トロイアの木馬
トロイア戦争における逸話
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トロイアの木馬[1](トロイアのもくば、Trojan Horse)は、古代ギリシアの伝承に語られてきたトロイア戦争において、ギリシア連合軍がトロイアを攻め滅ぼすきっかけになったとされる中空の巨大な木馬[2][3]。トロイの木馬、トロヤの木馬とも。

ギリシア側は、予め木馬内部に兵士らを潜ませて敵方トロイアの城壁外に放置、彼らが油断してこれを城内に引き入れると、夜中の人々が寝静まったころ、中から抜け出たギリシア兵士が奇襲し、城門を開け放ったため城は容易に陥落し、10年来続いたトロイア戦争は終結したと伝えられた[2]。
トロイアは現在のトルコの小アジア北西端(アナトリア)にある先史時代の遺跡都市で、木馬に関する伝承はウェルギリウス『アエネーイス』とホメーロスの『オデュッセイア』を主な典拠とする[3]。
このような伝承から転じて、「外見と中身が違う、巧妙に相手を陥れる罠」の慣用句ともなり、とくに悪意をもってパソコンへ侵入するコンピューター・プログラムを指して用いられる[4]。
伝承

トロイア戦争において、ギリシア勢の攻撃が手詰まりになってきたとき、オデュッセウスが木馬を作って人を潜ませ、それをイーリオス市内に運び込ませることを提案した。
参加して日の浅いネオプトレモスとピロクテーテースは戦いに飢えていたので反対したが、戦いに倦んでいた他の諸将は賛成した。これはトロイア戦争の始まる前、3つの神託がギリシア勢に下されたためである。
その神託とは、ネオプトレモスの戦争への参加、イーリオスにあるアテーナー神殿にある神像(パラディオン)がトロイアの外に持ち出されること、イーリオス城正門の鴨居が壊されることで、この3つが果たされなければイーリオス城が陥落することは無いとのものであった。
この時点でネオプトレモスは戦争に参加していたため、オデュッセウスとディオメーデースがパラディオンを盗み出し、巨大な木馬を製作して、トロイア人がこれを城内に入れる際、自ら進んで門を破壊するよう仕向ける事にしたのである。
このため、強くはなくとも大工の技に長けていたエペイオスが木馬の製作を指揮することとなった。彼はイーデー山から木を切り出させ(自軍の船の木材を転用したとも)、それを材料に木馬を組み立てた。木馬作成の過程は、トリピオドーロスの『トロイア落城』に最も詳しく書かれている。
木馬の完成
木馬が完成すると、ネオプトレモス、メネラーオス、オデュッセウス、ディオメーデース、ピロクテーテース、小アイアースらが乗り込み、最後にエペイオスが乗り込んで扉を閉じた。木馬をイーリオス市内に運び込ませるためには、トロイア人に顔を知られていない者が1人で残り、敵を欺く必要があった。この役にはシノーンが立候補した。残りのギリシア勢は寝泊りしていた小屋を焼き払い、船で近くのテネドス島に移動した。
トロイアの滅亡

夜が明けると、トロイア人はギリシア人が消えうせ、後に木馬が残されていることに気がついた。ギリシア人が退却して勝利がもたらされたと思い込んだトロイア人は、市内から出てきて木馬の周りに集まり、シノーンを発見した。
トロイア人たちはシノーンを拷問し、ギリシア人の行方や木馬の作られたいきさつを問いただしたが、彼は「ギリシア人は逃げ去った。木馬はアテーナーの怒りを鎮めるために作ったものだ。そして、なぜこれほど巨大なのかといえば、この木馬がイーリオス城内に入ると、この戦争にギリシア人が負けると予言者カルカースに予言されたためである」と嘘をつき、トロイア人を欺き通した。
まんまと欺かれたトロイア人たちは、木馬を曳いて市内に運び込んだ。ラーオコオーンとカッサンドラーが興奮する市民たちをいさめ、木馬に槍を投げつけた。その直後、海から2匹の大蛇が現れ、ラーオコオーンとその二人の息子をくびり殺したため、市民たちは考えを変えた。門は木馬を通すには狭かったので、壊して通した。そして、アテーナーの神殿に奉納した。トロイア人はその後、市を挙げて宴会を開いた。やがて夜も更けて人々が寝静まり、守衛さえも手薄になっていた。
それを好機と、木馬からオデュッセウスたちが出てきた。そして計画どおり松明でテネドス島のギリシア勢に合図を送り、彼らを引き入れた。その後ギリシア勢はイーリオス市内を暴れ回った。酔って眠りこけていたトロイア人たちは反撃することができず、アイネイアースなどの例外を除いて討たれてしまった。トロイアの王プリアモスもネオプトレモスに殺され、ここにトロイアは滅亡した。
比喩
英語でTrojan horseは真意を隠す仕掛けを表す比喩表現である[5]。
無害なプログラムを装ってパソコンに侵入してさまざまな攻撃を行うプログラム(マルウェア)の一種を「トロイの木馬」と呼ぶ[6][7]。画像や文書ファイル、無料配布アプリなどのプログラムに偽装し、ユーザーの警戒をすりぬけてダウンロードさせることが多いため、この呼び名がある[6]。
マイクロプラスチックを経由して有害物質が生物の体内に入ることを「トロイの木馬」効果と呼ぶことがある[8]。