未来 (小説)
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| 未来 | ||
|---|---|---|
| 著者 | 湊かなえ | |
| 発行日 | 2018年5月22日 | |
| 発行元 | 双葉社 | |
| ジャンル | 小説 | |
| 国 |
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| 言語 | 日本語 | |
| 形態 |
四六判 文庫版 | |
| ページ数 |
440(四六判) 488(文庫版) | |
| コード |
ISBN 978-4-575-24097-9 ISBN 978-4-575-52487-1(文庫判) | |
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『未来』(みらい)は、湊かなえによる小説[1]。2018年5月に双葉社から刊行され[1]、2021年8月に同社から双葉文庫化された[2]。
「20年後の私」からの手紙が届いたことをきっかけに、小学生・章子が児童虐待や学校でのいじめなど過酷な状況から抜け出そうとする姿を中心として、章子たちに手を差し伸べようとする担任教師・真唯子やクラスメイト・亜里沙、章子の父・良太の視点で描く状況も交えて、周囲の大人たちの壮絶な過去や葛藤が交錯する社会派ミステリーが描かれる。
2026年5月に映画版が公開予定[3]。
登場人物
主要人物
- 佐伯章子(さえき あきこ)
- 小学4年生→中学2年生。10歳のある日、「20年後の私」30歳の章子からの手紙が届く。小学校4年の時の担任が真唯子だった。父・良太に容貌が似ており、優しく聡明[4]。卒業式では卒業生代表となっている[5]。
- 名前は父が文章の「章」から名付けた[注 1]。実里のいじめにより不登校になっていたが、亜里沙に助けられ学校に行くようになる。母・文乃の再婚(事実婚)相手の早坂誠司から酷い虐待を受ける。
- 篠宮真唯子(しのみや まいこ)
- 20代[注 2]。清瀬第二小学校の教師。章子が小学校4年の時の担任。複雑な家庭環境で育ちながらも[注 3]、祖母の望みでもあった教師になっている。
- クラスの児童・実里の母親が真唯子が過去にアダルト映像[注 4]に出演していたことを突き止めて[注 5]、真唯子に退職を要求し、校長、教頭、学年主任を交えての事情聴取が行われ、学校を去ることになる。
- 須山亜里沙(すやま ありさ)
- 章子のクラスメイト。小学校3年の時、章子と隣の班だった。章子とはお互いに苦手なタイプだったが、後に唯一の親友となる。県営住宅に住んでいる。
- 父の暴力の中でも笑顔を絶やさなかった優しい母が病死した後は、父からの暴力を受けるが、担任の林の家庭訪問以後、亜里沙への暴力は一旦止む[10]。
- 樋口良太(ひぐち りょうた)/ 佐伯良太(さえき りょうた)
- 章子の父。結婚後は佐伯をずっと名乗っていた[注 6]。神倉学園高校2年の時に親友を亡くしている。地元の県職員採用試験にも合格していたが、それも捨てて今住んでいる町で新しい職に就いた[12]。
- 章子が小学校4年の時に胃がんで他界している。親の反対を押し切って結婚したこともあり実家とは交流を絶っていた。
章子の関係者
- 佐伯文乃(さえき あやの)
- 章子の母。30歳[注 2]。細面の美人で父親似の章子には似ていない。子供の時の辛い経験のために「人形」のように心を硬くする時があり、椅子に座ったまま一日ぼんやりとしている。文乃の亡くなった兄と良太は親友だった。
- 章子が祖母の家から帰ってきた時期にハローワークに紹介してもらった隣町の観光ホテルで働き始める。
- 樋口絹代(ひぐち きぬよ)
- 良太の母親。章子の祖母。良太に線香を上げに来て、良太に容貌や聡明なところなど似ている章子を引き取りたいと突然申し出る[注 7]。
- 早坂誠司(はやさか せいじ)
- 文乃の恋人。ほどなく事実婚状態になる[注 8]。章子曰く背が高くハンサム。文乃の勤務するホテルで副料理長をしていた。パリの一流レストラン「ガルニエ」で働いていたこともある。
- 文乃が受け取った良太の保険金で店舗を購入してフランス料理店「HAYASAKA」を開業し[15]、初めは文乃と章子に対して優しかったが、料理店の経営が傾き、閉店に追い込まれると章子に対する虐待も酷くなり、文乃には売春を強要するようになる[16]。
- 猪川(いのかわ)
- 高級ホテルチェーン「いのや」のオーナー。「HAYASAKA」の常連客だった。章子を厨房で怒鳴りつける早坂に注意する[17]。
- 猪川は早坂に海外初進出となるシンガポール店の料理長を任せようとしていたが、このことでこの話はなくなり、以後早坂の章子に対する苛烈な暴行が始まる[18]。
真唯子の関係者
- 篠宮君江(しのみや きみえ)
- 真唯子の祖母。町内の素麺専門の製麺所に30年以上勤務していた[注 9]。60代前半、真唯子が大学2年の時に亡くなっている。
- 大学の学費として1千万円近い金額の預金[注 10]を真唯子に託している。この預金については遺言を残していたが、気付かずに母親にすべて取り上げられている[21]。
