伊集院静

日本の作家、作詞家 (1950-2023) From Wikipedia, the free encyclopedia

伊集院 静(いじゅういん しずか、1950年昭和25年〉2月9日 - 2023年令和5年〉11月24日[2])は、山口県出身で宮城県を拠点に活動していた作家作詞家。作詞家としての筆名は伊達 歩(だて あゆみ)、本名は西山 忠来(にしやま ただき)[1]

生誕 趙 忠來(チョ・チュンレ、조충래[1]
(1950-02-09) 1950年2月9日
日本の旗 日本山口県防府市[1]
死没 (2023-11-24) 2023年11月24日(73歳没)
職業 作家作詞家
言語 日本語
概要 伊集院 静(いじゅういん しずか), 生誕 ...
伊集院 静
(いじゅういん しずか)
生誕 趙 忠來(チョ・チュンレ、조충래[1]
(1950-02-09) 1950年2月9日
日本の旗 日本山口県防府市[1]
死没 (2023-11-24) 2023年11月24日(73歳没)
職業 作家作詞家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
教育 文学士
最終学歴 立教大学文学部日本文学科
活動期間 1970年代 - 2023年
ジャンル 小説随筆作詞
代表作 『乳房』(1990年)
『受け月』(1992年)
機関車先生』(1994年)
『ごろごろ』(2001年)
『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』(2013年)
主な受賞歴 吉川英治文学新人賞(1991年)
直木三十五賞(1992年)
柴田錬三郎賞(1994年)
吉川英治文学賞(2002年)
司馬遼太郎賞(2014年)
紫綬褒章(2016年)
デビュー作 『皐月』(1981年)
配偶者 一般人( - 1980年)
夏目雅子(1984年 - 1985年死別)
篠ひろ子(1992年 - )
子供 西山繭子二女
親族 西山栄子
沼沢聖一義兄
小達敏昭義弟
青山隼義甥
楯真由子義姪
公式サイト 作家・伊集院静の公式サイト
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示
閉じる
出生名 趙 忠來(チョ・チュンレ、조충래
別名 西山にしやま 忠来ただき(本名)
死没 (2023-11-24) 2023年11月24日(73歳没)
概要 伊達(だて) 歩(あゆみ), 出生名 ...
伊達だて あゆみ
出生名 趙 忠來(チョ・チュンレ、조충래
別名 西山にしやま 忠来ただき(本名)
生誕 (1950-02-09) 1950年2月9日
日本の旗 日本山口県防府市
死没 (2023-11-24) 2023年11月24日(73歳没)
学歴 立教大学文学部卒業
職業 作家作詞家
公式サイト 作家・伊集院静の公式サイト
閉じる

来歴

生い立ち

1950年生まれ、山口県防府市出身の在日韓国人2世である。出生当時の氏名は「趙 忠來」(チョ・チュンレ、ハングル表記では조충래)であったが、日本帰化した際、西山 忠来(にしやま ただき)に変えた[1]

山口県立防府高等学校立教大学文学部日本文学科卒業。同大学ではなく美術大学に進学するつもりでいたが、当時義兄(実姉の夫)の高橋明読売ジャイアンツの野球選手だった影響で高校の夏休みを利用して東京に行った折、長嶋茂雄本人から「野球をするのならセントポール(立教)に行きなさい」と言われ、その一言で立教大学への進学を決めた[3][4]。野球部の寮に文学全集を持ち込んで入寮したため、変わった新入部員として注目の的になった[5]。肘を壊したため野球部は途中で退部した。1972年に大学を卒業[6]

ディレクターとして

広告代理店シマ・クリエイティブハウスに勤務[7]を経てCMディレクターになる。一般女性と最初の結婚[8]。二児[注 1]をもうけるが、1980年に離婚。松原みき松任谷由実(1979年「OLIVE」〜1981年「水の中のASIAへ」)、松田聖子薬師丸ひろ子和田アキ子らのツアーのほかファッションショーも手がける。またレイジーのプロデュースも手掛け、レイジーがそれまでのアイドル路線を捨てハードロック路線に転換するきっかけを作った[9]

作家として

1981年、『小説現代』に『皐月』を発表し作家デビュー。代表作に『機関車先生』。山口県防府市を舞台とした自伝性の強い『海峡』三部作等がある。

かつてカネボウ化粧品の「クッキーフェイス」のCMキャンペーンガールで一緒に仕事をした女優の夏目雅子と7年に渡る不倫交際後、1984年8月27日に再婚したが、夏目は1985年9月11日に急逝。

