マリオン劇場でデジタル・ニューマスター版が上映されていた『ローマの休日』(監督ウィリアム・ワイラー、1953年)。主演のオードリー・ヘプバーン(写真左)とグレゴリー・ペック
1991年12月21日、札幌市中央区南3条西2丁目の塚本マリオンビル地下1階に開設。こけら落としはルイス・マンドーキ監督・スーザン・サランドン主演のユニバーサル映画作品『ぼくの美しい人だから』だった。この年は8月10日に松竹遊楽館が半年に及ぶ大改装を経てリニューアルオープンした一方、スガイビル(現:ディノス札幌中央)内にあったグランドシネマ(4階)、シネマロキシ、シネマ5(共に5階)の3スクリーンが撤退し、それぞれボウリング場(4階)、カラオケボックス(5階)に転換。同年9月30日には日活系映画館のロッポニカ札幌(旧:札幌日活劇場)、翌1992年3月には南8条西4丁目にあったミニシアター「ジャブ70ホール」がなくなり、同年7月4日には競合する市民映画館「シアターキノ」が南3条西6丁目にオープンするなど、同市内の映画館に大きな変動が見られた時期でもあった。
当初はレディースシアター・マリオンという名称でスタートし、主に女性向きのミニシアター系作品を数多く上映していたが、次第に女性向き以外の洋画・邦画もかけるようになり、その際にマリオン劇場という正式名称が定着していった。1996年にはイタリア映画『イル・ポスティーノ』(監督マイケル・ラドフォード)を上映しヒットに導いた一方[1]、1997年には札幌市保健所から「環境衛生保健所長表彰」を受けている[3]。
しかし2003年、札幌駅前に大型シネマコンプレックス「札幌シネマフロンティア」がオープンしてから、同市中心部にあった映画館の多くが軒並み閉館。同年末時点で当館とスガイビル内の映画館6スクリーン、札幌東宝プラザ、札幌東宝公楽、シアターキノなどが残った。それでも2004年1月17日~2月6日にはオードリー・ヘプバーン主演『ローマの休日』のデジタル・ニューマスター版をムーブオーバーしたり[4]、2006年には黒木和雄監督の遺作となった『紙屋悦子の青春』[5]、2007年3月期には吉井怜主演の『LOVE MY LIFE』(監督川野浩司)[6]の上映もあった。この頃になると、塚本マリオンビルの上層階にアイン薬局(1階[7])などのメディカルモールが相次いで入居しており、その際に“H&Bプラザ”という愛称が付けられている。
2008年7月9日には、同年7月26日に日本公開を控えていたドリームワークス製作のアニメ映画『カンフー・パンダ』の先行試写会が当館で開催されていたが[8] 、2009年1月9日、観客数減少などの事情によりマリオン劇場は閉館。最後の番組は木村威夫監督の邦画『夢のまにまに』であった。現在、跡地にはレストラン「Galle」(ガレ)[9]が入居している。
ちなみにラジオ番組『アタックヤング』(STVラジオ)のパーソナリティを務めていたミュージシャンの“SACON”こと左近誠道は、閉館間際の2008年12月21日にヒュー・ジャックマン主演の『彼が二度愛したS』(監督マーセル・ランゲネッガ-)を観たことを自身のブログで明かしている[10]。
マリオン劇場閉館から4か月後の2009年5月1日、狸小路2丁目のリバティータワービル4階に移転し、館名をマリオンシネマと改めて再出発した。移転先だったリバティータワービルはかつて塚本ビールタワーという名称で営業しており、駐車場のある上層階壁面にビールの中に飛び込む人間をイメージした壁画が描かれていた。新劇場は36席(前列の24席が青、後列の12席が赤で構成[2])を有し、規模の小ささからか、上映方式はフィルム(35mm及び16mm)ではなくDVDプロジェクターによる映写となっていた。
最初の上映作はフォ・ジェンチィ監督・ヴィッキー・チャオ主演の韓国映画『初恋の想い出』[2]であったが、その後は主に官能小説を原作とした洋画ポルノの上映が多く、旧劇場時代末期のような状況が続いていた。それでも2010年5月15日~5月21日には、同年2月20日よりシネマート六本木(東京都)で上映されていた井口昇監督作『きょーれつ!もーれつ!古代少女ドグちゃんまつり』[11]、2011年6月4日~7月8日には、鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と地球の回転』[12]が上映されていた。
当館の営業期間中には東宝公楽(2010年8月31日)とディノスシネマズ札幌白石(2011年5月8日)、東宝プラザ[13](2011年8月31日)が相次いで閉館に追い込まれた。そして東宝プラザ閉館から9か月後の2012年5月7日、マリオンシネマは営業開始からわずか3年で閉館し、マリオン劇場時代を含めた20年半の歴史にピリオドを打った[14]。閉館8か月後の2013年1月25日、同館跡地に非営利団体運営による貸ホール狸小路2丁目シアターがオープンしたが、古谷興業が同シアターを買収しすすきのに所在していた成人映画館「有楽シネマ」を移転という形で2016年5月14日、「有楽シアター」としてリニューアルオープンしたが、2019年9月30日にビルの解体のため閉館。同年10月末から11月にかけてシティーボーイズビル地下1階に「ススキノ有楽シアター」として移転オープンする予定。なお、同社は同シアターのみを経営している。
なお、マリオン劇場→マリオンシネマ時代を通して、映画館自体の公式ホームページは存在しなかった。