縁日
神仏の降誕、示現、誓願などの縁のある日
From Wikipedia, the free encyclopedia
歴史
日本仏教が民俗化する過程で、縁日による菩薩の信仰が顕著になったらしい[3]。文献に登場するものとしては、『今昔物語集』に観音菩薩の縁日18日と書かれたのがもっとも早い[3]。
平安時代では、阿弥陀や観音菩薩や地蔵(地蔵菩薩)の信仰が優勢となっていて、阿弥陀の縁日が15日、地蔵菩薩は24日とされた[3]。
中世以降は、参道に参詣者相手の見世物や物売りが並ぶようになり、縁日は(純粋に信仰のものというよりは)観光遊山(観光[注釈 1])の性格が濃くなった[1]。
明治期には縁日欄が新聞に掲載された[4](当日やその週などの縁日情報を掲載する欄であり、現在の"レジャー情報"欄のようなもの)。
1907年の『東京名物百人一首』には次のように書かれた
- 二七不動 縁日の図。1898年(明治31年)『風俗画報』177号「東京名所図会・麹町区之部中」挿図
4月-10月頃の縁日には伝統的に屋台が出店されることが多いが、それ以外の季節、冬季の縁日では屋台が減ったり、全く無い寺社もある。
特に、年の最初(または月の最初)の縁日を初(はつ)○○(初天神、初観音、初不動など。干支を縁日とする場合は初午、初巳など)と称し、年の最後の縁日は納め(おさめ)の○○または終い(しまい)○○と称される。
主な縁日
- 元三大師 - 1月3日
- 宝生如来 - 毎月3日
- 阿閦如来 - 毎月4日
- 弥勒菩薩 - 毎月5日
- 水天宮 - 毎月5日(25日以外の5の付く日とする所もある)
- 薬師如来 - 毎月8日(12日とする所もある[6])
- 金毘羅 - 毎月10日
- 虚空蔵菩薩 - 毎月13日
- 日蓮聖人 - 毎月13日
- 普賢菩薩 - 毎月14日
- 阿弥陀如来 - 毎月15日
- 閻魔 - 毎月16日
- 歓喜天(聖天) - 毎月16日
- 千手観音菩薩 - 毎月17日
- 観世音菩薩 - 毎月18日
- 七面天女 - 毎月18日[7],19日[8]
- 馬頭観音菩薩 - 毎月19日
- 十一面観音菩薩 - 毎月20日
- 准提観音菩薩 - 毎月21日
- 弘法大師 - 毎月21日
- 如意輪観音菩薩 - 毎月22日
- 不空羂索観音菩薩 - 毎月23日
- 勢至菩薩 - 毎月23日
- 八幡神 - 毎月23日
- 地蔵菩薩 - 毎月24日
- 愛宕権現 - 毎月24日
- 文殊菩薩 - 毎月25日
- 天神 - 毎月25日(天神祭)
- 法然上人 - 毎月25日
- 愛染明王 - 毎月26日
- 不動明王 - 毎月28日
- 大日如来 - 毎月28日
- 釈迦如来 - 30日
- 妙見菩薩 - 毎月1日,15日
- 鬼子母神 - 毎月8の付く日
- 稲荷神 - 午の日
- 摩利支天 - 亥の日
- 毘沙門天 - 1月,5月,9月の最初の寅の日
- 大黒天 - 甲子の日
- 弁才天(弁財天) - 己巳の日
- 帝釈天・青面金剛 - 庚申の日
- 延命子育地蔵尊 (荒川区)- 毎月2の付く日(毎月2日,12日,22日)
縁日の屋台の提供物等
→「屋台」も参照
歴史をふまえつつ、縁日の屋台で扱われてきた商品やサービスを列挙すると次のようなものがある。
- 飲食物
- 団子(江戸時代以前から。江戸で流行)
- 餡餅(あんころもち)(江戸時代から)
- 飴細工 (江戸時代から。制作の実演および販売を含み、それ自体が見世物となっていた)
- べっこう飴 (江戸時代から。2000年代にはあまり見られなくなっている。)
- 焼きとうもろこし(江戸時代から[9])
- 焼き鳥(江戸時代から)
