伝説の女優 サーヴィトリ

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伝説の女優 サーヴィトリ』(でんせつのじょゆう サーヴィトリ、Mahanati)は、2018年に公開されたインドテルグ語伝記映画ナーグ・アシュウィンが監督を務め[5]、主要キャストにはキールティ・スレーシュドゥルカル・サルマーン英語版サマンタ・アッキネーニヴィジャイ・デーヴァラコンダが起用された。南インド映画の女優サーヴィトリの生涯(女優デビューからジェミニ・ガネーサン英語版との結婚、栄光と転落)を彼女を取材するジャーナリストの視点から描いている。ハイデラバード主要撮影が行われ、ミッキー・J・メイヤル英語版が手掛けたサウンドトラックは批評家から高い評価を得た[6]

2018年5月9日に公開され、同月11日にはタミル語吹替版とマラヤーラム語吹替版が公開された[7]。映画はサーヴィトリ役のキールティの演技が絶賛され、興行的・批評的に大きな成功を収めた[8][9]。日本では2020年にインディアンムービーウィーク2020で上映されている[10]。映画は第49回インド国際映画祭英語版の「インド・パノラマ部門」、上海国際映画祭でも上映され、インディアン・フィルム・フェスティバル・メルボルンでは名誉賞を受賞した[11][12][13]。また、第66回国家映画賞英語版では3つの賞を受賞している[14][15]。また、主演のキールティはフィルムフェア賞 南インド映画部門南インド国際映画賞エジソン賞英語版ノルウェー・タミル映画祭賞英語版など複数の映画賞で主演女優賞を受賞またはノミネートされた[16][17][18][19]

スター女優のサーヴィトリはバンガロールで意識を失い病院に搬送され、1年間昏睡状態に陥っていた。プラジャヴァニ英語版の女性記者マドゥラワーニは編集長からサーヴィトリの記事を書くように指示され、彼女との同行を志願したアントニーと共にサーヴィトリの夫ジェミニ・ガネーサンの自宅に向かう。2人はそこで出会った老写真家のケーシャヴァからサーヴィトリからの手紙を受け取り、手紙の中に彼女の過去を知っていると思われる「シャンカライヤ」という人物に関する記述を発見して調査を始める。マドゥラワーニはサーヴィトリの病室に入り込み、彼女の伯母がサーヴィトリの息子に母親の過去を話している姿を目撃する。

1942年のヴィジャヤワーダ。夫と死別したスバードランマは娘のサーヴィトリを連れて姉ドゥルガマンバとチョーダリー夫妻の家で暮らし始め、サーヴィトリは同地でスシーラと親友になった。成長したサーヴィトリはダンスを学び、スシーラと共に舞台に出演するようになった。しかし、映画の台頭により舞台の人気は下がり、チョーダリーはサーヴィトリを映画女優にするためマドラスのに向かうが、14歳という若さとタミル語が話せないという理由で出演の機会を得ることができなかった。そんな中、キャスティング部門で働くジェミニ・ガネーシャンと出会い、サーヴィトリは彼に宣伝用の写真を撮ってもらう。1年後、ジェミニの写真を見たチャクラパーニにスカウトされ主演デビューすることになったが、台詞を何度も間違えて監督のプラサードを怒らせてクビにされてしまう。しかし、サーヴィトリは歌とダンスの才能を見出されて別の映画で女優デビューを果たした。

女優デビューしたサーヴィトリはタミル語を覚えることに苦労していたが、共演者となったジェミニの協力でタミル語をマスターし、彼と共にスター俳優の道を進んでいく。やがて2人は互いに想いを寄せるようになるが、ジェミニは既婚者で子供もいたため結婚することはできなかった。ジェミニはサーヴィトリに自分の想いを伝え結婚に踏み切るが、チョーダリーは既婚者との結婚を認めずサーヴィトリと絶縁する。サーヴィトリは結婚を機に女優を引退しようと考えるが、チャクラパーニに説得され引退を思い留まり映画出演を続ける。やがてサーヴィトリは映画業界で不動の地位を確立するが、人気が落ち始めたジェミニは彼女に嫉妬して酒浸りになっていく。

女優として名声を得たサーヴィトリは周囲の人々に誘われ監督デビューすることになるが、初監督作の公開初日にジェミニが浮気していたことが発覚する。激怒したサーヴィトリはジェミニを屋敷から追い出し、彼と同じように酒浸りになりアルコール依存症に陥ってしまう。次第にサーヴィトリの周囲には財産目当ての人々が集まり始め、彼らに言われるまま借金を重ねた結果、国税局から財産を差し押さえられてしまう。追い打ちをかけるように母と死別し、飲酒を止めさせようとした娘と口論になり誤って火事を起こしてしまう。病院に搬送されたサーヴィトリはチョーダリーと再会して和解し、禁酒と娘を結婚させることを約束する。退院したサーヴィトリは売り払い、小さな役柄で映画業界に復帰する。彼女は依存症患者のためのリハビリ施設を開設しようとするが、所得税の申告漏れが発覚して国税局から追徴税の支払いを求められ、友人たちに助けを求めるが拒否されてしまう。翌日、サーヴィトリは息子を連れてバンガロールを訪れ、そこでジェミニに電話をかけるが、話をする前に切電してしまう。サーヴィトリは止めていた酒を飲み出し、昏睡状態に陥ってしまう。

