シナントロープ (テレビドラマ)
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| シナントロープ SYNANTHROPE | |
|---|---|
| ジャンル | 連続ドラマ |
| 原作 | 此元和津也 |
| 脚本 | 此元和津也 |
| 監督 | 山岸聖太 |
| 監修 | FUNGO(ハンバーガー) |
| 出演者 |
水上恒司 山田杏奈 坂東龍汰 影山優佳 望月歩 鳴海唯 萩原護 高橋侃 遠藤雄弥 アフロ 森田想 染谷将太 |
| 音楽 | 江﨑文武 |
| オープニング | 柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」 |
| エンディング | S.A.R.「MOON」 |
| 国・地域 |
|
| 言語 | 日本語 |
| 時代設定 |
2009年(回想) 2025年 2026年 |
| 製作 | |
| チーフ・プロデューサー |
祖父江里奈(テレビ東京) 平賀大介(P.I.C.S.) |
| プロデューサー |
前田知樹(テレビ東京) 原田宗平(P.I.C.S.) 神戸麻紀(P.I.C.S.) 竹迫雄也(アスミック・エース) |
| 制作 |
テレビ東京 P.I.C.S. アスミック・エース(協力) |
| 製作 | 「シナントロープ」製作委員会 |
| 放送 | |
| 放送局 | テレビ東京系 |
| 映像形式 | 文字多重放送 |
| 音声形式 | ステレオ放送 解説放送 |
| 放送国・地域 | |
| 放送期間 | 2025年10月6日 - 12月22日 |
| 放送時間 | 月曜 23:06 - 23:55 |
| 放送枠 | ドラマプレミア23 |
| 放送分 | 49分 |
| 回数 | 12 |
| 公式サイト | |
特記事項: 第4話・第8話は30分繰り下げ(23:36 - 翌0:25)。 第7話は6分繰り下げ(23:12 - 翌0:01)。 | |
『シナントロープ』は、2025年10月6日から12月22日までテレビ東京系「ドラマプレミア23」枠で放送されたテレビドラマ[1]。主演は水上恒司[1]。
街の小さなバーガーショップ「シナントロープ」を舞台とした男女8人の青春群像ミステリー[1]。
企画
本作は、アニメ作品『オッドタクシー』で脚本を担当した此元和津也の脚本力に強い印象を受けたプロデューサーの平賀大介(ピクス)が、次作として此元の脚本による実写ドラマを制作したいと考えたことをきっかけに企画された[3]。『オッドタクシー』において、物語の展開を予測できないまま視聴者を深く引き込む脚本構成に衝撃を受けた経験から、恋愛、ミステリー、群像劇といった既存ジャンルの枠に収まらない実写作品を目指したという[3]。
脚本
プロデューサーの前田知樹は、脚本段階で作品の魅力を確信しており、典型的な日本のドラマとは異なる構成や、青春群像劇・サスペンス・恋愛・ヒューマンドラマ・ファンタジー要素を組み合わせた脚本家・此元和津也による独自の世界観を評価している[4]。また、物語には細かな伏線が張り巡らされており、登場人物の何気ない行動や会話が後の展開に影響を与える設計となっていることから、視聴者の考察や感想の共有を促す作りになっていることを明かしている[4]。此元は本作品の評価により第44回向田邦子賞を受賞した[5]。
撮影
物語の舞台であるバーガーショップ「シナントロープ」は、セットではなく現存する空き店舗を使用して撮影された[4]。店内は緑と赤を基調とした広々とした空間で、作中に頻繁に登場する鳥の名前にちなみ、鳥がモチーフの小物が随所に配置されている[4]。キャストの楽屋やスタッフの待機場所、監督用のモニターも店内に設置され、密接なコミュニケーションの下で撮影が進められた[4]。
第1話の目出し帽を被った強盗との格闘シーンは、数分間の映像でありながら79カットで構成される入念な撮影が行われた[4]。主演の水上恒司は、「強盗役(アフロ)の力が強く、押さえ込むのが大変だった」と振り返り、山田杏奈は「洗剤のシーンは失敗すると衣装や目出し帽を全部替えなければならず、深夜の撮影でプレッシャーが大きかった」と明かし、洗剤の飛び方に苦戦し、種類を変えて2回挑戦している[4]。キャスト同士のリハーサルを重ねることで、会話のテンポやアクションの動きに柔軟性を持たせ、物語の緊張感やユーモアを表現している[4]。
美術
本作では、小道具や劇中作品のリアリティが重視され、特に監督の強いこだわりが反映された。作中に登場する架空の漫画『笑い者の風船』や音楽作品「キノミとキノミ」のCDなどは、視聴者に違和感を与えないよう、実在の作品と遜色ないクオリティで制作された[6]。
