大屋根リング

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用途 博覧会・展覧会施設
設計者
管理運営 2025年日本国際博覧会協会
大屋根リング
大屋根リング(2025年4月)
大屋根リングの位置(大阪市内)
大屋根リング
情報
用途 博覧会・展覧会施設
設計者
施工 複数の共同企業体[1][2]
管理運営 2025年日本国際博覧会協会
構造形式 木造
建築面積 61,035.55 m²
高さ 約12 m(外側約20 m)
エレベーター数 6基
着工 2023年6月30日
竣工 2025年2月27日
開館開所
開通
2024年8月21日[3]
供用開始
2025年2月28日(引渡日)[4]
所在地 554-0044
大阪府大阪市此花区夢洲中1丁目
座標 北緯34度38分56秒 東経135度22分48秒 / 北緯34.64889度 東経135.38000度 / 34.64889; 135.38000 (大屋根リング)座標: 北緯34度38分56秒 東経135度22分48秒 / 北緯34.64889度 東経135.38000度 / 34.64889; 135.38000 (大屋根リング)
備考
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大屋根リング(おおやねリング、: Grand Ring[2])は、2025年日本国際博覧会(公式略称:大阪・関西万博、会期:2025年令和7年〉4月13日 - 同年10月13日〈184日間〉)のシンボルとして建設された、日本木造円形建築物環状建築物[注釈 1])。大阪府大阪市此花区夢洲に位置し、大阪・関西万博の会期中に世界最大の木造建築物(: The largest wooden architectural structure[2]建築面積:61,035.55平方メートル)としてギネス世界記録に認定された[5][6]

屋上・ウォータープラザ

大屋根リングは、大阪・関西万博の会場デザインの理念「多様でありながら、ひとつ」を表すシンボルとして2023年6月に着工、2025年2月に竣工した[2]。デザインを藤本壮介が手掛け、基本設計を東畑建築事務所梓設計JVが担当した。工区は3つに分かれており、それぞれ3組のJVが分担して実施設計と施工を行った[7]。建設費は約350億円[1]

大屋根リングには神社仏閣の技術であるぬき接合と現代工法を組み合わせた構造[8]が採用されており、約7割は日本産のスギヒノキ、約3割は外国産のオウシュウアカマツが使用された[2]

藤本は大屋根リングを木造にした理由について、日本の1000年以上の木造建築の歴史と伝統を活かしつつ、日本が木造で世界的イニシアチブを握るというメッセージを出すためだと述べている[9]。円形であることについては、機能性と象徴性を兼ね備えていることを理由として挙げている[9]。また、現代社会において多様性が重視される一方で分断をもたらす事実があることを受け止めたうえで、円環が分断を超えたつながりの象徴となり、藤本の主張する「開かれた円環」という概念を体現していると主張している[10]

大屋根リングには階段のほか5か所のエスカレーターと6基のエレベーターが設置されており屋上に登ることができた。

リングの外周は内周よりも8メートルほど高く、屋上にある傾斜には「天空の草原」をコンセプトとした約32,500平方メートルの植栽があり、重量軽減のため土の代わりにリサイクル素材の軽量マットが敷き詰められた[11]。植栽の管理は大和リースが請け負った[11]

屋上には「スカイウォーク」と呼ばれる回廊があり、訪問者は約30分かけて1周することができた。全周は当初約2キロメートルとされたが、通路の中心部を基準に計測すると開催年と同じ数字の約2,025メートルであることが判明した[1]

南側は水辺空間「ウォータープラザ」に面しており、会期中は会場を見下ろす形で水上ショー(アオと夜の虹のパレード「水と空気のシンフォニー」、ドローンショー)などを見ることができた[1]

閉幕後の一部建築保存

大阪・関西万博の開幕前から大屋根リングは閉幕後には解体・撤去される予定であり、木材の一部のみが再利用される方針となっていた[12]レガシーとして残すべき、という意見があるものの、仮設建築物として設計されているため、常設化には大規模な補強や維持管理費など多くの課題があった[12]

2025年4月27日に博覧会協会は、民間事業者の案として約200メートル(会期中の空の広場 - 関西パビリオン付近)をモニュメントとして残す方向で議論を進めていることを明らかにした[13]。5月2日には博覧会協会は閉幕後に一部を保存する方針で大阪府・市など関係機関と合意した[14]。一方、5月3日に大阪府の吉村洋文知事は「大屋根の上を歩いて空を見上げることができるリングを残さなければ、意味がない」と述べ、海側の約600メートルを屋根を含めた現在の形で保存する案を提案した[15]。6月2日新たに、海側の約350メートル(噴水モニュメントを中心としたエリア)を保存検討の案が発表された。

6月23日に開催された理事会で、大屋根リングそのものの一部を残す方針への転換が諮られて[16][17]、10月7日の理事会で最終的に確定した[18]。この間、9月16日に開かれた博覧会協会と大阪府・市、経済界などでつくる検討会で、北東200メートルを人がのぼれる原型に近い形で残し、大屋根リングとその周辺を大阪市が万博を記念する市営公園として整備することで合意した[19]