マドゥラワーニは調査を進める中でアントニーへの想いを強くしていく。彼女は父が決めた結婚を断りアントニーの元に向かい、彼が他の女性と結婚するのを阻止しようとするが、結婚するのはアントニーの妹だったことが判明する。勘違いに気付いたマドゥラワーニは戸惑うが、想いを伝えたことでアントニーと結ばれる。調査の結果を記事にしたマドゥラワーニはサーヴィトリの病室を訪れ、彼女が長年探していた亡父のことが書かれた記事を手渡し、病室を後にする。サーヴィトリは昏睡状態のまま意識が戻らず、1981年12月26日に死去したことが語られる。回想の中でサーヴィトリは「シャンカライヤ」と書かれた石像の側でスシーラと語り合い、彼女に「映画の中でまた私に会える」と告げる。

キャスト

キールティ・スレーシュ
ドゥルカル・サルマーン
サマンタ・アッキネーニ
ヴィジャイ・デーヴァラコンダ

ゲスト出演

製作

企画

ナーグ・アシュウィン

2016年5月、ナーグ・アシュウィン南インド映画の女優サーヴィトリを題材にした新作映画の製作を発表した[20]。発表当初の段階ではテルグ語タミル語で同時撮影する予定だったが、最終的にはテルグ語での製作となり、タミル語吹替版が後に製作された[21]。また、この時点で脚本は完成しており、キャストの選考であることも明かされた[20]。アシュウィンは脚本の執筆に際して、サーヴィトリと交流のあったジャーナリストや俳優を取材し、関連書籍を読んで6か月間かけて執筆した。彼はサヴィトリを題材にしたことについて、「無一文から最初のスーパースター女優になった非常に興味深い人生」であり「何故彼女が伝説になったのかを知る必要がある」ためと語っている[22]。また、「サーヴィトリに関するラジオを聞いたのがきっかけ」とも語っている[23]

キャスティング

製作発表後、サーヴィトリ役の候補としてアヌシュカ・シェッティソーナークシー・シンハーヴィディヤー・バーランの名前が取沙汰された。2016年8月にアシュウィンは報道を否定し、主演女優は大衆投票で決定するつもりであると語っている[24][25]。製作チームは複数の女優と出演交渉を行っていたが、そのうちニティヤ・メーノーン英語版との交渉は不調に終わっている[26][27]。同年12月にサマンタ・アッキネーニの出演が発表されたが、彼女はサーヴィトリ役ではなく物語を俯瞰する立場のキャラクターを演じることが明かされた[28][29]。IndiaGlitzはサマンタが演じる役はサーヴィトリの友人だったジャムナー英語版の可能性があると報じている[30]。2017年1月初旬にキールティ・スレーシュがサーヴィトリ役を演じることが発表された[31][32]。サーヴィトリの夫ジェミニ・ガネーサン英語版役にはスーリヤR・マーダヴァン英語版が検討されたが、アシュウィンは最終的にドゥルカル・サルマーン英語版を起用した[33][34]。同じくジェミニ役の候補だったヴィジャイ・デーヴァラコンダは別の役で出演することが決まり[35][36]バーヌプリヤーはボイスオーバーとして出演している[37]。キールティは役作りのためにサーヴィトリの娘と対談している[38]

撮影

2017年5月29日にハイデラバードのラーマクリシュナ・スタジオで主要撮影が始まり、映画のタイトルは「Mahanati」に決まった[39][40]。第1スケジュールの撮影にはラジェンドラ・プラサード英語版が参加し、ミッキー・J・メイヤル英語版とダニ・サンチェス=ロペスがそれぞれ作曲家、撮影監督として参加している[41][42]。アシュウィンはジェミニ役のドゥルカルの描写について、単なる外見的な類似性ではなく心情的な面を重視していることを明かしている[43]。キールティは6月初旬に歌曲シーンの撮影のために体重を増やすように指示を受け[44]、8月からはプラカーシュ・ラージが撮影に参加した[45]。撮影は2018年3月22日に終了した[46][47]。同月26日からはタミル語吹替版の製作が始まり、ドゥルカル、キールティ、サマンタのパートの吹き替えが行われた[48][49][50]

衣装デザイン

ジュエリーデザイナーのナヴィーン・サングリはハイデラバードのジュエリー業者と協力して、サーヴィトリの出演作を鑑賞して彼女が身に付けていたジュエリーの種類を研究した[51]。金、クンダン英語版ダイヤモンドは彼女が身に付けていたものと同じ形にデザインされた[51]。デザインチームによると、最も再現が難しかったものは60年以上前のルビーのネックレスとヴァッダナム英語版だったという[51]。また、ナヴィーンはデザインのために数日間欠けてサーヴィトリの家族と面会し、彼女の嗜好を研究している[51]。衣装デザイナーのガウラン・シャーは、衣装製作には100人のデザイナーが参加して1年以上の歳月を要したと語っている。また、彼らは数か月間かけて衣装を研究したとも語っている[52]

