チチジマコツブムシ
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Gnorimosphaeroma rivulare Tomikawa, Yoshii, Noda, Lee, Sasaki, Kimura & Nunomura, 2023[2][1] |
チチジマコツブムシ(学名:Gnorimosphaeroma rivulare)は、小笠原諸島父島の淡水域に生息するイソコツブムシ属の一種。とても小さなダンゴムシのような見た目で、ほかの多くのイソコツブムシの仲間と同じく、防御態勢になると体を丸まらせて球体になる。
形態
体は卵形で丸みを帯びており、オスの体長は幅の約1.5倍であり、メスの体長は幅の1.7倍である。背板の表面は滑らかで毛もない。上唇の前縁は丸く、微細な剛毛がある。複眼は卵形[1]。
底板は胸節との明確な関節が目視できず、部分的に重なり合っている。縁は丸く、剛毛はない。第3底板は丸くなれるように変形している。第1腹節は第7胸脚に隠れてほとんど見えない。前方縫合線は後方縫合線よりも長い。第5腹節は第4腹節に融合しており、かろうじて判別できる。腹尾節は腹節よりもわずかに狭く、長さは幅の半分である。後縁は丸く、微小な剛毛がある。擬顎は剛毛がある[1]。
第1触角は頭部の後縁を超えて伸びる。第1柄節卵形で、長さは幅の1.6倍ある。第2柄節は四角形で、長さは幅の1.6倍であり第1柄節の40%で、剛毛がある。第3柄節は細長く、長さは幅の3倍であり第1柄節の半分。鞭節は6節あり、第2節と第3節には2本、第4節と第5節には1本の感覚を司る毛がある[1]。
第2触角は第2胸節の末端に達している。第1-3柄節はほぼ四角形でそれぞれほぼ同じ大きさ。第4-5柄節のそれぞれの長さは第1柄節の1.5倍で幅の1.9倍であり、長方形に近い形をしている。鞭節は12節からなる[1]。
右大顎の門歯状突起は3-4つ。左大顎の門歯状突起は4つで可動葉片は3つ。大顎髭は3節からなる。第1節には微細な剛毛がある。第2節は第1節の1.2倍で、外縁に10本の剛毛がある。第3節は第1節の0.8倍で内縁に微細な剛毛があり、外縁に11本の剛毛がある[1]。
第1小顎の底節内葉は細く、4本の羽状剛毛と1本の剛毛がある。基節内葉は底節内葉より長く、10本の剛毛をもち、うち4本の歯状[1]。
第2小顎の底節内葉には17本の剛毛があり、いくつかは羽状剛毛。基節内葉の内側には12本の剛毛があり、外側には13本の剛毛がある[1]。
顎脚の先は顎脚鬚の第2節の外縁角に達す長さ。顎脚の外縁には8本の羽状剛毛と5本の剛毛があり、内縁には1本の鉤刺と4本の羽状剛毛がある。顎脚鬚は内縁側に突出し、第2節には3本、第3節には3本、第4節には6本の剛毛があり、第5節は細いが剛毛をもつ[1]。
第1胸脚の基節は内縁角に1本の剛毛があり、内縁に微細な剛毛がある。長節は葉のような形状で、外縁に4本の剛毛があり、内縁に太い剛毛と微細な剛毛がある。腕節は短く、内縁に2本の太い剛毛と微細な剛毛をもつ。オスの前節は卵形でメスの前節は長方形様で、幅の2.5倍の長さであり、内縁に2本の太い剛毛があり、内縁の内側に5本の微細な剛毛がある。指節は前節の0.6倍[1]。
第2胸脚の基節は内縁角に1本の剛毛がある。長節は葉のような形状で、内縁角に5本の剛毛があり、内縁に微細な剛毛がある。腕節の末端には6本の太い剛毛と3本の細い剛毛があり、内縁に微細な剛毛がある。オスの前節は長方形で、長さは幅の2.8倍で、内縁に3本の太い剛毛がある。メスの前節は長方形様で、長さは幅の3.1倍で、末端に2本の太い剛毛がある。指節は前節の半分の長さ[1]。
第3胸脚の基節は内縁角に1本の剛毛がある。長節は葉のような形状で、外縁角に6本の剛毛があり、内縁にまばらな微細な剛毛がある。腕節の末端には5本の太い剛毛といくつかの細い剛毛があり、内縁にはまばらに細い剛毛がある。前節は内縁に2本の太い剛毛と1本の細い剛毛をもち、長さは幅の2.8倍。指節は前節の半分の長さ[1]。
第4胸脚の基節は内縁角に1本の剛毛があり、外縁にいくつかの箒状の剛毛がある。座節の内縁には微細な剛毛がある。長節は外縁に太い剛毛があり、内縁・外縁ともに微細な剛毛がある。腕節の内縁にまばらな微細な剛毛がある。前節の内縁に3本の太い剛毛があり、内縁・外縁ともに微細な剛毛がある[1]。
