帝王韻紀
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編纂と出版
『帝王韻紀』の編纂目的は、高麗と西土(=中国)との地理的・文化的な違いの強調により、高麗人は漢族と区別される独自性・自主性・主体性を持つ優秀な文化民族であると国民各自に自覚させ、モンゴル(モンゴル族)の政治的干渉に対抗する精神的支柱とするためのものであったとされている。
この本は、中国史と韓国史を各巻に分離して、朝鮮民族が檀君を始祖とする単一民族であることを示し、当時まで神話として伝承されていた檀君神話を韓国史の体系に編入した。また渤海を高句麗の継承国として初めて認め、満洲一帯も高麗の領域であったことを歴史的に考証することで、領土回復の意志を暗示している。
巻末には、鄭玿(정소)が書いた跋と後題があり[3]、それによれば、上巻は李承休が生存していた元貞年間(1295年 - 1296年)に晋州で最初に刊行されたことが分かる。
現存する本
現存する『帝王韻紀』としては、次の3件が知られており、いずれも大韓民国指定宝物となっている(なお、文化財指定番号は2021年11月19日文化財庁告示により廃止されている)[3]。
- 郭英大所蔵本:宝物第418号
- 1965年に宝物に指定された、現存本でも最古とされる本であり、李承休が忠烈王に奉じるために書いた「進帝王韻紀」がある。
- 東国大学校所蔵本:宝物第895号
- 1986年に宝物に指定された。
- 三省出版博物館所蔵本:宝物第1091号
- 1991年に宝物に指定された。
東国大学校本
この本は高麗の恭愍王9年(1360年)に慶州で重刊として印刷されたものと考えられており、高麗末から朝鮮初期に破砕されたとされる。
この本は巻上の第18章、巻下の第6・7・8・16章が欠落しており、その部分を筆書きで補っているが、郭英大(곽영대)所蔵本(宝第418号)と印刷状態が完全に一致し、跋文と後題がすべて揃っており、書誌学的に非常に貴重な資料と評価されている。