伊達歩(だて あゆみ)の名で作詞家としても活動。近藤真彦にはデビュー当時から多数の作詞を提供しており、その中でも『愚か者』が1987年第29回日本レコード大賞を受賞した。他にも『ギンギラギンにさりげなく』などのシングル・ヒット曲があり、2015年には伊達歩提供作品のみの楽曲を集めたアルバム三十五周年 近藤真彦×伊集院静=二十四曲が発売されている。

1992年7月15日、『受け月』で直木賞を受賞する。同年8月7日に現在の妻で女優の篠ひろ子と再々婚した。

1993年、『乳房』『クレープ』が映画化、1997年、『機関車先生』がアニメ映画化し声優として参加している。更に2004年には実写映画化された。その他、テレビ化されたのは「夕空晴れて」「海峡」「あづま橋(橋の雨)」など。 また、2005年「ツキコの月」が帝国劇場中日劇場において舞台化された。

晩年、死去

2020年1月21日くも膜下出血で倒れて病院に救急搬送され、翌22日に手術を受ける[10]。2月に退院し、3月12日にコメントを発表[11]。同月下旬、リハビリ病院を退院[12]

2023年10月27日肝内胆管がんとの診断を受け、治療と静養のため執筆活動を休止することを明らかにしていた[13]。しかし、その約1か月後の同年11月24日に死去した[2][14]73歳没。訃報は妻である篠ひろ子(名義は西山博子)が発表したコメントにより公表された[14][2]冨士霊園の文学者の墓に埋葬された[15]

作風

過去に『週刊文春』で掲載されていた「二日酔い主義」、堂本剛と共著の「きみとあるけば」「ずーっといっしょ」、角川文庫等エッセイも数多く出しており、その小説やエッセイの随所に様々な花が登場するほどの花好きな作家としても知られる。

生前はサントリーが出す新聞広告コラムとして、初代担当者の山口瞳の後を引き継ぐ形で二代目担当として4月1日の『新社会人おめでとう』、成人の日の『新成人おめでとう』を執筆していた。

人物

筆名
自身に付けられたものではなく、ある小さな広告代理店に入社予定になっていた女性のコピーライターにつけられるはずの名前であった[16]。本人は出生名の「趙」を筆名にするつもりであったが、広告代理店の社長が「人が入ってくると本名で仕事をさせない」という考えの持ち主だったこともあり、スポンサーへのプレゼンテーション時にある程度知られていた「趙」を使うのがあまり良くないと判断され、その際に渡された名刺に現在の筆名が印刷されていた。
趣味・嗜好
趣味は野球観戦、麻雀競馬競輪ボクシング美術鑑賞、ゴルフ。高校、大学と野球部所属。
競輪と麻雀を中心にギャンブルにも造詣が深く、『週刊大衆』で『静と理恵子の血みどろ絵日記』を共筆している西原理恵子おけら先生と呼んでいた[17]
住居
妻の出身地である宮城県仙台市に、1996年(平成8年)よりともに居住している[18]。東京でのホテル住まい[19][20])や、取材での国外滞在も多く、仙台に滞在するのは1年のうち1ヶ月ほどの年もあった[いつ?]
2014年に発表した『愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない』には夏目雅子を想起させる記述があった。過去に伊集院が夏目を題材にした作品はなく、東日本大震災で仙台の自宅が損壊した体験から、を身近に考えるようになり、「死をテーマにした自伝的小説を書こうと思った。人の死を書くんなら、雅子のことを避けて通れない」と考えたと交流のある記者に語っている。現在の妻である篠に、「雅子のこと、書いていいか」と相談すると、「いいんじゃないですか」と温和に了承されたという。「嫌だって言ったら一切書かなかった。俺にとっては、雅子より生きている人間の方が大事だからよ」と答えた。さらに、かつて、松井秀喜に「女優を嫁にするな、99%は自分勝手だから。でも俺は、例外の1%に2回連続で出会うことが出来たんだ」と言った[21]
東京については、生涯のほとんどを過ごしているにも拘らず未だなじめず、故郷・防府に対しても「安堵はない」、仙台に至っては、犬が中心の家の片隅で仕事と競輪をやっているだけとエッセイで書いたことがある[22]2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の際には、主な被災地のひとつであった仙台で遭遇、家族や犬らとともに暫くのあいだ被災地生活を経験した[23]
神奈川県の逗子なぎさホテルは、結婚前の7年間を過ごした下宿先であり、後の妻・夏目雅子との愛をはぐくんだ場所でもある。
交友
自らは右投げ左打ちの外野手として大学まで野球をやっていたこともあり、また元義兄(実姉の夫)の高橋明がかつて読売ジャイアンツの投手だった関係で長嶋茂雄とは長嶋の現役当時から知己を得る。立教大学野球部時代の同期には読売ジャイアンツにドラフト1位指名された横山忠夫がおり、1968年春の東京六大学野球新人戦準決勝の明治大学戦ではその横山の代打で出場して安打を放ったこと、また翌1969年の春季新人戦の法政大学戦では中堅手として先発出場している記録も現存する[24]。また長嶋の愛弟子であった松井秀喜に対する傾倒ぶりは尋常でなく、2007年には松井を題材にした著書を出版している。
野球以外のその他にも芸能界、スポーツ界ともに人脈が広かった。競馬騎手の武豊は伊集院に大津びわこ競輪場に連れて行ってもらったことが自身が競輪にハマるきっかけになったことを語っている[25]
大和和紀の夫(雑誌編集者)とは長年親交があり、大和は『天使の果実2』の付録漫画、文庫版『瑠璃を見たひと』の解説の中で伊集院の意外な一面を暴露している。また、作詞家の阿木燿子は伊集院を「酒場ではいつもニコニコしてて、罪作りな程女性には優しい」と文庫版『白秋』の解説で評している。
紫綬褒章[26]
伊集院は2016年秋の褒章で紫綬褒章を受章したが、その際の事前の内閣府からの打診に対して自身の事務所スタッフに「丁寧にお断りするよう」指示していた。しかし受章の話を聞いた妻の篠ひろ子が防府在住の自身の老母に電話で紫綬褒章受章の話についてしたところ、母から電話口で「この話(紫綬褒章)は絶対に受けなさい。お父様(伊集院の父)が生きていたら絶対に怒ります。」などと説諭されたことから、伊集院は受章の打診を受諾することを決めたと語っている[27]

