基に映画化したものではない(ユニバーサル・ピクチャーズの方針による)[3]。よって、映画と小説は内容が大きく異なっている。なお、ブロックは映画ではキャラクター創作者としてクレジットされている。
冒頭、前作のシャワールームでのマリオン惨殺シーンが流れる。
前作の連続殺人事件の22年後、マリオン・クレーンの妹ライラの抗議にも拘わらず、ノーマン・ベイツは精神的に健全であると判断され、精神病院から退院する。ビル・レイモンド博士のアドバイスに反して、ノーマンはベイツ・モーテルの裏にある自分の古い家に戻り、近くの食堂で働き始める。そこの若いウェイトレス、メアリーはボーイフレンドの家から追い出されたことから、ノーマンは彼女に自分の家に泊まってはどうかと言う。その後ノーマンは、モーテルの新しいマネージャーであるウォーレン・トゥーミーが麻薬を密売していることを知り、彼を解雇する。
ノーマンの社会への同化は順調に見えたが、行く先々で「母」からの謎の電話やメモを受け取るようになる。酔ったトゥーミーはその後、ノーマンに喧嘩を売る。ノーマンはメッセージを残したのはトゥーミーではないかと疑う。それから少しして、黒いドレスを着た人物がトゥーミーを殺害する。
ある夜、家の中で声が聞こえた後、ノーマンが母親の寝室に入ると、そこは22年前と全く同じ状態にあった。音に誘われて彼が屋根裏部屋に入ると、そこに閉じ込められてしまう。その後、近くにいた2人の少年の前に女性が現れ、1人を殺害する。もう1人は逃げる。屋根裏部屋でメアリーはノーマンを見つけ、母親の寝室を見せるが、そこは使われていない状態に戻っていた。保安官はその後、少年の殺害について2人から聴取する。メアリーは、その時2人で散歩していたと説明する。ノーマンは、メアリーが彼を見つけた時は屋根裏部屋の鍵が開いていたと言ったので、少年を殺したのは自分なのではないかと不安になる。
その夜、メアリーは母親のライラと会う。実際、2人はノーマンに電話をかけたりメモを渡したり、ノーマンの母親の格好をして窓辺でポーズをとったりもしてきているのだ。メアリーは母親の寝室を22年前の状態に戻し、ノーマンを屋根裏部屋に閉じ込め、その間、母親の寝室を元の状態に戻した。これら全ては彼を再び狂わせ、精神病院に再入院させるためのものだった。しかし、メアリーはノーマンとの友情が深まり、彼はもう人を殺すことは出来ないと確信した。彼女は、少年が殺された時にはノーマンは屋根裏部屋に閉じ込められていたことから、家の中に他に誰かいるのではないかと疑う。
レイモンド博士はメアリーがライラの娘であることを知り、この2人の女性がノーマンに嫌がらせをしているのではないかと疑う。ノーマンはそれには同意せず、全てのことの背後にいるのは自分の「本当の母親」に違いないと主張する。しかし、ノーマンには養子縁組の記録は無いのである。ノーマンはメアリーを詰問するが、メアリーはライラの計略における自分の役割はもう放棄したと言う。しかし、ライラの方はやめない。
ライラが「母」の衣装を地下室から取り出していると、何者かが彼女を殺害する。一方、警察はトゥーミーの遺体を発見する。メアリーはノーマンに逃げるよう説得しようと家に駆け込む。彼は電話に出て「母」と話し始める。メアリーは聞き耳を立てる。しかし、ノーマンの電話の先には誰もいないのだ。ノーマンがメアリーを殺すという「母」からの命令について「母」と議論している間、メアリーはノーマンに「電話を切らせる」ために地下室に駆け込み、「母」の扮装をする。レイモンド博士はノーマンを狂わせようとしているところのメアリーを捕まえたと思い、後ろから彼女を掴むが、恐怖の余りメアリーは博士の心臓にナイフを突き刺してしまう。
レイモンド博士の血まみれの死体の上に立つ「母」の姿を前にして、ノーマンは遂に正気を失い、赤ん坊のように意味のない音を発しながらメアリーに迫って行く。地下室に戻った彼女は、石炭の山に埋もれているライラの遺体を発見する。ノーマンが殺したと考えたメアリーはナイフを振り上げてノーマンを殺そうとするが、やって来た警察に射殺される。メアリーとライラの間の立ち聞きされた口論、メアリーがノーマンを殺そうとしたこと、そして彼女がノーマンの母親に扮したことを勘案して、警察はメアリーが全ての殺人を犯したという、誤った判断を下す。
