位牌
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概略
形状
形状の変遷
日本では15世紀初期に作製された「雲首形位牌(うずがたいはい)」が古い形状で、仏教式の完成されたデザインのものが多い[1]。古式では「今上皇帝聖壽萬歳」などと彫られ、また個人のものに関しては「位階官名」を唐名で記すなど、死後に作られたものではなく生前に寿牌として作られた[1]。雲首形の発展系として、頭部だけではなく両脇にも雲形の装飾をつけたものが「雲袖形位牌」であり、琉球におけるトートーメ発生以前の古位牌、江戸時代の大名位牌なども、概ねこの形式で作られたものが多い。一方で、儒教式の円頭板状の「神主(しんしゅ)」と融合したデザインが考案され、これが「櫛形位牌」として、武士層から一般庶民にかけて流行し、現在一般的に見られる位牌の形が江戸時代中期以降定着した。江戸時代は白木のままの位牌も多く、四十九日以降に漆塗りの位牌に変更することが定着したのは明治以降である。
寸法
位牌のサイズは尺貫法で表される。寸法は札丈(札板=文字を入れる板の部分 の高さ)を測り、「号」で表される。(例:4.0号とは、札丈が約12cmの位牌をいう。)
本位牌では、2.5〜7.0寸が主に用いられる。一般に、仏壇の中で、ご先祖様より子孫が大きくならないようにする。
また、寺位牌で大きなものは札板の巾を測る。愛知県岡崎市の大樹寺に納められた江戸幕府の歴代将軍の位牌の札丈は彼らの身長に等しいという説がある。
生産地
日本では、会津若松(会津位牌)、京都(京位牌)、名古屋(名古屋位牌)、和歌山(高野位牌)が主な産地である。主に高級品を中心に製作される。
日本で販売されているものには、中国、ベトナム等から輸入した安価品もあり、また、部品を輸入して最終組み立てのみ日本国内で行っているものもある[2]。
位牌の機能
位牌は機能面で多くの分類方法がある[2]。位牌文化は地域により、長子相続や血縁相続における操作機能を中心とする位牌文化(華人・南島型)と日本本土のように葬送儀礼や追善儀礼の用具としての機能を中心とする位牌文化(本土型)に分けられる[2]。
対象による分類
用途による分類
大別して野位牌(のいはい)、本位牌、寺位牌などがある。
- 野位牌(のいはい)
- 死者の枕元に置かれ、葬列に持参し、埋葬後に墓(埋葬地)に供えられる位牌[4][5]。通常は白木で納骨までや四十九日までなど使用する期間が限定されており、追善供養具というよりも葬具としての性格が強い[2]。
- 内位牌
- 日本では仮位牌として野位牌と内位牌の二つの仮位牌(白木位牌)が作られることが多く、内位牌は家で祀った後に四十九日、一周忌、三回忌などの機会に恒久的な位牌に切りかえることが多い[4][5]。内位牌は、中陰壇(四十九日の法要、納骨式まで遺骨を祀る臨時の屋内祭壇)を解いた後、焚き上げられる。このように内位牌は別の位牌に作り替えられることが多い[4]。しかし、対馬には二つの白木位牌を作り、一つは寺位牌(後述)、もう一つを内位牌として白木の位牌のまま仏壇に納め、7年目に薄い板状の位牌に名を書き込んで位牌箱に収める地域がある[6]。また、能登や奄美などの一部地域のように白木の位牌を長く祀る地域もある[6]。
- 本位牌
- 寺位牌
中国の位牌
日本の位牌

日本には鎌倉時代に禅僧が南宋から伝えたとされているが(文献記述としては、14世紀成立の『太平記』には見られる)、庶民に一般化するのは江戸時代以降である[7]。なお、沖縄の位牌祭祀については本土の位牌祭祀と異なる[2](次節参照)。
宗旨による差異
- 禅宗
- 天台宗・真言宗
- 浄土宗
- 浄土真宗
- 宗義上「位牌」は用いないことが推奨される[3][9](高田派を除く)。個別の寺院、地域によっては「位牌」を用いる。
- 法名(戒名とは呼ばない)は、紙に記すか、それを軸装して「法名軸」とし仏壇に掛ける(詳細は法名軸を参照)[3]。略式である「過去帳」を併用することも容認されているが、正式には「過去帳」は引き出しにしまっておく。
- 浄土真宗では、阿弥陀如来の本願力により、その功徳が我々に回向されているという教義であり、「自らの善根功徳を亡き人へ回向する」(追善供養)ということは他力本願に反する「自力」として否定的に扱われる。そのため、本願寺系の教団では「位牌」は用いず、代用品としての「法名軸」・「過去帳」なども礼拝の対象としては用いない。
- 日蓮宗
- 法号の上に、「妙法」の文字が入る。
- 日蓮正宗
- 法名の上に、「妙法蓮華経」の文字が入る。本位牌は作成せずに、過去帳に記す。
- 琉球神道