家族

女優で作家の西山繭子は最初の妻との実娘、ファッションコーディネーターの西山栄子は実姉にあたる。かつて読売ジャイアンツに在籍した高橋明投手は元義兄(長姉の夫[28][4])。また、小達敏昭は2人目の妻である夏目雅子の実弟、沼沢聖一は3人目の妻である篠ひろ子の兄、青山隼は篠の甥にあたる。楯真由子は夏目の実姪、田中好子の継子にあたり、篠との交流から女優を志したという。

夏目雅子
妻子がいた頃からの長い不倫関係だった。
長編小説『潮流』は、広告業界を舞台に、夏目雅子との出会いと共に仕事をしたCF、「アラビアのフロレンス」さながらの「日に焼けない小麦色」を制作していたディレクター時代に材を取って書かれた。後に大和和紀により『天使の果実』のタイトルで漫画化(講談社 全3巻)された。
エッセイ、小説を含め、夏目雅子をモデルに書かれたものは少ない。夏目の没後25年目に『真っ白な壁』[29]と題した彼女の思い出についての手記を執筆している。執筆にいたった経緯として「今の妻の両親が亡くなって3年経った。両親が生きている間は書かないと約束をしていた」[30]と語っている。
夏目が闘病中、1億円程の治療費があれば米国での手術も受けさせる事が出来た。しかし当時の伊集院にはその金額が用意できず、それから「二度と金で揺さぶられる人生はしない、どれだけ金を積んできてもビクとも動かない生き方をしていこう」と誓ったという。
西山繭子
娘の西山繭子が小説を出版した際に連絡を取ったが「ああ、そうですか」とそっけない反応だったと語っていた。