『笑い者の風船』については、漫画のネームを原作・脚本を担当した此元が手がけ、作画を漫画家の肋家竹一[注 1]、表紙デザインをデザイナーの本多伸二が担当するなど、実際の出版物に近い制作体制が執られた。これにより、作品世界に高い現実感がもたらされたとされる[6]。
また、「シナントロープ」のグッズについても、Tシャツ、エコバッグ、バンダナなど、制作陣自身が「実際に欲しいと思えるもの」を基準にデザインされた[6]。
あらすじ
キャスト
主要人物
- 都成剣之介(となり けんのすけ)〈21〉
- 演 - 水上恒司[1](5歳時:田島一真[注 2]〈第3話・最終話〉)
- 大学3年生。バーガーショップ「シナントロープ」のアルバイト。水町に密かに想いを寄せる。トマトが嫌いでゾンビを怖がる。
- 瞬間記憶ができ[注 3]、5歳の時にひき逃げ犯の車のナンバーを憶えて逮捕に繋がったことがあり、その幼い頃は神童と言われていた。
- 青い靴を履いていたことから、水町にアオアシカツオドリ(英名:Blue-footed booby〈青い足のマヌケ〉)に例えられる。
- 水町ことみ(みずまち ことみ)〈21〉
- 演 - 山田杏奈[1](5歳時:原春奈[7]〈第7話・第11話 - 最終話〉[注 4])
- 大学3年生。「シナントロープ」のアルバイトであったが、第3話で店を譲られ新オーナーとなる。周りの人をよく鳥に例える。
- 目出し帽の客や拳銃強盗にも怖気づかない気の強い面があり、都成からキバラオオタイランチョウ[注 5]に例えられる。一連の事件の後には、志沢からは欲しい物を手段を選ばず手に入れるイエスズメ[注 6]に例えられる。
- 川崎市出身で、5歳の時にシングルファーザーであった父親・善治を亡くす。その後は祖母と山梨で暮らし、大学進学時も一緒に上京したが、殺害予告を受け祖母を山梨へ帰して現在は一人暮らしをしていると周囲に語る。
シナントロープ
杉並区泉ヶ丘にある小さなバーガーショップのアルバイトスタッフたち。
- 木場幹太(きば かんた)〈20〉
- 演 - 坂東龍汰[1](第1話 - 第10話・最終話)(15歳時:二井景彪[8]〈第5話〉[注 4])
- 中卒のフリーター。お調子者で楽天家。渾名の「キバタン」は、名前からではなく水町に金髪でギャーギャー鳴くキバタンに例えられたのが由来[注 7]。
- 陽気な振る舞いから学生時代も人気者だったが、家庭は借金取りが押しかけるほど貧しく、その貧しさ故の病死と自殺で両親を中学卒業の頃に相次いで亡くした暗い過去を持つ[9]。
- 金への執着から手早く稼げないかと、裏の代行業者バーミンで働けないか調べていたことがある。工事現場のアルバイトと掛け持ちしている。
- 里見奈々(さとみ なな)〈21〉
- 演 - 影山優佳[1]
- 外国語大学の3年生で、英語が得意[注 8]。真面目なお嬢様。マンションの8階に一人暮らし。
- 音を立てずに近づくことから、水町にカラフトフクロウに例えられる。
- 田丸哲也(たまる てつや)〈22〉
- 演 - 望月歩[1]
- 大学4年生。漫画家志望であるものの自信のなさから就職活動もしていたが、里見の励ましによって内定も辞退し本気で目指そうとしている。
- ロードレース好きのバイク乗りで、行き詰ると兄のバイクを借りてツーリングするときがある。
- 自分は何の鳥に見えるか質問し水町が答えたアオバトを気に入り、漫画のペンネームを「田丸アオバト」にする。
- 室田環那(むろた かんな)〈24〉
- 演 - 鳴海唯[1](第1話 - 第4話・第6話 - 第7話・第9話 - 第10話・最終話)
- 青い髪の美容学生。会社を辞めて専門学校に通っている。就職活動中。スタッフ紹介の似顔絵でベニコンゴウインコ[注 9]にデフォルメされる。
- 自傷行為で髪を引き抜き、幾つものリストカット痕があるメンヘラ女子。塚田とはセフレの関係。
- 志沢匠(しざわ たくみ)〈20〉
- 演 - 萩原護[1]
- 新人アルバイト。スタッフたちからは、レジの前でまったく動かないことから水町が例えた「ハシビロコウ」と渾名されている。
- レジの金を盗んでいないことを証言した都成に恩義を感じ、彼が水町と交際できるよう「お手伝いをいたします」と言い寄り、策を授ける。
- 塚田竜馬(つかだ りゅうま)〈25〉
- 演 - 高橋侃[1]
- バンドマン。バンド「釘ラクション」の赤毛モヒカンのドラマー。彼女からあと5年で結果が出なければ就職するよう言われている。
- 室田を口説く様子から、水町に様々な手を使ってメスの気を引く赤いモヒカンのアンデスイワドリに例えられる。
バーミン
犯罪も請け負う代行業や裏カジノなどを稼業とする裏組織のメンバーたち。「バーミン(vermin)」は害虫、害鳥の意。
- 折田浩平(おりた こうへい)〈29[注 10]〉
- 演 - 染谷将太[11](第1話 - 第7話・第9話・第11話 - 最終話)(16年前:柊木陽太[12]〈第9話 - 最終話〉[注 4])