- 今川焼(幕末あるいは明治から)
- おでん(明治・大正期から)
- ベビーカステラ - おもに小麦粉からなる生地を球状に焼いた菓子。東京ケーキ、チンチン焼、ピンス焼の名で売られることもある。(大正時代から)
- あんず飴 - 果物に水飴をからめた菓子(大正から昭和期に広まった)
- たい焼き - 今川焼きを原型に、"縁起物"の鯛の形にしたもの(昭和ころから)
- お好み焼き(昭和から)
- 焼きそば(昭和-)
- 綿菓子 - 中双糖を高温で熱し、電気で回転する装置から噴き出し綿状にした菓子で、電源が必要。(大正期あるいは昭和前期から存在したが、本格的には戦後 [10])
- ポップコーン(戦後-)
- りんご飴 - リンゴをべっこう飴でコーティングしたもの(戦後から。アメリカで1908年に誕生した「キャンディアップル」が起源で、戦後にアメリカの進駐軍の影響で始まった)。
- いちご飴 - イチゴに飴をコーティングし、串を挿した菓子。明確な開始時期は不明だが、りんご飴の亜種として作る露天商もあったが、もうひとつの流れとしては、中国東北部の屋台おやつ「糖葫蘆(タンフール)」を原型として、2010年代後半に韓国の屋台で「タンフル」として徐々に流行しはじめ、韓国の流行が2019年に日本に伝播し、あらためて(本格的に)流行した。
- たこ焼き・明石焼き(屋台のたこ焼きは戦後。戦後にソースが普及してから)
- 大阪焼き(○○焼き・リング焼き)
- イカ焼き・ポンポン焼き
- 豚汁
- もつ煮
- やきとん・牛串・焼き鳥・串焼き
- ハッカパイプ - ソフトビニール製の容器に薄荷糖を入れて吸う菓子(煙草ではない)。
- クレープ
- ワッフル
- ソースせんべい - 薄い煎餅とソースや梅ジャムなどのタレのセット。
- チョコバナナ - 皮を剥いた丸ごとのバナナをチョコレートでコーティングした菓子。
- 冷菓 - かき氷(フラッペ)やソフトクリーム、アイスクリーム、アイスキャンディー。
- フランクフルト
- アメリカンドッグ(フレンチドッグ)
- フライドポテト
- ケバブ
- タコス
- キャベツ焼き(流行は1990年代以降)
- 唐揚げ - 一部の地域では昭和期から扱っていたが、全国化したのは2010年代の"唐揚げブーム"以降
- 飲料
- 遊戯
- その他
- 鉢植え、植木 ─ 江戸では園芸が大流行しており、「植木売り」と呼ばれる露天商がおり縁日や祭りで店を出した。江戸後期には、長屋の住人が狭い空間でも楽しめる鉢植えが大流行した。
- 風車(かざぐるま) ─ 江戸時代、飴細工を売る露天商が風車も並べて売ることが多かった。
- 子供の玩具 ─ 江戸時代では、紙風船、お手玉、竹とんぼなど。明治、大正、昭和でもその時代の子供の玩具が売られていた。
- お面 - 江戸時代では和紙を糊で貼り重ねる技法で作った面で、「ひょっとこ」「おかめ」「天狗」「鬼」「狐面」など。戦前はセルロイド製。セルロイド製面は燃え始めると激しく燃焼し、事故も発生したので、戦後のある時期から燃えにくいPVC(ポリ塩化ビニール)製に変更された。アニメ、特撮などの人気キャラクターのものなど。近年ではゲームのキャラも。
- ひよこ - 養鶏場で商品価値の低い雄のひよこの処分手段として売られているケースがほとんどである。スプレーで着色したものを「カラーひよこ」と称して売ったり、稀にウズラの子(シマドリとも)などを売るものもあった。2000年代はあまり見られなくなっている[11]。
- くじ - 景品と同じ番号を引くと景品がもらえる箱くじ(スピードクジ)や景品を括った紐の束から紐を一本引く千本引などがある。
- 神社に出店する屋台(画面右)