児童の権利に関する条約

児童の権利について定める国際条約 From Wikipedia, the free encyclopedia

児童の権利に関する条約(じどうのけんりにかんするじょうやく、:Convention on the Rights of the Child、アラビア語:اتفاقية حقوق الطفل:儿童权利公约:兒童權利公約:Convention relative aux droits de l'enfant:Конвенция о правах ребенкаスペイン語:Convención sobre los Derechos del Niño)は、18歳未満の者を「児童」と定義し、子どもの基本的人権の尊重を促進し、その保障のために必要な事項を定めた国際連合の条約である[2]

通称・略称 子どもの権利条約
概要 児童の権利に関する条約, 通称・略称 ...
児童の権利に関する条約
児童の権利に関する条約のロゴ
通称・略称 子どもの権利条約
署名 1989年11月20日
署名場所 ニューヨーク[1]
発効 1990年9月2日[1]
寄託者 国際連合事務総長
文献情報 平成6年5月16日官報号外第88号条約第2号
言語 アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語[1]
主な内容 子どもの権利子どもの最善の利益
条文リンク 1 (PDF)2 (PDF) - 外務省
ウィキソース原文
テンプレートを表示
閉じる

内容

4つの原則

児童の権利に関する条約で規定されている子どもの権利を実現するために大切な考え方として、以下の4つの原則が挙げられている。

  1. 差別の禁止 子ども本人やその親の人種、国籍、性別、意見、障害、経済状況その他いかなる理由によっても差別されることなく、同条約の定める子どもの権利を享受できること。
  2. 子どもの最善の利益 子どもに関することが決定されるときは、その子どもにとって最もよいことは何かを第一に考えること。
  3. 生命、生存及び発達に対する権利 すべての子どもの生命が保護され、その発達を妨げられることのないように、医療、教育、生活の支援を受けられること。
  4. 子どもの意見の尊重 子どもが、自身に関係のあることについて自由に意見を表明し、その子どもの意見を、子ども自身の発達に応じて、成年者が考慮すること。

子どもの権利主体性

児童の権利に関する条約では、子どもは単に保護を与えられるだけの存在ではなく、自ら権利を持つ主体とされている[3][4]

おとなの責任

児童の権利に関する条約第5条の規定により、子どもに対しては、単にその父母のみならず、地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者も、その子どもの発達しつつある能力に適合する方法で、適当な指示及び指導を与える責任を有するとされている[5][6]

意見表明権

児童の権利に関する条約の各条文をアイコンで表した画像

児童の権利に関する条約第12条の規定により、子どもは「意見表明権」を有する。聴かれる権利とも称される[7][8]。意見表明権により、子どもは、自己に関係のあることについて自由に意見を表明し、自らの発達に応じて、成年者からその意見を考慮されることができる。たとえ乳幼児であっても、泣いて嫌がる等の表現行為は、子どもの意見表明として受け止められることとなる[9]

遊ぶ権利

児童の権利に関する条約は、子どもの「遊び」を発達に不可欠な要素と捉えており、同条約第31条の規定により、子どもは、休息・余暇、その年齢に適した遊び、レクリエーション、文化的な生活、芸術に参加する権利を有するとされている[10][11]

選択議定書

児童の権利に関する条約には、3つの選択議定書が付随している。このうち日本は、通報手続きに関する選択議定書を批准していない[12]

児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する選択議定書

子どもを人身売買することや、児童ポルノ等の性的搾取の禁止を強化することを内容としている。2002年1月18日に発効[13]

武力紛争における児童の関与に関する選択議定書

18歳未満の子どもを戦闘行為に従事させないことを規定したもの。2002年2月12日に発効[14]

通報手続きに関する選択議定書

国内的手続によっても子どもの権利侵害が救済されなかった場合に、子どもの権利委員会に救済を申し立てることができることを規定したもの。2014年4月14日に発効[15]