- 組織のトップの男。中学生の時に初めて人を殺している。水町にヒクイドリに例えられる。
- かつて殺されかけたことがある「シマセゲラ」から今になり再び殺害を予告する手紙が届いたことより、その正体を探っている。
- 幾つもマンションを所有しており、里見と和服女が住むマンションもその1つで、そこでは11階(1107号室)に住んでいる。
- 父親の代から組織の犯罪行為が発覚すると弱みを握る人物を身代わりに出頭させ、父親や自分に逮捕の手が伸びないようにして生き延びてきた。しかしその父親は、16年前に起こしたひき逃げ事件では目撃証言から身代わりを立てることができず逮捕され、そのまま獄中死している。
- 龍二(りゅうじ)
- 演 - 遠藤雄弥[11](第2話 - 最終話)
- 折田の部下。折田に心酔している。久太郎とは幼なじみ。沖縄出身。水町に黒い服を着た髪の長いクロオウチュウのような人と例えられる。
- 久太郎(きゅうたろう)〈33[注 10]〉
- 演 - アフロ[11]
- 折田の部下。シナントロープに押し入った拳銃強盗の正体。沖縄出身。水町に坊主頭のアホウドリのような人と例えられる。
- 折田に対しては忠誠心はなく、心酔している幼なじみの龍二のことを心配している。
- 記憶力に難があり、腕にメモ書きする癖がある。
- 睦美(むつみ)
- 演 - 森田想[11](第2話 - 第11話)
- 折田の右腕。心酔する折田から「シマセゲラ」探しを命じられている。
- 針金を自在に操り、果物かごを作ったり、車のドアや施錠された扉をピッキング行為でこじ開けることができる。
- 店の備品の針金ハンガーを持ち去られた水町から、カラス[注 11]と呼ばれる。
シナントロープの客
- インカアジサシ
- 演 - 綾田俊樹[13](第1話 - 第2話・第6話 - 第9話・第11話 - 最終話)
- カイゼル髭の神出鬼没な老紳士。強盗騒ぎに乗じてレジの金を横取りしたことから、水町に獲物を横取りするインカアジサシに例えられる。
- その後も、ケンカを見物する野次馬へのスリ行為(未遂)や、大学生の鞄の置引きなどの現場を水町たちに目撃されている。
- 競馬夫婦
- 演 - 岩谷健司[14](第3話・第9話・最終話[注 4])、 佐藤真弓[15](第3話・第9話・最終話[注 4])
- 水町が新オーナーとなりリニューアルオープンした日に初めて来店した年輩夫婦の客。シナントロープから贈られた似顔絵でカンムリシャコにデフォルメされる。
- おばちゃん
- 演 - 川上友里[16](第5話 - 第7話・第9話 - 第10話)
- 高円寺のお好み焼き屋の女将。関西弁の口調で、「はっきりゆうて」が口癖。シナントロープから贈られた似顔絵でニジチュウハシにデフォルメされる。
- 和服女〈35[注 10]〉
- 演 - 中村映里子[17](第1話・第3話・第7話・第9話 - 第10話)
- 里見が一人暮らしをしているマンションの13階(1307号室)に住む女性。呉服屋の娘。シナントロープから贈られた似顔絵でジャノメドリにデフォルメされる。
- アレックスには、アメリカ在住で遠距離恋愛中と思わされていた。デリバリーに来た都成に、彼が入れる漢字のタトゥーの文字を四字熟語辞典から選ばせる。
- アレックス
- 演 - 厚切りジェイソン[16](第5話 - 第7話・第9話 - 第10話・最終話[注 4])
- 工事現場の外国人アルバイトで、木場の先輩。板橋在住。ドラゴンボールで日本語を覚えた。シナントロープから贈られた似顔絵でイワヒバリにデフォルメされる。
- 和服女に教えられた漢字「相思相愛」のタトゥーを左の二の腕に入れた。当初は和服女とは付き合っている認識はなかったが、後に猛烈に求愛され恋人になる。
キノミとキノミ
10年前に売れた伝説のバンド。
- クルミ〈35〉
- 演 - 石崎ひゅーい[18](第1話 - 第2話・第7話 - 第8話・第10話 - 最終話)[注 12]
- ボーカル。「目立ちたくない」という奇妙な理由から、日常的にオレンジ色の目出し帽を被り生活している。シマセゲラの関係者と目され、龍二と久太郎に行方を探られている。
- ミュージシャンとしての再起をかけ商店街の路上ライブで弾き語りを披露していたが、目出し帽を被らないと声が出ないことから、シイにバンド活動を持ち掛けていた。
- 路上ライブでの歌の上手さに感動した都成から、歌が上手い鳥・キンカチョウに例えられる。
- カシュー
- 演 - 中山求一郎[19](第5話 - 第7話)
- ベーシスト。シマセゲラの関係者と目されたため龍二と久太郎に山小屋へ拉致される。龍二に拷問をされてシマセゲラへの手がかりを吐き、その挙句に折田の手で殺され山に埋められる。
その他の人々
- おじさん / 水町善治[注 13]〈39〉
- 演 - 山本浩司[13]