受賞歴

作品

アンソロジー

  • 『また酒中日記』(講談社 1991年5月 ISBN 4-06-205269-5 / 中公文庫 2005年10月 ISBN 4-12-204600-9) エッセイ「バラバラでんがな」収録
  • 『中吊り小説』(新潮文庫 1994年12月 ISBN 4-10-135911-3) 「秋の風鈴」収録
  • 『賭博師たち』(角川書店 1995年7月 ISBN 4-04-872872-5 / 角川文庫 1997年11月 ISBN 4-04-197321-X) 「嵐の去るまで…」収録
  • 『日本の名随筆 別巻 80 競馬』(作品社 1997年10月 ISBN 4-87893-660-6) エッセイ「振り向いたジョッキー」収録
  • 『現代の小説 1999』(徳間書店 1999年5月 ISBN 4-19-861008-8) 「教会への坂」収録
  • 『飲むほどに酔うほどに 愛酒家に捧げる本』(有楽出版社 2002年4月 ISBN 4-408-59161-0) エッセイ「二日酔い主義」収録
  • 『ベスト・エッセイ2004 犬のため息』(光村図書出版 2004年6月 ISBN 4-89528-249-X) エッセイ「路地裏に消えた背中」収録
  • 『発見』(幻冬舎文庫 2004年8月 ISBN 4-344-40563-3) 「ぶらん」収録
  • 『文壇バー 君の名は「数寄屋橋」』(財界研究所 2005年2月 ISBN 4-87932-046-3) エッセイ「黒岩重吾さんのこと」収録
  • 『十夜』(ランダムハウス講談社 2006年1月 ISBN 4-270-00113-5) エッセイ「短編のはじまり―伊坂幸太郎氏の作品から」収録
  • 『極上掌篇小説』(角川書店 2006年10月 ISBN 4-04-873732-5) 「仔犬のお礼」収録
  • 『久世光彦の世界 昭和の幻景』(柏書房 2007年3月 ISBN 978-4-7601-3084-9) エッセイ「久世さんが愛された理由」収録
  • 『短篇ベストコレクション 現代の小説2007』(徳間文庫 2007年6月 ISBN 978-4-19-892617-5) 「風牌」収録
  • 『ヴィンテージ・セブン』(講談社 2007年9月 ISBN 978-4-06-214178-9) 「パリの小鳥屋」収録
  • 『短篇ベストコレクション 現代の小説2009』(徳間文庫 2009年6月 ISBN 978-4-19-892993-0) 「まぶしいもの」収録
  • 『愛煙家通信 No.1』(ワック 2010年3月 ISBN 978-4-89831-143-1) エッセイ「大人の身だしなみについて」収録
  • 『君に伝えたい本屋さんの思い出』(主婦と生活社 2011年2月 ISBN 978-4-391-13998-3) エッセイ「本屋と漁師」収録
  • 『短篇ベストコレクション 現代の小説2011』(徳間文庫 2011年6月 ISBN 978-4-19-893381-4) 「上陸待ち」収録
  • 『ベスト・エッセイ 2011』(光村図書出版 2011年6月 ISBN 978-4-89528-603-9) エッセイ「青葉繁れる季節に」収録
  • 『寄り添う 銀座「クラブ麻衣子」四十年の証』(講談社ビジネスパートナーズ 2012年12月 ISBN 978-4-87601-987-8) エッセイ「銀座の夕暮れ」収録
  • 『いつも一緒に 犬と作家のものがたり』(新潮文庫 2013年1月 ISBN 978-4-10-127431-7) エッセイ「少女に帰ってみれば」収録
  • 『カレーライス!!』(パルコエンタテインメント事業部 2013年2月 ISBN 978-4-86506-006-5) エッセイ「カレーライス」収録
  • 『60代からもっと人生を楽しむ人、ムダに生きる人』(PHP研究所 2016年3月 ISBN 978-4-569-82892-3) エッセイ「つながりこそ救い」収録
  • 『猫なんて! 作家と猫をめぐる47話』(キノブックス 2016年11月 ISBN 978-4-908059-53-7) エッセイ「十二月の猫」収録
  • 『〆切本2』(左右社 2017年10月 ISBN 978-4-86528-177-4) エッセイ「締切りがまた来るそれが人生」収録
  • 『わかっちゃいるけど、ギャンブル!』(ちくま文庫 2017年10月 ISBN 978-4-480-43475-3) エッセイ「明日の新聞」収録
  • 『読鉄全書』(東京書籍 2018年2月 ISBN 978-4-487-81088-8) 「夏の終わる駅」収録
  • 『酒呑みに与ふる書』(キノブックス 2019年1月 ISBN 978-4-909689-27-6) エッセイ「大人はなぜ酒を飲むのか」収録
  • 『色川武大という生き方』(田畑書店 2021年3月 ISBN 978-4-8038-0381-5) エッセイ「氣色」収録
  • 『Day to Day』(講談社 2021年3月 ISBN 978-4-06-521842-6) エッセイ「7月7日」収録
  • 『つげ義春賛江 偏愛エッセイ・評論集』(双葉社 2023年1月 ISBN 978-4-575-31754-1) エッセイ「空白の杭」収録

その他

作詞

特記以外は伊達歩名義で作詞している。

メディアミックス

映画

テレビドラマ

アニメ映画

漫画

舞台

  • 『乳房』〜天上の花となった君へ〜(2016年、俳優座劇場)[47]

メディア出演

テレビ

  • 中居のかけ算(2013年1月1日、フジテレビ)[48]
  • 全身編集長 〜文豪から学ぶオトコの生き方〜(2013年11月27日、NHK BSプレミアム)[49]
  • ETV特集「伊集院静 ダビンチをめぐる冒険」(2019年11月9日、NHK Eテレ)
  • 日曜日の初耳学(2022年2月27日、MBS、TBS)[50]

CM

脚注

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI