久田吉之助

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武田五一設計。外壁は久田吉之助が焼いた無釉湿式淡黄色タイル。現存する外壁タイル総貼りとしては日本最古の洋風建築。
名和記念昆虫館(岐阜)。
名和記念昆虫館(岐阜)
名和記念昆虫館(岐阜)。屋根の鬼飾りに久田吉之助の蝶のテラコッタがある。   
久田吉之助の蝶のテラコッタ。名和記念昆虫館(岐阜)
久田吉之助のテラコッタ。アゲハチョウをモチーフにしている。屋根の鬼飾りのオリジナル。名和記念昆虫館(岐阜)。
久田吉之助のテラコッタ「ムカシヤンマ」。名和記念昆虫館(岐阜)蔵。
久田吉之助のテラコッタ。 ムカシヤンマ。名和記念昆虫館(岐阜)蔵。
久田吉之助のテラコッタと同じ形にしたムカシヤンマ標本
久田吉之助のテラコッタと同じ形にしたムカシヤンマ標本。名和記念昆虫館(岐阜)。中胸背の特徴を正確に捉えていることがわかる。
久田吉之助の陶製平瓦
竣工時は屋根も、久田吉之助が特許をとった陶製平瓦であった。屋根の端の部分には蝶が彫られている。名和記念昆虫館(岐阜)蔵。
久田吉之助 特許7331号
久田吉之助 特許7331号。日本で最初のタイル特許。
久田吉之助 特許26773号
久田吉之助 特許26773号。落剥を防ぐ工夫がなされている。

久田 吉之助(ひさだ きちのすけ、1877年明治10年〉7月24日 - 1918年大正7年〉11月24日)は、日本陶工タイル・西洋テラコッタを製造した、日本近代建築陶材の先駆者のひとり[1]

愛知県知多郡西浦町(現常滑市)の裕福な海運業者の家に生まれる。

建築陶材の製造を志し、自宅の表庭に小窯を築造し、2年間、寝食を忘れて建築資材の改良を研究した。「生命までもなくしてもとうてい世に売り出すようなものはできないから、今日限りやめるように」との忠告にも耳をかさず、窯資料機械器具の改良、工場の拡張を重ね、1904年(明治37年)、遂に平瓦(タイル)の特許を得るに至った[2]

赤煉瓦が主流だった日本の洋風建築でも、白色煉瓦や貼付化粧煉瓦、擬石軒蛇腹、装飾テラコッタなど、多様な建築材料が使われ始めていた。その潮流の中で、久田吉之助は、のちに京都帝国大学(現・京都大学)に工学部建築学科を創設し「関西建築界の父」とされる建築家の武田五一と出会い、その指導のもと、タイル・西洋瓦・テラコッタの製造を進め、「装飾煉瓦では横河民輔の備前(備前陶器)、武田五一の知多(久田吉之助)」と並び称されるまでになった[1]

久田工場は10名前後の職工を抱えており、みな永く勤めていた。大きな収益が上がった際には、全員を車座に座らせ、各々の前に広げさせた風呂敷に、銀行からおろしてきた分厚い一円札を数えもせずに放り込み配ったという。当時の窯業の常として、収益が無い時には無給状態になったが、職工たちとその家族に粗末とはいえ三度の食事を出していた[3]

評価

久田吉之助が取得したタイル特許

  • 1904年(明治37年)、「被覆煉瓦」で、特許第7331号を取得した。これは日本で最初のタイル特許である[1]。名和昆虫博物館所蔵の平瓦には「愛知県知多郡枳豆志村久田吉之助専売特許 久田式平瓦」「尾州知多郡枳豆志村<久>瓦工場印 特許被覆煉瓦」(<久>は四角に久)の刻印がある平瓦が保存されている[4]
  • 1905年(明治38年)、「平瓦」で、特許8776 号を取得した。名和昆虫博物館所蔵の平瓦には、”愛知県知多郡枳豆志村久田吉之助専売特許”の刻印のある平瓦が保存されている[4]
  • 1914年(大正3年)、「久田式木摺煉瓦」で、特許第26773号を取得した[1]

日本に現存する最古の外壁タイル総貼り建築・名和昆虫研究所記念館

1907年(明治40年)竣工の名和記念昆虫館岐阜県岐阜市武田五一設計)の為に無釉湿式淡黄色タイルを焼成した。同建築は、現存する外壁タイル総貼り洋風建築としては日本最古とされる[1]。武田五一も昆虫採集の徒であり、「昆虫翁」として知られた在野の昆虫学者・名和靖に師事していた関係でこの設計を引き受け、昆虫の装飾テラコッタを久田吉之助に製作させて、ファサードに掲げた。主棟の鬼飾りは、アゲハチョウをモチーフにしたテラコッタ、玄関の庇の上は日本固有種のムカシヤンマ(当時の呼び名はギフヤマトンボ)を象ったテラコッタである。特にムカシヤンマの造形は中胸背の特徴を捉えて正確であり、久田と名和靖との間で相当綿密な打ち合わせがあったことを伺わせ、久田吉之助の卓越した技術と真摯な取り組みを今に伝えている[5]

池田泰山との関係

昭和初期に美術タイルの名手として建築家たちから高い評価を受けた池田泰山(1891-1950)は、京都市立陶磁器試験所付属伝習所に学んだのち、常滑の久田工場でテラコッタを学んだ[1]

作品

久田吉之助が建築陶材を納品した建物[1]

  • 名和記念昆虫館[5](1907年竣工/武田五一設計/外装タイル・テラコッタ/現存)
  • 京都府記念図書館(1909年竣工/武田五一設計/テラコッタ/ファサードのみ遺し建替)
  • 長楽館[6](1909年竣工/ジェームズ・マクドナルド・ガーディナー/外装タイル/現存)
  • 京都商品陳列所(1910年竣工/武田五一設計/テラコッタ)
  • 名古屋医科大学校

帝国ホテルの黄色スクラッチ煉瓦と久田吉之助

久田吉之助を題材にした作品

脚注

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