スカイシールド
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スカイシールド35(英語: Skyshield 35)は、スイスのエリコン・コントラヴェス社が開発した短距離防空システム[1][2]。製造元がラインメタル・エア・ディフェンスに改編された現在ではエリコン スカイシールドとして販売されている[3]。
スカイシールドはスカイガードの後継となるモジュール化・軽量化された防空システムと位置付けられ、脅威となる航空機やミサイルを迅速に捕捉・破壊すると共に、C-RAMとしての役割も果たすことを目的としている[4]。
無人砲塔(RGM)
スカイシールド35は、エリコン・コントラヴェス社の35mm2連装機関砲の能力向上への要請に応えて、同社のプライベート・ベンチャーとして開発されたもので、1995年末に開発を完了した[1]。スカイシールド35の典型的なシステム構成においては、1セットの射撃統制ユニット(Fire-Control Unit: FCU)に2基の無人砲塔(Revolver Gun Mount: RGM)が組み合わされる[1]。
主要なユニットはパレット化され、2.44×3.00メートルのインターモーダル輸送フレームを用いて輸送することができる[1]。クレーンを備えた六輪駆動の貨物自動車2両でシステム全体を輸送・展開可能とされる[1]。
RGMは、エリコンKDG 35 mm 機関砲を単装に配した無人の砲塔システムである[1]。エリコンKDGは35mm口径のリヴォルヴァーカノンで、35/1000という開発当初の名称の通り、毎分1,000発の発射速度を発揮できる[1]。
本砲システムは、エリコン・コントラヴェス社が従来開発してきた全ての35mm機関砲弾に加えて、新開発のAHEAD弾の運用にも対応する[1]。これはタングステン製のペレット152個を内蔵したABM弾で、従来の砲弾と比して、目標の撃墜確率は大幅に向上している[1]。RGMはそれぞれ228発の即応弾を有しており、再装填なしでも約20回の交戦に堪えるものと見込まれている[1]。
射撃統制ユニット(FCU)
FCUは、無人運用可能なセンサーユニット(SU)と、操作員2人が配置される指揮所(Command Post: CP)とから構成される[1]。対レーダーミサイルによる攻撃に備えて、SUとCPは最大で500メートル離して配置することができる[1]。
SUには、Xバンドの捕捉レーダーと追尾レーダーが設置されている[1]。捜索中追尾能力を備えており、探知された目標の情報は自動的に評価されて、追尾レーダーあるいは電子光学センサーに移管される[1]。電子光学センサーとしては、可視光のほかレーザーやFLIRを備えている[1]。
派生型
MANTIS
ドイツ陸軍は、MANTIS(モジュール式、自動、ネットワーク対応の標的捕捉・迎撃システム)と呼ばれる6つの完全自動砲塔を備えたスカイシールドの改良型を固定基地防衛システムとして発注した。 2011年に2システムが納入され[5]、ドイツ陸軍の将来の「SysFla」防空プログラムの一環として、さらに発注が計画されている。
スカイネックス
2016年のユーロサトリで、ラインメタル・エア・ディフェンスはスカイネックス(Skynex)防空システムを発表した[6]。これはスカイシールドと同じSUを用いつつ、RGMをMk.3にバージョンアップし、更にネットワーク化を進めたスカイマスター指揮システムを導入したものであった[6]。スカイネックスはオープンなモジュール式アーキテクチャを特徴としており、センサーとして最大3基のエリコンX-TAR3D捕捉レーダー、対空火器として最大12基の35mm対空機関砲を組み込むことができるほか、SAMや高エネルギーレーザーも導入可能とされる[6]。また既存のスカイシールドやスカイガードとの連接も可能である[6]。
スカイレンジャー35

2018年のユーロサトリで、ラインメタル・エア・ディフェンスはスカイレンジャー35防空システムを搭載したボクサー装輪装甲車を展示し[7]、この組み合わせは後に実証実験に供された[8]。
スカイレンジャーは実質的にスカイネックスを車載化したものであり、エリコンKDG 35mm機関砲のほか、エリコンKCE 30mm機関砲を用いたバージョンも開発されている[9]。
運用史
2014年3月、ラインメタルは南アフリカとの間で同国の既存の短距離防空システムの近代化契約を結んだ。この契約には、南アフリカの既存の 2 連装砲システムの性能と精度を大幅に向上させ、防空能力の運用範囲を大幅に拡大するエリコン スカイシールド射撃管制ユニットの供給が含まれていた。
従来、南アフリカは102基のGDF-002および48基の改良型GDF-005を使用していた。これに関連して、いくつかの連装砲システムも、ラインメタル社の最先端のAHEAD対ミサイルプログラム弾薬に対応するために、兵站および訓練サービスを含むアップグレードキットで改造される予定となっていた。完全なパッケージは2017年までに完成する予定だった。
インドネシアは2017年にスカイシールドを4基運用し、2017年にさらに11基の追加契約を結んだが、資金繰りの問題から2018年11月まで発効しなかった[10][11]。
2022年10月、カタール首長国防空軍はスカイマスター戦闘管理システムを中心としたモジュール式防空アーキテクチャで、スカイシールドのコンポーネントを連結することができるスカイネックスを調達したことを明らかにした。ラインメタルは2019年10月、不特定多数のスカイマスター、レーダー、射程距離4kmまでの小型目標に有効なAHEADプログラム可能な空気炸裂弾を含む火砲について、約2億1000万ユーロ(約2億400万米ドル)の契約を結んだとみられている。カタール国防省が公開したビデオには、8門の35mmリボルバーガンMk3と1挺のX-TAR3D目標捕捉・追跡レーダーが映っていた[12]。
2022年12月9日、ドイツ政府の報道官は、ラインメタルが2022年ロシアのウクライナ侵攻に対する支援の一環として、ウクライナにスカイネックスシステム2基を提供すると述べた。このための費用は約1億8,200万ユーロ(約1億9,200万ドル)であり、これをドイツが負担する。スカイネックスの防空システムは、空域監視を発射機から切り離すというコンセプトに基づいており、C2ネットワークと異なる兵器をリンクさせるための追跡ユニットだけが必要となる。各スカイネックス・システムは、4門のリボルバーガンMk3砲、CN-1コントロール・ノード、X-TAR3Dレーダーで構成され、すべてHXトラックに搭載される。2024年初頭の納入が予定されており[13][14]、最初の納入は2024年1月4日に発表された[15][16][17][18][19]。4月、ドイツは2基目のスカイネックスをウクライナに引き渡した[20]。