- 16年前[注 14]、若い男と2人でとあるマンションの一室から窓の向かいのマンションの折田の父親の部屋を見張っていた男性。その正体は水町ことみの父親・善治。
- 折田の父親が戻れば脅して部屋に押し入り、金庫を開けさせ1000万円を強奪する依頼を300万円の報酬で請け負ったと若い男に説明していたが、依頼主本人であると若い男に看破される。
- 戯れにコードネームで呼び合おうと若い男に言われたことから、自らのことをトンビと名乗る。
- 折田の父親のマンションに押し入るが、当時中学生だった折田にスタンガンで気絶させられた末、若い男が頭を負傷して気を失っている間にナタで殺害される。
- 若い男〈19〉 / シイ
- 演 - 栗原颯人[13]
- 16年前、おじさんと共に張り込みをしていた男性。その当時、バンド活動をしていた。借金が300万円あり、それを強盗の報酬300万円で返済しようとしていた。
- コードネームで呼び合おうと言い出し、おじさんからキツツキと呼ばれる。自宅に監禁される5歳の水町を白黒ボーダーシャツで救出に向かい、シマセゲラ[注 15]と記憶される。
- 後のキノミとキノミのドラマー・シイで、日本武道館でライブを開くまで成功するが折田に顔バレし報復されることを恐れ脱退、細々と音楽を作ってネットで発表していた。
- 加藤(かとう)〈52[注 10]〉
- 演 - 黒田大輔[13](第1話 - 第3話・最終話[注 4])
- 第3話までの「シナントロープ」オーナー。水町に巨大なコロニーを形成するシャカイハタオリに例えられる。
- 店舗の内装を手掛ける息子がおり、水町にその息子は綺麗な住環境を作るメンガタハタオリに例えられる。
ゲスト
- 第1話
- 第2話
- 第3話
- 第4話
- 第5話
- 第6話
- 第8話
- 第9話
- 第10話
- 最終話
スタッフ
- 原作・脚本 - 此元和津也[1]
- 監督 - 山岸聖太[1]
- 音楽 - 江﨑文武[51][52]
- オープニングテーマ - 柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」[52]
- エンディングテーマ - S.A.R.「MOON」[51][52]
- チーフプロデューサー - 祖父江里奈(テレビ東京)、平賀大介(P.I.C.S.[1])
- プロデューサー - 前田知樹(テレビ東京)、原田宗平(P.I.C.S.)、神戸麻紀(P.I.C.S.)、竹迫雄也(アスミック・エース)[1]
- 制作 - テレビ東京、P.I.C.S.[1]
- 制作協力 - アスミック・エース[1]
- 製作著作 - 「シナントロープ」製作委員会[1]
エピソードリスト
| 話数 | サブタイトル[53] | 初回放送日 |
|---|---|---|
| 第1話 | 俺たちは何者かになる | 2025年10月6日 |
| ある夜、冴えない大学生・都成剣之介がアルバイトをしているバーガーショップ「シナントロープ」にオレンジ色の目出し帽を被った男が現れ、不穏な空気が漂う。だが、怯えるスタッフたちの中で、水町ことみだけは物怖じせず接客する。男は普通に注文をするが、直後に別の目出し帽の男が乱入し、拳銃を突きつけてレジの金を要求する。店内は騒然となり、都成たちは強盗に抵抗。混乱の中、レジの金は謎の老人によって横取りされ、拳銃強盗にも逃げられてしまう。そんな中、瞬間記憶能力を持つ都成は、老人の姿や強盗の腕に書かれた「オリタ」という文字と数字を記憶していた。警察の聴取後、アルバイトの同僚・木場幹太は「オリタ」とは裏社会の代行業者「バーミン」のトップ・折田だと明かし、金の匂いを感じた木場は、電話番号と推測したその数字をメモするよう都成に頼み込む。一方、水町は事件後、アルバイトの同僚・里見奈々に「一晩泊めてほしい」とお願いする。水町は過去に一度助けられたことがある「シマセゲラ」という人物から、殺害予告が届いたことを明かす。 | ||
| 第2話 | そのスニーカー可愛いね | 10月13日 |
| 強盗事件の翌日、シナントロープは臨時休業となるが、都成たちはオーナーの加藤から「犯人は自首した」と知らされ安堵する。その後、新人アルバイトの志沢匠の歓迎会が開かれ、鳥好きの水町が志沢を「ハシビロコウ」と呼んでしまい場が和む。2次会のカラオケで、都成はトイレに立った際、興味からメモしていた折田の電話番号にかける。すると、個室トイレに放置されたスマホから振動音が鳴り響き、都成は思わずそのスマホを持ち帰る。同じカラオケルームの別室では、バーミンの久太郎と龍二が、折田から預かったスマホの処分について密談しており、都成はトイレから戻る途中、久太郎と鉢合わせになるが、彼を拳銃強盗とは気づかず言葉を交わす。カラオケからの帰り道、商店街で酔払いが喧嘩をしており、都成たちはそれを見物する野次馬からレジの金を盗んだ老人・インカアジサシがスリを働こうとする場面に遭遇する。水町はインカアジサシに向かってペットボトルを投げつけるが、強面の男に当たり、都成たちは男に追い回される。その頃、バーミンの睦美は、折田に届いた「シマセゲラ」からの殺害予告と同じ文面の写真を水町に送信して反応を探ったものの当てが外れたが、引き続き彼女を追うと折田に報告する。その直後、睦美と通じる室田環那から、歓迎会で撮影されたシナントロープのアルバイトたちの写真が送られてくる。翌日、シナントロープに召集された都成たちは、加藤から「今日で店を閉めることになった」と告げられる。 | ||