子どもの権利委員会

児童の権利に関する条約を実施するため、国際連合に子どもの権利委員会が置かれている。同条約の締約国政府は、5年ごと[16]に子どもの権利委員会に同条約の実施状況を報告しなければならず、同委員会は、締約国政府からの報告書を審査し、懸念事項や提言を述べる[17]

締約国

  :条約に参加
  :条約に署名しているが未批准
  :条約に参加していない

児童の権利に関する条約は、1989年11月20日に、第44回国際連合総会で採択され、アメリカ合衆国を除く196のすべての国・地域が締約している[18][19][20]

さらに見る 国名, 批准日 ...
各国の批准日
国名 批准日
アフガニスタン 1994年3月28日
アルバニア 1992年2月27日
アルジェリア 1993年4月16日
アンドラ 1996年1月2日
アンゴラ 1990年12月5日
アンティグア・バーブーダ 1993年10月5日
アルゼンチン 1990年12月4日
アルメニア 1993年6月23日
オーストラリア 1990年12月17日
オーストリア 1992年8月6日
アゼルバイジャン 1992年8月13日
バハマ 1991年2月20日
バーレーン 1992年2月13日
バングラデシュ 1990年8月3日
バルバドス 1990年10月9日
ベラルーシ 1990年10月1日
ベルギー 1991年12月16日
ベリーズ 1990年5月2日
ベナン 1990年8月3日
ブータン 1990年8月1日
ボリビア 1990年6月26日
ボスニア・ヘルツェゴビナ 1993年9月1日
ボツワナ 1995年3月14日
ブラジル 1990年9月24日
ブルネイ・ダルサラーム 1995年12月27日
ブルガリア 1991年6月3日
ブルキナファソ 1990年8月31日
ブルンジ 1990年10月19日
カーボベルデ 1992年6月4日
カンボジア 1992年10月15日
カメルーン 1993年1月11日
カナダ 1991年12月13日
中央アフリカ共和国 1992年4月23日
チャド 1990年10月2日
チリ 1990年8月13日
中華人民共和国 1992年3月2日
コロンビア 1991年1月28日
コモロ諸島 1993年6月22日
コンゴ共和国 1993年10月14日
クック諸島 1997年6月6日
コスタリカ 1990年8月21日
コートジボワール 1991年2月4日
クロアチア 1992年10月12日
キューバ 1991年8月21日
キプロス 1991年2月7日
チェコ 1993年2月22日
朝鮮民主主義人民共和国 1990年9月21日
コンゴ民主共和国 1990年9月27日
デンマーク 1991年7月19日
ジブチ 1990年12月6日
ドミニカ国 1991年3月13日
ドミニカ共和国 1991年6月11日
エクアドル 1990年3月23日
エジプト 1990年7月6日
エルサルバドル 1990年7月10日
赤道ギニア 1992年6月15日
エリトリア 1994年8月3日
エストニア 1991年10月21日
エスワティニ 1995年9月7日
エチオピア 1991年5月14日
フィジー 1993年8月13日
フィンランド 1991年6月20日
フランス 1990年8月7日
ガボン 1994年2月9日
ガンビア 1990年8月8日
ジョージア 1994年6月2日
ドイツ 1992年3月6日
ガーナ 1990年2月5日
ギリシャ 1993年5月11日
グレナダ 1990年11月5日
グアテマラ 1990年6月6日
ギニア 1990年7月13日
ギニア・ビサウ 1990年8月20日
ガイアナ 1991年1月14日
ハイチ 1995年6月8日
バチカン聖座 1990年4月20日
ホンジュラス 1990年8月10日
ハンガリー 1991年10月7日
アイスランド 1992年10月28日
インド 1992年12月11日
インドネシア 1990年9月5日
イラン 1994年7月13日
イラク 1994年6月15日
アイルランド 1992年9月28日
イスラエル 1991年10月3日
イタリア 1991年9月5日
ジャマイカ 1991年5月14日
日本 1994年4月22日
ヨルダン 1991年5月24日
カザフスタン 1994年8月12日
ケニア 1990年7月30日
キリバス 1995年12月11日
クウェート 1991年10月21日
