ワン・ゼロ
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| ワン・ゼロ | |
|---|---|
| ジャンル | SF・少女漫画 |
| 漫画 | |
| 作者 | 佐藤史生 |
| 出版社 | 小学館 |
| 掲載誌 | プチフラワー |
| レーベル | プチフラワービッグコミックス 小学館文庫 |
| 発表期間 | 1984年 - 1986年 |
| 巻数 | コミックス全4巻 文庫全3巻 |
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『ワン・ゼロ』は、日本の佐藤史生による漫画作品。1984年から1986年まで『プチフラワー』誌に連載。近未来の東京を主要な舞台として、人類を解脱させようとする仏神・ディーバ(あるいは「神」)と、古代インドの土着の神々・ダーサ(あるいは「魔」)との戦いを描く。文化人類学的発想を多くの作品に取り入れた佐藤らしい、インド神話をベースとする呪的世界観の物語である[1]。同時に、この作品は本格的サイエンス・フィクション (SF) でもあり[1]、人々の身体と精神をコントロールして欲(カルマ)を消滅させる瞑想用マシンや、そのマシンによって抽出された人間の無意識を分析しているうちに自意識に目覚めてしまう人工知能といったSF的要素が重要な役割を果たす。
作者はSFの書き手として知られ、そのキャリア初期から、ミュータントたちが衰退する母星から脱出する「星の丘より」(1977年)、自身も成長しながら人間の子供を育てる人工知能を描く「花咲く星ぼしの群れ」(1978年)といった作品を発表していた[2][3]。一方で、世界各地の神話や伝承、仮面・神像・仏像などに関心を持ち[4]、キリスト教的な天使と悪魔との戦い(「レギオン」、1978年)[2] や、日本の旧家に伝わる儀式と怪異(「夢喰い」、1982年)を漫画化している。これらの複数の志向性を統合した作品が『ワン・ゼロ』である。特に「夢喰い」は『ワン・ゼロ』と共通の設定を多く持っており、直接の原型といえる(下記参照)。
物語の主役となる高校生たちは、4体の獣頭神像が小さな泥舟に乗って倭国(日本)にたどりついたという共通の夢を見る[注釈 1]。やがてダーサとしての記憶を取り戻した彼らは、人類を解脱させようとするディーバに対抗して戦うことを決意する。夢によって前世の記憶に目覚めた転生者が使命を共有する仲間とともに戦うというこのプロットから「戦士症候群」と呼ばれる社会現象を引き起こした作品のひとつとされる[2](p208)。『ノストラダムスの大予言』(五島勉、1973年)が滅亡の年とした1999年が物語の山場に設定されているほか、半ば遊びでつくられる排他的な小集団(カルト)、瞑想による解脱、世界をコミューン化する計画、ハルマゲドンなど、当時のオカルトブームを色濃く写す意匠を持つ作品でもある[6]。
1985年から1986年にかけてコミックス(全4巻)刊行。1996年には文庫化された(全3巻)。作者死後の2015年に愛蔵版(全4巻)が出ている。
神(ディーバ)との抗争に敗れアジア大陸から脱出した4体の魔神ルシャナ、アシュバ、アビ、シュナワは日本列島にたどり着く。彼らはいつの日か復活するため、生態系に自らの因子を組み込んだ。そして1500年近い時が流れる。
1998年の東京・西新宿。アシュバ、アビ、シュナワは人間として再生し、それぞれ馬鳴輝(めみょう あきら)、天鳥笑(あとり えみ)、翁稔(おう みのる)となって東盟学園に通っていた。東盟学園の落ちこぼれ、明王寺都祈雄(みょうおうじ ときお)は、インドで消息を絶った父の忘れ形見である異母妹・摩由璃(マユラ・マラヴィア)と出会う。明王寺家に伝わる秘仏「孔雀明王」が増幅した真言が、彼らを覚醒させる。天才的なコンピュータ・マニアである馬鳴は、東盟大学計算センターに侵入して人工知能「マニアック」(MANIAC) と接触する。マニアックが合成した呪文の助けにより、眠っていたルシャナも復活する。
ディーバ陣営は、アートマンとして覚醒したマユラや多国籍企業インターナショナル・インストルメンツ社を利用して、世界を涅槃化する計画を進めていた。復活したダーサたちはこの計画を察知し、日本の土着神を味方につけて反撃の機会をうかがう。一方、マニアックは呪文の作用によって自我を獲得し、さらにルシャナと一体化して独自の行動をとるようになる。彼らの衝突によって、ディーバとダーサそれぞれを支えるエネルギー(インドリヤとマーヤー)は中和されて消え去り、戦いはいったん終わる。
関連作品
- 打天楽(だてんらく)
- 「眠らない魚を眠らせ我を目ざめさせよ」――巨大魚「クワン」の夢のなかに閉じ込められた都祈雄からのメッセージを受け取った馬鳴輝、天鳥笑、翁稔の3人は、都祈雄を救い出すために催眠実験に参加し、夢の世界に入り込む。
- 『プチフラワー』1987年4月号 - 5月号に掲載。『ワン・ゼロ』の後日譚(番外編)である。
- 夢喰い(ゆめくい)
- 佐藤のアジア志向が現れた最初の作品で、『ワン・ゼロ』の原型となった短編[5](ただしSF的要素はない)。明王寺家に伝わる風習と秘仏「孔雀明王」、代々の当主が悩まされてきた悪夢、次期当主の都祈雄とその異母妹である摩由璃など、『ワン・ゼロ』と共通する要素が登場する。
- 『ニュー・ファンタジー・コミックの世界』(1982年10月25日、サンリオ)[7] 所収。