フッ化銀(II)

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フッ化銀(II)
フッ化銀(II)
フッ化銀(II)
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.029.124 ウィキデータを編集
EC番号
  • 232-037-5
UNII
性質
AgF2
モル質量 145.865 g/mol
外観 白色または灰色の結晶性粉末, 吸湿性
密度 4.58 g/cm3
融点 690 °C (1,274 °F; 963 K)
沸点 700 °C (1,292 °F; 973 K) (分解)
分解
構造
斜方晶系
正方伸長した
八面体配位
直線形
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
有毒, 水と激しく反応, 強力な酸化剤
GHS表示:
支燃性・酸化性物質腐食性物質急性毒性(高毒性)
Danger
H272, H301, H302, H311, H312, H314, H331, H332
P210, P220, P221, P260, P261, P264, P270, P271, P280, P301+P310, P301+P312, P301+P330+P331, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P312, P304+P340, P305+P351+P338, P310, P311, P312, P321, P322, P330, P361, P363, P370+P378, P403+P233, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
安全データシート (SDS) MSDS
関連する物質
その他の
陰イオン
酸化銀(I,III)
その他の
陽イオン
フッ化銅(II)
フッ化パラジウム(II)
フッ化亜鉛
フッ化カドミウム(II)
フッ化水銀(II)
関連物質 一フッ化二銀
フッ化銀(I)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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フッ化銀(II) とは、化学式 AgF2 をもつ化合物である。銀(II) 化合物は珍しく、は通常 +1 の酸化数をとる。フッ素化剤として用いられる。

AgF2はAg2Oを単体フッ素でフッ化して合成できる。また 200 °C (473 K) では、単体フッ素がAgFまたはAgClと反応してAgF2を与える[1][2]

強力なフッ素化剤であるため、AgF2テフロンまたは不動態化した金属容器に保存するのが望ましい。光に敏感である。

AgF2は複数の供給元から購入可能であり、需要は 100 kg/年 未満である。研究用途では利用されるが, 大規模工業用途には高価すぎる。1993年にはAgF2の価格は1kgあたり1000–1400米ドルであった。

組成と構造

AgF2は白色の結晶性粉末であるが、不純物により黒色または褐色を呈することが多い。多くの試料でF/g比は2未満で、Ag酸化物および炭素による汚染のため典型的には1.75に近づく[3]

かつては、銀が実際に +2 の酸化数にあるのではなく、AgI[AgIIIF4]のような状態の組合せではないかという疑いがあった。これは 酸化銀(I,III)に類似する。しかし、中性子回折研究により銀(II) としての記述が確認された。AgI[AgIIIF4] は高温で存在することが見いだされたが, AgF2 に対して不安定であった[4]

気相ではAgF2はD∞h対称性をもつと考えられている。単結晶X線回折によれば、固体中の銀原子は平面四角形配位である[5]

基底状態と第一励起状態の間は約14kcal/mol(59kJ/mol; 0.61 eV/f.u.)で隔てられている。この化合物は常磁性であるが、−110 °C (163 K) 以下では強磁性になる。

用途

AgF2は強力なフッ素化剤および酸化剤である。銀によるフッ素を用いた気相反応の触媒作用において中間体として生成する。フッ化物イオンとともに、AgF
3
、青紫色のAgF2−
4
、およびAgF4−
6
などの錯イオンを形成する[6]

有機過フッ素化合物のフッ素化および調製に用いられる[7]。この種の反応は3通りの機構で起こりうる(ここでZは炭素に結合した任意の元素または基、Xはハロゲンである):

  1. CZ3H + 2 AgF2 → CZ3F + HF + 2 AgF
  2. CZ3X + 2AgF2 → CZ3F + X2 + 2 AgF
  3. Z2C=CZ2 + 2 AgF2 → Z2CFCFZ2 + 2 AgF

同様の変換はCoF3、MnF3、CeF4、PbF4などの高原子価金属フッ化物でも起こりうる。

AgF2芳香族化合物のフッ素化にも用いられるが、選択的モノフッ素化はより困難である[8]

C6H6 + 2 AgF2 → C6H5F + 2 AgF + HF

AgF2は無水HF溶液中でキセノンを酸化して二フッ化キセノンを与える[9]

2 AgF2 + Xe → 2 AgF + XeF2

また一酸化炭素フッ化カルボニルへ酸化する。

2 AgF2 + CO → 2 AgF + COF2

水と反応して酸素を生じる:[要出典]

4 AgF2 + 4 H2O → 2 Ag2O + 8 HF + O2

AgF2は温和な条件下でピリジンのオルト位を選択的にフッ素化できる[10]

安全性

脚注

外部リンク

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