キルギスタン 1994年10月7日
ラオス 1991年5月8日
ラトビア 1992年4月14日
レバノン 1991年5月14日
レソト 1992年3月10日
リベリア 1993年6月4日
リビア 1993年4月15日
リヒテンシュタイン 1995年12月22日
リトアニア 1992年1月31日
ルクセンブルク 1994年3月7日
マダガスカル 1991年3月19日
マラウイ 1991年1月2日
マレーシア 1995年2月17日
モルディブ 1991年2月11日
マリ共和国 1990年9月20日
マルタ 1990年9月30日
マーシャル諸島 1993年10月4日
モーリタニア 1991年5月16日
モーリシャス 1990年7月26日
メキシコ 1990年9月21日
ミクロネシア 1993年5月5日
モナコ 1993年6月21日
モンゴル 1990年7月5日
モンテネグロ 2006年10月23日
モロッコ 1993年6月21日
モザンビーク 1994年4月26日
ミャンマー 1991年7月15日
ナミビア 1990年9月30日
ナウル 1994年7月27日
ネパール 1990年9月14日
オランダ 1995年2月6日
ニュージーランド 1993年4月6日
ニカラグア 1990年10月5日
ニジェール 1990年9月30日
ナイジェリア 1991年4月19日
ニウエ 1995年12月20日
北マケドニア 1993年12月2日
ノルウェー 1991年1月8日
オマーン 1996年12月9日
パキスタン 1990年11月12日
パラオ 1995年8月4日
パナマ 1990年12月12日
パプアニューギニア 1993年3月2日
パラグアイ 1990年9月25日
ペルー 1990年9月4日
フィリピン 1990年8月21日
ポーランド 1991年6月7日
ポルトガル 1990年9月21日
カタール 1995年4月3日
大韓民国 1991年11月20日
モルドバ 1993年1月26日
ルーマニア 1990年9月28日
ロシア 1990年8月16日
ルワンダ 1991年1月24日
サモア 1994年11月29日
サンマリノ 1991年11月25日
サントメ・プリンシペ 1991年5月14日
サウジアラビア 1996年1月26日
セネガル 1990年7月31日
セルビア 2001年3月12日
セーシェル 1990年9月7日
シエラレオネ 1990年6月18日
シンガポール 1995年10月5日
スロバキア 1993年5月28日
スロベニア 1992年7月6日
ソロモン諸島 1995年4月10日
ソマリア 2015年10月1日
南アフリカ 1995年6月16日
南スーダン 2015年1月23日
スペイン 1990年12月6日
スリランカ 1991年7月12日
セントクリストファー・ネイビス 1990年7月24日
セントルシア 1993年6月16日
セントビンセント・グレナディーン 1993年10月26日
パレスチナ 2014年4月2日
スーダン 1990年8月3日
スリナム 1993年3月1日
スウェーデン 1990年6月29日
スイス 1997年2月24日
シリア・アラブ共和国 1993年7月15日
タジキスタン 1993年10月26日
タイ 1992年3月27日
東ティモール 2003年4月16日
トーゴ 1990年8月1日
トンガ 1995年11月6日
トリニダード・トバゴ 1991年12月5日
チュニジア 1992年1月30日
トルコ 1995年4月4日
トルクメニスタン 1993年9月20日
ツバル 1995年9月22日
ウガンダ 1990年8月17日
ウクライナ 1991年8月28日
アラブ首長国連邦 1997年1月3日
イギリス 1991年12月16日
タンザニア 1991年6月10日
ウルグアイ 1990年11月20日
ウズベキスタン 1994年6月29日
バヌアツ 1993年7月7日
ベネズエラ 1990年9月13日
ベトナム 1990年2月28日
イエメン 1991年5月1日
ザンビア 1991年12月6日
ジンバブエ 1990年9月11日
閉じる

原本

児童の権利に関する条約の条文は全54条であり、アラビア語中国語英語フランス語ロシア語スペイン語を正文とし、国際連合事務総長に原本が寄託されている[6]

脚注

Related Articles

Wikiwand AI