暁の追跡
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カメラを交番の中に据え、ドキュメンタリー・タッチで警官の活躍を描いたもの。のちの様式美に至る様々な手法を模索していた時代の佳作。東宝争議で東宝を退社し、個人のプロダクションを作っていた田中友幸が、国家地方警察の警視長をしていた中川淳の著作を原作に新東宝に持ち込んだ企画で、警視庁が製作に全面協力している。警察のPR要素のある企画だったが、警邏官が主役の映画が撮りたいと考えていた監督の市川崑は、特に抵抗を感じることなく製作に入り、脚本は担当した新藤兼人に一任をして撮影に専念した。映画監督として先輩でもある新藤から「ドキュメンタリー・タッチで撮った方が良い」との助言を受け、市川も警官の生活を克明に描きたいという考えからオールロケーションを敢行した。当時、新橋駅の表正面の広場にあった交番で主だった撮影は行われ、警視庁の後援もあって撮影は滞りなく行われたが、撮影中、通行人が出演者の池部良や水島道太郎を本物の警官と勘違いして道案内や揉め事の仲裁を求めてくることもあったという。終盤の警官隊と密輸団との銃撃戦が行われる廃墟は、当時の築地周辺に残されていた空襲跡地の倉庫街で行われ、本物の警察官が多数出演している[2]。