| 第3話 | 今日で店を閉めることになった | 10月20日 |
| 強盗騒ぎで悪評がSNSに拡散されたため、加藤はシナントロープの閉店を決め、都成たちに別の仕事を探すよう促す。だが水町は「店を続けたい」と食い下がる。加藤は飲食店経営の厳しさを説くが、水町の「これ以上、何かを奪われたくない」という切実な思いに折れ、彼女に店を譲る。他のメンバーも水町の覚悟に共感し、アルバイトを続けると約束するが、環那だけは辞退する。新オーナーとなった水町は、グッズ販売やデリバリーの導入など、再起に向けて準備を進める。その合間に、水町は環那に「友人として手伝ってほしい」と声をかけ、素直になれない彼女を繋ぎとめる。そして迎えたリニューアルオープン初日。昼を過ぎても客が来ず、水町は焦り、志沢を近隣の人気店の偵察に向かわせる。ようやくデリバリーの注文が入り、都成が配達に出るが、配達先のマンションで何も知らず折田と遭遇する。その頃、店内では来店した年配夫婦が、対応の遅さや高額な会計に不満をぶつけ、ネットで悪評を広めると騒ぎ出す。水町は動揺するが、都成が配達から戻り、瞬間記憶を使って夫婦にくじ引きの豪華景品を当選させ、なんとか場を収める。その頃、ホテルのスイートルームでは、折田がシナントロープのメンバーたちの写真を並べ、「コイツにしよう」と塚田竜馬の写真を選び出す。 | ||
| 第4話 | 運命は決まってる | 10月27日 |
| シナントロープのバックヤードでは、都成たちスタッフが鳥の話などで談笑していたが、客足は伸びず、経営は厳しいままであった。それでも新オーナーの水町は「続けていれば必ず報われる」と信じ、店を開け続けていた。そんな中、塚田のバンド活動を通じて店を知ったという人物から、劇団の打ち上げ用に70人分のハンバーガーの注文が入る。水町をはじめスタッフ全員が、これを店を再生する好機と捉え、閉店近くまで準備に追われる。だが劇団は一向に現れず、姿を見せたのは黒服の女性ひとりだけであった。彼女はコーヒーを注文して店内を見渡し、こっそり備品のハンガーを持ち去り、姿を消す。結局、劇団は現れず、大量のハンバーガーが無駄になる。気まずい空気が漂う中、注文を受けた塚田は責任を感じて20万円を支払うと申し出るが、恋人に借金も車の売却も止められ、行き場を失う。その頃、ホテルのスイートルームでは折田が「自宅に閉じ込められていた水町ことみちゃん(5歳)がシマセゲラに救出されたと証言」と報じる記事を読みながら、スマホの着信音に顔を上げる。電話の主は、ハンガーの針金でロックをこじ開けて車に忍び込んだ睦美がサンバイザーに仕込んでいた消費者金融「バーミン」のチラシを見つけ、藁にもすがる思いで連絡してきた塚田だった。罠にかかり電話をかけてきた塚田に折田はほくそ笑む。 | ||
| 第5話 | 空を飛べたらいいのに | 11月3日 |
| 昼過ぎ、開店前のシナントロープに入った都成は、店に泊まり込みで働き奥のソファで眠っていた水町を見つける。都成は志沢から託された「恋愛メモ」を手に、水町との距離を詰めようとするが、「志沢を使って私を探ってるね」と見抜かれる。動揺する都成に水町は「訊きたいなら直接訊けばいい」と、5歳の時に父に自宅へ監禁され、やがて弁当をいつも届けに来ていた父が姿を消し、飢えで倒れかけた時、右の羽に怪我を負ったシマセゲラに救われた過去を語る。また、父は殺されていたとその後に知ったと告げる。「これで満足?」と水町に問われた都成は言葉を失う。一方、折田の潜むマンションで睦美は、シマセゲラからの2通の脅迫状に「濁点をハの字で書く癖」があると気づき、シナントロープの手書きのメニューの筆跡と一致することから、シマセゲラの関係者がスタッフの中にいると報告する。その夜、龍二と久太郎はキノミとキノミの元メンバー・カシューをシマセゲラの関係者と踏み山小屋に拉致し、情報を吐かせようとしていた。その頃ライブハウスでは、シナントロープの面々が塚田のバンドを見に来ていたが、機材トラブルで中断する。里見と店外へ向かう水町が客とぶつかりよろめくと、彼女を支えたのは右腕に傷のある折田だった。見つめ合う2人に、都成は水町が一目惚れしたと誤解しショックを受ける。 | ||