第5-7胸脚の基節は外縁角に1本の剛毛があり、長節と腕節の末端には太い剛毛があるほか、前節の外縁に2本の太い剛毛がある[1]。
第1腹肢の原節の長さは幅の半分で、内縁角にオスは4本の剛毛があり、メスは3本の剛毛がある。外肢は卵形で、長さは内肢の1.2倍であり、縁に羽状剛毛がある。外肢はオスの場合、長さは幅の1.9倍で、メスの場合、長さは幅の1.6倍。内肢は三角形様で、末端に羽状剛毛がある。内肢はオスの場合、長さは幅の1.4倍で、メスの場合、幅の1.5倍[1]。
第2腹肢の原節の長さは幅の40%で、内縁角に2本、外縁角に1本の剛毛がある。外肢は卵形で、長さは幅の1.8倍であり、縁に羽状剛毛がある。内肢は三角形様で、長さは幅の1.6倍であり、末端に羽状剛毛がある。オスにある交尾針の長さは幅の6倍で内縁の1.2倍[1]。
第3腹肢の原節は第2腹肢と同じ形態。外肢は卵形で、長さは幅の1.9倍であり、縁に羽状剛毛がある。内肢は外肢よりわずかに短く、末端に羽状剛毛がある[1]。
第4腹肢の原節は幅の半分の長さしかなく、外縁角に1本の剛毛がある。外肢の長さは幅の1.8倍で、縫合線があり、縁に4本の羽状剛毛と剛毛がある。内肢は卵形で、長さは幅の1.4倍あり、縁には剛毛がない[1]。
第5腹肢の原節は内縁角に2本の剛毛がある。外肢の長さは幅の1.6倍で、鱗状の斑点が2か所であり、縫合線があり、縁に剛毛がある。内肢は卵形で、外肢の0.7倍の長さで、縁には剛毛がない[1]。
尾肢は尾節の後縁にわずかに届かないほどの長さで、原節は長方形で、長さは幅の0.6倍である。外肢の長さは内肢の0.7倍であり、細い剛毛がある。外肢はオスの場合、長さは幅の3.5倍で、メスの場合、長さは幅の3.0倍。内肢には細い剛毛があり、内肢はオスの場合、長さの幅の2.5倍で、メスの場合、長さの幅の2.6倍である[1]。
判別
チチジマコツブムシはオガサワラコツブムシや、チョウセンコツブムシ、サイジョウコツブムシに形態的に似ている。例えば、前方縫合線は後方縫合線より長いこと、第2小顎の基節の内側と外側に10本以上の剛毛があること、第1胸脚の基節の内縁角に剛毛があること、第1胸脚の外縁角に4本の剛毛があること、尾肢の外肢は内肢の2倍の長さであることが、共通している特徴である。オガサワラコツブムシはチチジマコツブムシと異なり、尾節の後縁が直線的で、第2胸脚の前節が三角形様であるうえ、第3胸脚の腕節と前節に密な微細な剛毛があり、第3腹肢の外肢が内肢より小さい。チョウセンコツブムシはチチジマコツブムシと異なり、第1触角の第3柄節は細く、第2柄節の1.7倍の長さであり、第2胸脚の前節の内縁がわずかに膨らんでいるほか、第5腹肢の内肢の長さが外肢の0.9倍もある。サイジョウコツブムシはチチジマコツブムシと異なり、第1小顎の底節内葉に5本も羽状剛毛があり、顎脚鬚の第2節と第3節に1本しか剛毛がなく、第2胸脚の前節の内縁がわずかに膨らんでいるほか、第3胸脚の長節と腕節および前節に密に微細な剛毛がある[1]。
研究史
2013年、父島の長谷川上流にてイソコツブムシ属の未同定種が報告されたが[1][4]、標本が保管されることはなかった[4]。そこで、端脚類研究で有名な富川氏と等脚類研究で有名な布村氏は、標本を手に入れるため、2019年に父島に渡って採集を行った[1][4]。川底の石を拾い上げて裏を確認しながら歩いていき[4]、数個体を細目網で採取しその場でエタノール漬けにすることに成功した[4][1]。形態を調べたうえで[4]、18SリボソームrRNAと16SリボソームRNAがシーケンスされた[1]。また、このシーケンシングは本種のみならず、イソコツブムシ属の一部種や近縁な分類群でも行われ、その塩基配列はINSD(国際塩基配列データベース)に登録されたうえで、2つの解析法を用いてイソコツブムシ属内の簡易的な系統樹が作成された[1]。これらの研究から新種であることが確認されたため、2023年に記載論文が発表された[1][4]。種小名rivulareはラテン語のrivularis(小川に生息する)に由来し、生息地を表す名前となっている。タイプ標本は国立科学博物館に保管されている[1]。