プーニュー・ニャーニュー
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プーニュー・ニャーニュー(ラーオ語:ປູ່ເຍີ ຍ່າເຍີ 、英語:PuYer-YaYer)はラオス・ルアンパバーンにおける祖先霊であり、非常に重要な文化的英雄である。また、ラオスの宇宙観に関わる土地の創造者ともされる[1]。別名、プー・サンカサー、ヤー・サンカシー(ラーオ語:ປູ່ສັງຂະສາ ຍ່າສັງຂະສີ)や王家の神(ラーオ語:ເທວະດາຫຼວງ)とも呼ばれる[2][3]。

現在では世界遺産の象徴的なロゴのように扱われ、観光客は彼らと写真を撮ることができる。マスコット人形も販売され、文化的存在から観光資源へと役割を広げている[4]。
現在でも人々はプーニュー・ニャーニューを神であり守護霊として崇拝している[1]。ヒマラヤの森や「タート・クワンシーの滝」から連れてきて養子にしたと言われている獅子の神獣「シン・ケーオ・シン・カム(ラーオ語:ສິງແກ້ວສິງຄໍາ)」を伴う[5]。なお、シン・ケーオ(ラーオ語:ສິງແກ້ວ)は兄で上半身、シン・カム(ラーオ語:ສິງຄໍາ)は弟で下半身を表すとされる[6]。
ラーンサーン王朝においては、王位継承(ラーオ語:ພິທີຣາຊາພິເສດ)の際にはプーニュー・ニャーニューが他の者に先立って礼拝や水かけの儀式を行った[7]。ルアンパバーン国立博物館にある玉座背後の壁画モザイクにもプーニュー・ニャーニューが描かれており、これは王の戴冠が精霊によって授けられたことを象徴している[4]。今日、プーニュー・ニャーニューはかつて君主の権力を支えていたタート・ルアン祭りなどからは姿を消した。しかし、2005年のルアンパバーン世界遺産登録10周年記念やラオ新年(ピーマイラオ)などの観光促進を目的としたパレードには参加している[4]。
プーニュー・ニャーニューの神話
プーニュー・ニャーニューの神話は、文献による伝承と口承の両方で語り継がれてきた。研究者Hathom Hongsuwanは、関連する16の神話を挙げ、それらがルアンパバーンの町の建設やラオス王朝の起源を描いていると指摘している[1]。
主な神話の類型
- プーニュー・ニャーニューが地上に降りてきた神話
- 怪物を退治した神話
- クア・カオ・カートの巨大な蔦の木を切り倒した神話
- 人間のために火をもたらした神話
- 都市を建設した神話
- 天から遣わされた天使として、大地を覆う巨木を切り倒し闇を取り除いて人類を救った神話
- 天界においてクン・ボーロムの従者であり、悪魔を討つ力を持っていたとされる神話。人々は彼を「王家の精霊」と呼び、塔を建てて祀ったとされる。
- 天から降りてルアンパバーンの寺院を切り裂き、人類を救うため巨木を伐ったが、その結果命を落とし祖霊となった神話
- 奇妙な顔を持つプーニュー・ニャーニューが天から追放され、地上に住むようになった神話。地上は水に覆われていたが、彼らが水の泡を踏むと陸地が生まれ、都市が形成された。人々は彼らを「王家の神」として崇めた。
- プーニュー・ニャーニューが「マック・ナムタオ・プーン」の木を植え、そこからラオスを含む諸民族の子孫が生まれたとする土地創造の神話
- ファー・グム王の時代に王家の神であったとする神話
- 天界の天使であったとする神話
- 獅子の神獣シン・ケーオ・シン・カムを伴っていた神話
- ラオス人を助ける守護霊としての神話
- 人間を守護する役割を担い、「プー・モッドとヤー・ンガーム」とも呼ばれた神話
- プー・ノー(Pu No)とナ・ノー(Na No)と呼ばれる姿で、シャベル・鍬・斧を持ち植物や敵対民族を打ち倒した神話。その後、15系統のナーガを凌ぐルアンパバーン王家の守護神となった。
クア・カオ・カートの神話
最も広く知られているのが「クア・カオ・カートの神話」である。かつて「テーン」(現在のディエンビエンフー)と呼ばれた町で、巨大な蔦の木が大地を覆い、人々は日照不足で寒さと飢餓に苦しんでいた。クン・ブーロム王はこの蔓を切り倒す志願兵を募ったが、誰も名乗り出なかった。そこで老夫婦ププーニュー・ニャーニューが志願した。