音楽

ミッキー・J・メイヤル

映画音楽の作曲はミッキー・J・メイヤルが手掛けている。彼はサウンドトラックの作曲について、「私は旅行中にトラックを作曲し、スタジオに戻った時に完成させました。しかし、タイトル・トラックの録音を始めると、古い時代の音と現代の完成をマッチさせることに苦労しました。私は歌姫の映画を観たことはありませんが、当時の音楽を理解するために古いヒンディーソングを聴きました」と語っている[53]

映画音楽のオーディオ権はアーディティヤ・ミュージック英語版が取得した[54]シリヴェンネラ・シーターラーマ・サーストリー英語版が作詞、アヌラーグ・クルカルニー英語版シュレヤ・ゴシャルが歌手を務めた「Mooga Manasulu」は2018年4月20日にリリースされ[55]マダン・カールキ英語版が作詞、アヌラーグ・クルカルニーとナヤナ・ナーイルが歌手を務めた同曲のタミル語版が「Mauna Mazhaiyile」のタイトルで同時リリースされた[56]。同曲は1970年代から1980年代にかけての黄金時代を彷彿とさせるノスタルジックな作詞となっている[56]。同月26日にはセカンド・シングルトラックがリリースされ、「Thandhaay」(タミル語版のタイトルは「Sada Nannu」)はチャルラータ・マニ英語版が歌手を務めた[57]。5月1日に全曲収録されたアルバム「Mahanati 」がリリースされ[58]、同月5日にタミル語版アルバム「Nadigaiyar Thilagam」がリリースされた。アルバムには5曲収録されており、6月1日に6曲目の「Gelupuleni Samaram」(タミル語タイトルは「Amudhai Pola Kidaithaai」)がリリースされた[59]。映画公開50日目となる同月27日にはデュアルオーディオ「Mooga Manasulu」(タミル語版タイトルは「Mauna Mazhaiyile」)がリリースされた[60]

マーケティング

2017年3月8日の国際女性デーに合わせてキールティとサマンタを描いた映画ポスターが公開された[61]。10月17日のキールティの誕生日に合わせて彼女が演じるサーヴィトリのファーストルックが公表され[62]、サーヴィトリの誕生日の12月6日に合わせて映画のロゴビデオがYouTubeにアップロードされた[63][64]。4月6日と10日にサマンタとデーヴァラコンダをフィーチャリングしたポスターが公開され、好意的な反応を得た[65]。同月13日には2人をフィーチャリングした新しいポスターが公開され[66]、翌14日には映画の予告編とファーストルックポスターが公開された[65]。予告編は公開から半日で再生回数100万回を記録した[65]。また、20種類の衣装を着たキールティの姿がポスターや静止画などの複数の媒体を通して公開され[67]、翌週には新たな予告編を通してゲスト出演した俳優の詳細が明かされた[68]。一方、インド映画としては珍しく劇場用予告編は製作されなかった[69]。また、「マハーナティ回顧展」と題されたサーヴィトリの美術展が開催され、収益の30万ルピーはテルグ映画アーティスト協会を通じて2018年ケーララ州洪水英語版の復興資金として寄付された[70]

公開

『伝説の女優 サーヴィトリ』は2018年3月29日公開の予定だったが[71]VFX作業の遅れから5月公開に延期された[72]。5月9日に全国公開され[8]、タミル語吹替版は同月11日に公開された[7]。海外配給権は4500万ルピーでニルヴァーナ・シネマズが取得し、同時にヴィジャヤンティ・ムービーズ英語版とスワプナ・シネマが今後製作する全作品の海外配給権もニルヴァーナ・シネマズが取得している[73][74]。デジタル配信権はAmazonプライム・ビデオが取得し[75]、テレビ放送権はスター・マー英語版が取得している。8月19日にテレビ初放送された際には個人の延べ視聴率20.16%を記録した[76]。タミル語吹替版の衛星放送権はジー・タミル英語版が取得している[77]。プレミア上映にはアトリーS・S・ラージャマウリラーム・チャランなどが招待され製作チームを称賛した[78]。ラージャマウリは「ドゥルカルの演技のファンである」と述べて彼を賞賛し[79]、ラーム・チャランは「偉大な伝記映画」を完成させた製作チームを賞賛している[80]

アーンドラ・プラデーシュ州首相英語版ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥは映画に感銘を受けて免税措置を取ろうとしたが、プロデューサーのC・アシュウィニー・ダットは申し出を辞退している[81]。同月17日から海賊版が横行するようになり、興行成績に大きな影響を与えている[82]。これは『Bharat Ane Nenu』『ランガスタラム』『Naa Peru Surya, Naa Illu India』などの大作映画がスクリーンを独占していたため『伝説の女優 サーヴィトリ』の上映スクリーンを確保できず、チケットを入手できなかった人々が海賊版に集中したことが原因とされている[82]。この問題は公開2週目に上映スクリーン数が増加したことで改善された[1]。6月第3週からは老人ホームで無料上映が実施された[83]

評価

出典

外部リンク

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