フアナンサウルス

From Wikipedia, the free encyclopedia

フアナンサウルス学名Huanansaurus)は、中華人民共和国江西省に分布する南雄層から化石が産出した、オヴィラプトル科英語版に属する獣脚類恐竜[1]。タイプ種はフアナンサウルス・ガンジョウエンシスHuanansaurus ganzhouensis)である[1]。中国の江西省と広東省は本属を含め多数のオヴィラプトル科恐竜が知られているが、本属は同地域の多くの属よりもモンゴル国で産出したキチパチに近縁とされた[1]。当時のオヴィラプトル科恐竜は生態的地位の分割によって同所的な共存を可能とし、またアジアの広範囲で高い多様性を持っていたとされ、本属の化石はその傍証とされている[1]

本属は呂君昌を筆頭著者としてLü et al. (2015)で記載された[1]。後に同じく呂が記載した中国・江西省のコリトラプトルはLü et al. (2017)の系統解析で本属との姉妹群とされ、2属を纏めた分岐群とキチパチが姉妹群をなしている[2]

フアナンサウルスの頭部・頸部・前肢
フアナンサウルスの前肢と後肢

フアナンサウルスの化石は中華人民共和国江西省の贛州市に位置する贛州駅英語版付近の建設現場で発見された[3]。産出した地層は上部白亜系南雄層であり、カンパニアン階からマーストリヒチアン階と推定されている[3]。ホロタイプ標本HGM41HIII-0443はほぼ完全な頭蓋骨と部分的な体骨格から構成されており、体骨格には左右の前肢の指骨・頸椎上腕骨大腿骨脛骨中足骨・後肢の趾骨が保存されている[3]

本属のタイプ種フアナンサウルス・ガンジョウエンシスは、Lü et al. (2015)により記載・命名された[3]。タイプ標本が江西省贛州市から産出したことに基づき、属名は中国南部を意味する「華南」に由来する[3]。種小名は贛州市からの産出を反映している[3]

特徴

フアナンサウルスの固有派生形質として、方形骨の下顎顆が後頭顆よりも後側に位置すること、nuchal transverse crestが発達すること、外下顎窓の縁の広範囲に角骨が寄与すること、歯骨の嘴の前背側先端が前背側に突出していて下顎結合の腹側縁に対して45°以下の角度をなすこと、第I中手骨が細長いこと(直径が長さの20%)、歯骨の後腹側枝が捻じれて外側面がやや腹側を向くこと、symphyseal shelfの長さが下顎の20%を超過し25%未満であること、前肢末節骨の近位背側に位置する伸筋の付着するlipが発達することがある[3]。またこれらの固有派生形質と別に複数の形質状態が認められており、それらの組み合わせによって形態学的定義がなされている[3]

フアナンサウルスは頭蓋骨に含気化した鶏冠状の隆起が存在しており、前上顎骨の前腹側縁が頬骨と比較して前背側に傾斜し、前上顎骨が上顎骨と比較してわずかに腹側へ突出するといった特徴がある[3]。これらはオヴィラプトル亜科との共通点であり、後述する系統解析の結果とも調和的である[3]。ただし、上側頭窓が円形でかつ下側面頭窓よりも有意に小さいこと、外下顎窓が歯骨の後背突起に深く入り込むことなど、固有の特徴も持つ[3]。頭蓋骨の形態は、Lü et al. (2015)時点で既知のオヴィラプトロサウルス類のうちキチパチに最も類似するとされる[3]

オヴィラプトル亜科の下顎結合部分は、亜科内で3タイプに分かれるとされる[3][1]。1つはナンカンジアのように下顎結合の先端部が下降しないもの、ジアングシサウルスのように弱く下降するもの、バンジのように明らかに下降するものである[3]。フアナンサウルスは下降の度合いが弱く、ジアングシサウルスのものに類似する[3]。この形態差は、オヴィラプトル亜科内での採食戦略の差異を反映する可能性がある[3]

分類

古環境

脚注

Related Articles

Wikiwand AI