王は二人を称え、望みを尋ねると「死後も名声を残してほしい」と願った。老夫婦は3か月と3日かけて蔓を切り倒したが、その木に押し潰されて命を落とした。すると世界に光が戻り、生命が繁栄した。王は二人を讃え、今後何をするにも彼らを忘れないよう命じた。
この伝承により、人々は言葉の末尾に「ニュー」を付けるようになったとされる。また、二人の衣装を作り、代々受け継いできた。こうして彼らは街を守る祖霊として祀られるようになったのである[6][8]。
プーニュー・ニャーニューのコスチューム
ルアンパバーンの村民は、プーニュー・ニャーニューを神として崇めている。そのため、プーニュー・ニャーニューの仮面は通常ワット・アーハーム(ラーオ語:ວັດອາຮາມ)寺院に奉納されている。これらの仮面は公に出したり軽々しく作成したりすることは許されず、管理責任者のみが扱うことができる。
プーニュー・ニャーニューは、膨らんだ赤い頭を持つ夫婦である。一方は細い黒い髭を持つ男性であることを示し、男性は細い黒い髭を持ち、女性はやや小さく髭がないことで区別される。仮面は丸い木製の顔に可動式の口を備え、眉毛や髭は塗装されている。長い麻の縄が仮面から垂れ下がり、身体を象徴する。獅子の神獣シン・ケーオ・シン・カムは、長い鼻と口を持つ金色の仮面を着用し、同じく麻縄が身体を表す。プーニュー・ニャーニューはそれぞれ1人で演じられるが、シン・ケーオ・シン・カムは常に2人一組で演じられる[9]。
ラオ新年(ピーマイラオ)におけるプーニュー・ニャーニューの役割
ラオス人はプーニュー・ニャーニューは、古来より神聖な存在と考え、街に繁栄と豊かさをもたらすと信じている。
子どもの手首に彼らの毛を結ぶと、悪霊や災厄から守られると信じられている。演じ手は代々同じ家系[6]の者に限られ、着用前には必ず儀式が行われている[5]。
1975年以降の社会主義政権成立後、ルアンパバーンの新年を祝うためにプーニュー・ニャーニューの衣装を被りパレードを行うようになった[1]。その後、この行事には「リアン・ピー・ムアン」(街の精霊のための祭り)と「ヘー・ナン・ソンカーン」(ミス・ソンカーンパレード)が加わった[1]。毎年4月にルアンパバーンで行われるピーマイラオ(ラオス新年)の行事では、プーニュー・ニャーニューの仮面をつけ、麻紐の衣装をまとったプーニュー・ニャーニューやシン・ケーオ・シン・カムが重要な役割を果たす。ただしプーニュー・ニャーニューの伝説そのものには、ピーマイラオの記述は存在しない[1]。
2024年の儀式日程
- 2024年4月13日
- 2024年4月14日
- 正午、ワット・タートノイ(ラーオ語:ວັດທາດນ້ອຍ)(ワット・マハタート)からパレードを開始。王宮前のプーシーの丘の麓の登り祈願。その後、ワット・スワンナ・キーリーで供物を捧げ、寺院内で安寧、幸福、清涼を祈願して舞を披露[5]。さらに、ワット・シエントーンの僧房前でも舞を披露[6]。
- 2024年4月15日
正午、ワット・シエントーンからワット・タートノイ(ワット・マハタート)へ逆方向にパレード。向かう途中、タートルアン広場で祈願し、ワット・タートノイでも舞を披露。夜19時にはワット・ヴィスンナラートで読経し、本堂内で舞を披露する[6]。
パレード
- 2024年4月17日
ルアンパバーン国立博物館内のパバーン堂からパバーン仏像を運び出し、ワット・マイ(ラーオ語:ວັດໄໝ່ ສຸວັນນະພູມາຣາມ)までパレード。パバーン仏像への聖水をかける順番は、①プーニュー・ニャーニューによるナム・カーン川の聖水、②高僧と僧侶、③王族・貴族(現在は無し)、④官吏、⑤一般市民[5]。これはプーニュー・ニャーニューがナーガの代理として聖水を掛ける役割を担い[6]、仏教への帰依を示す儀式である。人々は、「パバーン仏像」に水をかけることで、豊かさと繁栄がもたらされると信じている[1]。夕方には、ワット・アハーム(ラーオ語:ວັດອາຮາມ)にて水かけと舞の儀式を行う[6]。
パバーン仏への潅水
- 2024年4月18日
- 午前9時、プーニュー・ニャーニューを箱に戻す。