| 第6話 | 心配すんな、お前はひとりだ | 11月10日 |
| 店での寝泊まりが増えた水町は「他人が鍵を持っていると落ち着かない」と、スタッフに合鍵の返却を求める。その際「探さないでください」と書置きを残し、都成がいないことが判明するが、水町は「バカは放っといて働こ」と開店準備を始める。開店後、環那はメニューの文字が都成のものと知り、田丸はペンネーム「田丸アオバト」で応募した漫画新人賞の発表に里見と落ち着かない時間を過ごす。その頃、公園で水町への想いに沈む都成は、少年との交流で気持ちを和ませるが、防犯ブザーの誤作動でおばちゃんに誘拐犯と誤解される。一方、シナントロープに田丸のゼミ仲間が来店し、彼の就職未定を嘲笑。さらに新人賞に名前がないと囃し立てられ、自尊心を傷つけられた田丸は店を飛び出す。水町や里見が田丸を探しに出る間際、騒がしいゼミ生に業を煮やした木場の先輩・アレックスが店外で制裁を加える。そのどさくさにインカアジサシがゼミ生の鞄を持ち去るのを水町は見逃し、志沢は違和感を抱く。海辺に佇む田丸のもとへ、誤解が解け少年を父親に送り届けた都成が現れる。自分を探しに来たと勘違いして喜ぶ都成から、田丸は「もう一歩で賞」受賞を告げられ驚喜。程なく駆けつけた里見に涙ながらに抱きしめられた田丸は受賞を喜び合い、水町らが微笑ましく見守る。その頃、山小屋に監禁されるカシューのもとへ、折田と睦美が到着する。 | ||
| 第7話 | お待たせ、お嬢ちゃん | 11月17日 |
| 夜の街で、都成はかつて自分たちを追い回した強面の男・藤井と再会する。意外にも彼は刑事で、薬物依存のゾンビ男、目出し帽の男、そして髭のスリ老人に警戒するよう都成に告げる。一方、スポーツバーではアレックスが電話で和服女に別れを告げていたが、都成は木場を呼び出し、志沢を交えてカラオケと卓球で気分転換を図る。そのころ山小屋では龍二がカシューを拷問し吐かせたボーカル・クルミの居場所と、失踪したドラマー・シイがシマセゲラで間違いないとの情報を折田に報告する。折田は自分を侮辱したカシューを許さず、久太郎にナタでの殺害を命じる。緊迫した空気の中、久太郎は折田の命令に抗うが、結局は折田の銃撃でカシューは絶命する。卓球からの帰り道、志沢は都成に水町が同居していたのは「おばあさん」ではなく「おじいさん」と新情報を伝える。その直後、ゾンビ男が現れ、刃物を振り回して通行人を切りつけ始める。都成は通りかかった和服女の着物の柄に幻覚を見て怯えたゾンビ男をなんとか取り押さえ、下着泥棒に間違えられたクルミを追っていた藤井に引き渡す。その傍らで、アレックスが和服女と復縁するが、彼の高級財布がインカアジサシに奪われる。同時刻、里見のマンションに宿泊する水町は、5歳の時に監禁されていた夢を見る。飢えと孤独の中、板戸を破って現れたのは、白黒ボーダーシャツを着て右腕を負傷した目出し帽の人物で、彼女の記憶の中には、その姿がシマセゲラとして刻まれていた。一方、シナントロープには針金でロックを巧みに外した睦美が静かに侵入していた。 | ||
| 第8話 | 月が綺麗ですね | 11月24日 |
| 水町は里見から、店の空気清浄機の運転記録に午前4時前後に人が入った形跡があると知らされる。店内は荒らされておらず、合鍵を持つ都成のアリバイも確認するが、水町は都成の侵入を疑う。一方、志沢は憧れの女性・忍とチャットを重ね、都内の宿泊先を相談されたため、水町に助言を求める。そんな中、ライバル店「B.P.バーガー」に対抗すべく、シナントロープは道順動画の制作に動く。撮影に出かけた都成は、寂れた商店街で目出し帽を被ったクルミの弾き語りに遭遇し感動する。同じ頃、折田の潜伏先の赤坂のホテルにシマセゲラの脅迫状が届き、居場所がバレているため睦美は龍二と久太郎に荷物の撤収を指示する。志沢は水町の助言で忍のため赤坂のホテルを予約するが、「もっと良い部屋を取った」と連絡があり落胆する。それでも志沢は忍に想いを伝えようと決意し、内線で「月が綺麗ですね」と告げるが、電話の相手は龍二だった。シマセゲラがホテルに居ると誤解した龍二は館内を探索し、デリバリー中の都成に遭遇、彼を部屋に連行する。都成はシマセゲラと無関係だと訴えるが、そこに折田の使いを名乗るマスク姿の清掃員が現れる。志沢の2度目の内線電話で龍二と久太郎が部屋を抜けると、清掃員は「言うことを聞けば逃がしてあげます」と部屋にあった折田の名簿を暗記するよう都成に迫る。都成は必死に名簿を覚え、清掃員の助けで清掃カートに隠れ地下駐車場へ逃げる。一方、水町は連絡が取れない都成や、忍に騙されたと落ち込む志沢がいるホテルを訪れ、その際に志沢から「都成は朝4時ごろ、自分や木場と一緒にいた」と聞かされ、都成を疑ったことを悔いる。その頃、都成が待機する地下駐車場の車内に、清掃員の正体であるインカアジサシが現れ、暗記した名簿の内容を書き写すよう指示していた。 | ||