その後、食堂の別のウェイトレス、エマ・スプールがノーマンを訪ね、彼女が本当の母親であることを告げる。ベイツ夫人はエマの妹で、エマが施設に入れられている間、幼児のノーマンを養子に迎えたのだった。エマは自分が真犯人であり、息子に危害を加えようとする者は誰でも殺したことを明かす。それを聞いたノーマンは彼女を殺し、死体を母親の部屋に運ぶ。「母」の人格が再び彼の心を支配すると、彼は「母」の声で独り言を言い始める。
その他:加藤正之、岡のりこ、深見梨加、堀川亮、北村弘一、池田勝、小島敏彦、徳丸完、相生千恵子、巴菁子、横尾まり、伊倉一恵、小室正幸
初放送:テレビ朝日「日曜洋画劇場」1987年7月26日[5]
1982年、小説「サイコ(英語版)」の原作者ロバート・ブロックは、続編「サイコ2」を発表したが、ハリウッドのスラッシャー映画を風刺する内容であった。これを懸念したユニバーサルは、ブロックの作品とは異なる独自の続編を製作することを決定した。かつてヒッチコックに師事していた[6]オーストラリアの映画監督リチャード・フランクリンが監督に指名され、脚本にはトム・ホランドが雇われた[7]。
『サイコ』で監督助手を務めたヒルトン・A・グリーンは製作の依頼を受けたものの、亡くなったヒッチコックが続編の製作を承認しないでのはないかと不安を覚えた。そのためヒッチコックの娘のパトリシア・ヒッチコックに連絡を取り、続編に対する考えを聞いた。パトリシアは続編に対して賛意を表し、「父も作品を愛するだろう」と伝えた[8]。
当初は、ケーブルテレビ向けに製作される予定であった[9]。アンソニー・パーキンスは、一度ノーマン・ベイツの再演を断ったが、脚本を読んだ後、出演に同意した。パーキンスは、「トム・ホランドの脚本を受け取ったが、非常に好きな作品だ。これはまさにノーマンのストーリーだ。」と語っている。パーキンスを引き入れる前、スタジオはクリストファー・ウォーケンを代役として考えていた。
『サイコ2』の撮影は、カリフォルニア州ユニバーサルシティのユニバーサル・スタジオ内で、1982年6月30日から8月13日にかけて行われた。ベイツの家は1960年から残存していたが、モーテルは再建する必要があった。『サイコ』と同様に、ほとんどのシーンがユニバーサル・スタジオの裏宅地で撮影が行われた。また、ランプや鳥の剥製、ノルマ・ベイツの部屋にあった真鍮の腕や暖炉等、いくつかの小道具やセットの一部は、デザイナーのジョン・W・コルソとジュリー・フレッチャーによって発見された[7]。『サイコ』で使用された家の外観は、製作のためにユニバーサル・スタジオの別の区画に移された[7]。
フランクリンとホランドは共にこの作品をヒッチコックと『サイコ』に捧げたいと考えていた。そのため、作品の中にいくつかのジョークシーンを入れた。例えば、メアリーとノーマンが最初にノーマンの母ベイツの部屋に入った際、ライトをつける前にヒッチコックのシルエットが壁に浮かび上がる。また、ノーマンがキッチンに入りジャケットを椅子に置くシーン等、様々なシーンを『サイコ』から引用している。
撮影を受けて、フランクリンはパーキンスを非常に寛大な人物であると語り、マイルズを精力的かつ最も力強い役者の一人として称賛を贈っている。
メアリー役には、前作で殺害される役を演じたジャネット・リーの実の娘であるジェイミー・リー・カーティスが候補に上がっていた[10]。
マリオンの婚約者(事件後、ライラと結婚した)サムは登場しない。劇中では既に亡くなっている設定になっている。前作でサムを演じたジョン・ギャヴィンは当時、俳優を引退して駐メキシコ大使を務めていた(1981年から1986年まで赴任)。ライラ役のヴェラ・マイルズは前作に続いての出演である。
ヒロイン役を演じたメグ・ティリーはテレビの視聴を許されぬ家庭に育ったため、前作を観たことがなく、アンソニー・パーキンスがその作品で高い評価を受けていることも知らなかったため、撮影現場で不用意な発言をしてパーキンスの怒りを買ってしまった[11]。