木材の再利用

大屋根リングに使用されている木材の一部は解体後希望する自治体、事業者に譲渡される予定となっており、万博の施設や什器等のリユース先を募集する万博協会が設置したウェブサイト「万博サーキュラーマーケット ミャク市!」で譲渡先が公募された[20]。当初、大屋根リングに使用された木材全体の4分の1が譲渡され再利用される予定であったが、2025年12月時点には8分の1にとどまる予定であると報道された[21]

木材の一部は、能登半島地震 (2024年)令和6年9月能登半島豪雨で被害を受けた石川県珠洲市が復興公営住宅の建設資材として使用されるため[22]、無償で譲渡される旨博覧会協会から珠洲市へ2025年9月29日に通知された[23]。木材は2026年3月ごろから順次、珠洲市に届けられる予定であり[23]、測量や施工に要する期間を見込んで木材を再利用した復興公営住宅が竣工するのは早くても2027年4月以降になるとの見方がある[24]

2025年10月16日、愛媛県は、木材を無償で譲り受け、2026年開催の第76回全国植樹祭での再利用を発表した[25]。屋根に使用されたCLTパネル(8割が愛媛県産)18枚が愛媛県に譲渡され、全国植樹祭の式典における天皇皇后の歩道やステージ等に利用されるとした[26]

同月29日、鹿島は、2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027、花博)のランドマークとなる高さ約60メートルの木造タワー「KAJIMA TREE(仮称)」の資材として再利用すると発表した[27]。木材量は、大屋根リングに使われた木材約2万7000立方メートルの約3パーセントに当たる[28]

同年12月19日、高知県は、大屋根リングに使用されていたヒノキの柱と屋根のCLTパネル23枚の無償譲渡を受ける予定であると発表した[29]。譲渡された木材は大屋根リングのレプリカやベンチ、日用家具などに再利用し空港などで展示する予定[29]。大屋根リングの建設に使用された木材の約4割が高知県産であるとされている[29]

2026年1月28日、神奈川県は2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)の神奈川県出展エリアにおいて、大屋根リングの木材を活用する予定であると発表した[30]。エリア内の花壇の木枠やデッキ部分において大屋根リングのリングを活用する予定[30]

ギネス世界記録

2025年3月4日、大屋根リングは世界最大の木造建築物としてギネス世界記録に認定された[31]。 認定された建築面積は61,035.55平方メートルに及ぶ。 認定式は開幕を目前に控えた会場の夢洲で行われ、ギネスワールドレコーズの公式認定員から、博覧会協会の十倉雅和会長と会場デザインプロデューサーの藤本壮介に認定証が授与された[32]

評価

建築史家の市川紘司は、大屋根リングが巨大な土木インフラのようでありながらも、人間的な寸法感覚に収まっており、あくまでも「建築」と呼べるものとなっているとしている[33]。また、藤本はキャリア初期に「原初的」であり「未来的」であることを目指す「プリミティブ・フューチャー」という両義的な概念を掲げたが、大屋根リングは巨大な木材をシンプルに組み上げながらもギョッとするほど巨大化させている点に藤本らしさが表れていると評価している[33]

批評家の藤田直哉は、大屋根リングが日陰を作り来場者の憩いの場を提供するとともに、リングの上にのぼったものには世界一の木造建築を体感させており、平等性や利他性という側面から社会の課題を真剣に考えるとともに、大阪・関西万博そのもののあり方を批評的に突き放し相対化する装置として存在していたと評価している[34]。また、藤本は大屋根リングを通じて対立と分断という課題に対して対応しようとしたが、大屋根リングは開いているが閉じているという性質を持ち、自然や森の受容性を体現することでそれを実現しており、藤本がその在り方を踏襲した「太陽の塔」のような「反万博」的なモニュメントとして機能しているとしている[34]

学芸員の南島興によれば、藤本は2003年の「プリミティブ・フューチャー」という文章の中で、現代の建築の根源的な問題が「複雑で多様な場所を、いかに単純に生み出すか」であると主張しており、大屋根リングはこの問いへの応答であるとしている[35]。また、藤本が著書『地球の景色』でローマコロッセオが「建築家としての何かを決定づけた」ものであると述べており、また、「プリミティブ・フューチャー」の中で藤本が示している影響を受けた建築のダイヤグラムの中で円形の構造を持っているのはコロッセオのみであることからも、大屋根リングに藤本の建築の原型としてのコロッセオが表れていると分析している[35]。一方で、大屋根リングの建築費や建築の構造に関する論争が発生している中でも、藤本が自身の建築の思想を語ろうとしない姿勢について、建築家自身が設計の意図について自己表明するべきであるとしている[35]

ギャラリー

脚注

参考文献

外部リンク

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