| 第9話 | 反逆の狼煙をあげろ | 12月1日 |
| ホテルの駐車場の車内で、都成は折田が弱みを握る者たちの名簿を書き写す。その過程で都成が折田のスマホを手に入れたと知ったインカアジサシは、そのロック解除がバーミンが管理する金庫を開ける鍵になる可能性を示唆する。翌日、シナントロープでは全品半額イベントを開催して大盛況を呼び、都成が記憶した客の特徴を水町が鳥に例え、田丸が擬人化した似顔絵にして贈る企画も好評を得る。そんな中、バーミンと内通する環那は、水町から「この店があなたの居場所になってほしい」と言葉をかけられ複雑な思いを抱く。イベント終了後、スタッフに感謝の給料を渡した水町は、デートに誘った都成と遊園地へ向かう。観覧車の中で、水町は現在シマセゲラから命を狙われていることを都成に打ち明ける。そして、これまで都成に守られていたことに気づいたという水町は都成を「英雄」と呼び、唇を重ねる。しかしその裏では、名簿からの削除と借金帳消しを餌に、折田がB.P.バーガーのオーナーら弱みを握る者たちを使ってシナントロープの店舗を破壊させ、さらに龍二と久太郎を水町のマンションへと送り込み帰りを待ち伏せさせていた。物語は16年前へ遡り、折田のマンションに明かりが灯ったのを確認した若い男と年上の男が、金庫強盗の準備を整えていた。年上の男は「娘を家に閉じ込めている」と告白し、万一の時には娘を助けてほしいと、住所の記された運転免許証を若い男に託す。だが宅配業者を装い折田の部屋に侵入した2人を待ち構えていたのは1人の男子中学生で、年上の男は困惑する。 | ||
| 第10話 | 忘れたくなかったんだ | 12月8日 |
| シナントロープの店内は徹底的に破壊され、壁に「シマセゲラを連れてこい」と赤いスプレー文字が残されていた。動揺の中、環那が裏カジノの借金で折田に脅され店の情報を漏らしていたと告白。都成らは連絡の取れない水町が拉致されたと悟り、水町の救出のため折田のアジトへの突入を決める。拠点は新旧2つのマンションで、環那と木場は新しいマンションへ向かう。そこで偶然会ったアレックスの恋人・和服女から折田の部屋が1107号室と教えられた環那は、彼女の住む1307号室からロープ下降で外壁伝いの危険な侵入を試みる。木場が1207号室の住人の注意をひきつける中、環那はベランダに到達し、割った窓ガラスで左腕を切り裂かれながらも室内へ侵入するが、水町はそこにはいなかった。一方、都成は幼い水町を救った「シマセゲラ」を求め、その正体を知るクルミを龍二と久太郎より先に探し出し、シマセゲラはキノミとキノミの元メンバー・シイと明かされる。クルミが示したシイの部屋から見える2つの巨大ガスタンクと学校のチャイムを手がかりに、都成はシイの自宅を突き止める。水町救出の協力を懇願するもシイは折田との関わりを拒むが、都成に促され彼は16年前の真相を語り始める。当時、シイは水町の父と組み折田の父のマンションへ強盗に入り、中学生の折田と遭遇する。金庫を開けさせようとナイフで脅すも、水町の父はスタンガンで倒され、シイもナタで頭を斬られ昏倒。4日後に目覚めると水町の父は首を切られ息絶えており、折田は「どっちを殺す?と言ったら、兄さんを殺せと言うから殺した。悪い奴だから」と笑顔で告げる。折田は彼の父を真似てシイの素性を把握し支配しようとするが、満身創痍のシイは一矢報いようと密かに反撃の機会を伺う。 | ||
| 第11話 | 残念なおしらせがある | 12月15日 |
| シイは油断する折田にナイフで反撃するが、折田のナタで右腕を裂かれる。だがシイは怯まず、折田の右腕に刃を突き立て死の恐怖を刻み込み脱出に成功する。シイは水町の父との約束を果たすため、彼の免許証の記憶を頼りに車で水町の救出へ向かう。途中で白黒ボーダーの上着を羽織り、コンビニで水と食料を調達、明け方に古い一軒家へ到着。南京錠を破壊し侵入すると、衰弱した幼い水町を発見、水と食料を与えて解放し、その際、父親が殺害された事実を伝えたとシイは都成へ語る。一方、折田の古いマンションでは、クルミ捜索の報告を終えた龍二が、睦美から食料の買い出しを命じられる。龍二の外出を目撃した塚田・志沢・里見は、田丸にバイクでの尾行を依頼し、折田の部屋への侵入を図る。塚田は借金返済を口実に訪問するが睦美に追い返される。同じ頃、折田は山へ連れ出した久太郎に、「龍二と久太郎、死ぬならどちらか」と迫る。久太郎は「同じ問いに龍二は久太郎を殺せと命乞いした」と語る折田の虚言を見抜き、彼の孤独と歪んだ本質を突く。逆上した折田は発砲するが、久太郎は反撃して首を絞め上げる。しかし折田は「連絡がなければ睦美が龍二を殺す」と脅す。久太郎は龍二のスマホに連絡するが、スマホを取り上げていた睦美が応答し、折田の異変を察し機転を利かせ久太郎に隙を作る。折田はその一瞬を突き、ナタで久太郎の左腕を切り裂く。マンションでは、志沢の細工でエレベーターを停止させ、外出しようとする睦美を足止め。塚田が注意を引く間に、気配を消した里見が睦美の鞄から部屋の鍵を抜き取る。睦美は龍二と合流するが、彼が塚田と遭遇していないことに違和感を覚え、共に部屋の前へ戻るも鍵の紛失に気づく。龍二を折田のもとへ先行させて睦美は針金で開錠を試みるが、巡回中の刑事・藤井に発見され連行される。その隙に塚田と里見は部屋へ侵入するが水町はおらず、鍵を玄関の電気メーター上に置いて撤退。直後、その鍵は何者かに回収される。山中では、重傷の久太郎が龍二との日々に悔いはないと語りつつ「死にたくない」と叫ぶが、折田は久太郎の頭を撃ち銃殺する。一方、水町が都成のスマホを所持していることを思い出し、都成は位置情報から奥多摩の山中にいると特定。救出へ向かおうとする都成の服がケチャップまみれなのをシイは気遣い、白黒ボーダーのジャケットを渡す。途中、都成はデリバリーバイクのガス欠で足止めされるが、龍二を追っていた田丸と合流し、バイクの二人乗りで奥多摩へ急行。山道入口から都成は単身で水町救出へ向かい、警察への通報を田丸に託す。道中、都成は山小屋でのオーディションに向かうクルミと遭遇、素顔で挑む決意を聞かされ目出し帽を渡される。都成が目指す地点には、山小屋で椅子に縛られる水町の姿があった。 | ||
| 最終話 | あの人は…とんでもないです | 12月22日 |
| 水町を捜す都成は山中へ踏み込むが、そこで遭遇した龍二にシマセゲラと誤認され、右腕をナイフで刺され拘束される。龍二は隙を突き縄を解いて逃げた都成を追う途中、久太郎の遺体を発見、折田による殺害を悟る。一方、山小屋では折田が拘束した水町に、彼女の父は折田の父の配下であったが、もう1人との逃亡に失敗し制裁で相棒だけが殺され生き残った男と明かす。16年前、水町の父は中学生の折田に「生き残った者が一生逆らわないとは限らない」と告げ、自由になるため金庫強盗を図ったが、折田はそんな彼を殺害したと語る。その刹那、指笛が小屋の外で響き、表へ出た折田は久太郎を殺された怒りに駆られる龍二に背後から刺される。しかし、そこへ突然現れた都成に龍二が気を取られた瞬間、折田は銃で反撃し殺害、腹部も刺され重傷を負いながらも生き延びる。折田は都成に、助けを乞い父親の仲間を呼ぶためスマホを要求する。都成はカラオケ店で手に入れた折田のスマホを差し出すが、顔認証が通らず彼のものではないことが判明する。折田はそれがバーミン宛に「誰も傷つけずシナントロープを襲え」との依頼の際に届いたものだと語り、その時から一連の事件が仕組まれていたと察し、崖から飛び降りて姿を消す。その後、都成は山小屋で水町を見つけるが「守れなかった英雄が助けに来ても顔も見たくない」という彼女の言葉を思い出し、正体を隠しシマセゲラとして救出すると独りで小屋を去る。数日後その山中には、発見された遺体が2体であることと共に監禁事件を報じるニュースを見つつ八咫烏の話を思い出しながら森を進み、やがて血痕と足跡の先に見つけた青い鳥の羽根を拾い上げ笑みを浮かべる木場の姿があった。 1年後、銀行への就職を控える都成は志沢と再会し、オーナーの水町の下で繁盛店となったシナントロープを訪れる。木場とは事件以来会っていないこと、読切漫画が掲載された田丸と大学院へ進学する里見は現在も交際中、塚田はタイヤ屋へ就職、環那は美容師になったと仲間たちの近況を伝えると、志沢は1年前の事件がすべて水町の計画だったと語り始める。水町の祖父インカアジサシは、水町の父の形見の免許証と共にバーミンの金庫から水町の父の悲願であった「折田が弱みを握る者の名簿」を盗みだしていた。そしてホテルでの忍を装った志沢へのチャット、都成への配達指示、インカアジサシによる救出、さらに折田へのシマセゲラの脅迫状もすべて水町の仕業と推理を披露する。父の復讐、父の望みの達成、父の形見の奪還、自らの欲望の実現を同時に成し遂げる計画を進め、そしてすべてを手に入れた水町に、志沢は「あの人は…とんでもないです」と漏らす。都成は推理に半信半疑ながら、店内の水町に「写真を撮ろう」と声をかけ「あのスマホ」を向けると顔認証が反応、ロックが解除されてイエスズメの待ち受け画面に変わる。志沢の推理が裏付けられたその瞬間、水町の表情から笑みが消える。帰路、都成は志沢の「すべての悲劇の始まりは17年前のひき逃げ事件の逮捕である」との言葉を思い返す。その結果として、水町の父が当時中学生だった折田を甘く見た判断を招き殺害され、水町の監禁に連鎖したという。帰宅後、都成は母に促され過去の栄光を手放すため、警察からの感謝状の額を外す。額の中に収められた17年前の新聞には、5歳の都成がひき逃げ犯である折田の父親の逮捕に貢献した記事と、その隣には監禁されていた少女・水町が救出された記事が記されていた。鳥の羽ばたく音が響き、一連の悲劇の始まりに自分が関わっていたと知った都成は、窓の外を見ながら「都成の隣」と呟く。 | ||