- 原田勇輝(はらだ ゆうき)
- 真唯子の恋人。大学2年の時に真唯子と知り合う。東京郊外の古い学生専用の同じアパートに住んでいた[22]。映画好きで真唯子とよく一緒に映画を観ている。
- 真唯子のことを何かと気に掛けるが、真唯子がアダルト映像に出演したことを打ち明けたことで溝ができ、やがて別れている。
- 真唯子の母
- 真唯子を捨てて家を出て行き10年以上音信不通だった。祖母が亡くなったことを聞きつけて祖母が学費として真唯子に託した銀行預金を行政書士を詐称する門脇を伴って取り上げに来る。
- 時任冴美(ときとう さえみ)
- 映像系制作会社の代表取締役。歌手のPVやカラオケのイメージ映像をメインに制作している。真唯子に声を掛けて映像作品への出演を勧め、母に預金を奪われた真唯子が学費や生活費のために出演を決めるが、実際に撮影されたのはアダルト映像だった。
亜里沙の関係者
- 須山健斗(すやま けんと)
- 亜里沙の弟。早坂から健斗を差し出せと迫られた父親にいのやホテルの会長・猪川[注 11]相手の売春をさせられ、それを苦に自宅である4階建ての県営住宅の屋上から飛び降りて自死している[24]。
- 母親
- 地元の高校を卒業後、両親の営む金属加工の会社で働いていた。怪我をして意気消沈するアルバイトの青年を励ましているうちに妊娠し結婚する[25]。
- 以後、夫からの暴力の中でも笑顔を絶やさなかったが、食道ガンが発覚してからは笑みも消えていき、亜里沙が小学3年の時亡くなっている[26]。
- 父親
- 自称東京の人気美容師。母親の働く金属加工会社でアルバイト中に友人とアクセサリーを作りたいなどと言って加工機器を操作中に誤って右手親指の先を切断する[27]。
- 亜里沙や健斗に暴力を振るい、健斗には美少年として売春までさせていた。早坂のレストラン破綻後は親は早坂と人材派遣会社を立ち上げる。
- 瑞枝(みずえ)
- 亜里沙の叔母。母の妹。
- 智恵理(ちえり)
- 高校生の亜里沙が慕っている定時制大学の先輩。章子にとってもお姉さんのような存在。亜里沙よりも2つ年上で、小学4年まで彼女と同じ県営住宅に住んでいた[28]。「竜崎(りゅうざき)[注 12]」という別人格が現れることがある。両親が寝ている時に実家に放火し、重傷を負わせる。
良太の関係者
- 森本誠一郎(もりもと せいいちろう)
- 17歳[注 2]。章子の父・良太の親友。美男子。議員である親を「悪魔」と呼びつつ、自分も真珠に売春をさせていた[30]。良太と誠一郎と真珠は家で幸せな時間を過ごしていたこともあった[31]。
- 森本真珠(もりもと まじゅ)[注 13]
- 誠一郎の妹。中学2年[注 2]。小学5年のころから議員である父親に性的暴行を受けていた[34]。母親は自分の夫の行為に心を病み睡眠薬を大量に飲み自死しており[35]、彼女は不登校となり誰にも助けを求められず心を閉ざしてしまう。
- 森本総一郞(もりもと そういちろう)
- 47歳。誠一郎と真珠の父。県議会議員。学校にも顔が利く。良太の母が講演会に入っており、息子と友人と聞き嬉しそうにしていた[36]。
- 良太が高校時代に誠一郎に頼まれ、彼の家を放火する。なぜか誠一郎も在宅で、結果として2人とも亡くなってしまうが、真珠がその罪を被る。
清瀬第二小学校・中学校
- 後藤実里(ごとう みのり)
- 章子たちのクラスメイト。小学5年の時学級委員長。誰かを傷つけなければ気が休まらないいじめの首謀者。父親の不倫に気づいており、父親と仲が良かった章子を妬んでいたこともあり、嫌がらせやいじめの対象を章子に向ける。
- 中学1年の時にクラスの女子をいじめで不登校にしており、中学2年の時には章子を生理にまつわる度を超したいじめで不登校に追い込んでいる。歩くスピーカーで周りに対する影響を何も考えず何でも言いふらす。
- 林優斗(はやし ゆうと)
- 章子が小学校5年の時の担任。大学を卒業したばかり。章子はクラスの雰囲気も良くなりそうと思っていた[37]。亜里沙からも父親の暴力に気付いて上手に父に言ってくれたと信頼・尊敬されていた[38]。
- 章子の母・文乃のことを気にかけ、何かと手助けに自宅を訪問する内に文乃に好意を持つ。このことが後に問題となり[注 14]、3学期から休職扱いとなる。やがて文乃のストーカーのようになってしまう。
- 仙道(せんどう)
- 章子が小学6年の時の担任。学年主任。正論しか言わないような人物で、実里の母親からのクレームの時も真唯子を守ることなく退職に追い込んでいる[40]。
- 塚本(つかもと)
- 章子が小学校6年の時の担任。退職前のベテラン女性教師。
- 小倉(おぐら)
- 章子が中学1年の時の担任。章子を1学期のクラス委員長に任命する。
- 大原(おおはら)
- 章子が中学2年の時の担任。章子を1学期の委員長に任命する。章子に対する実里のいじめに気づかず逆に荷担するような言動をして [注 15]、章子の不登校の原因を作っている。
- 実里の母親
- PTAの役員。実里を上回る思い通りにならないと気が済まない性格。夫に浮気をされている。
- 実里の父親
- 医師。早坂のレストランで妻と実里の3人で食事をした際にトラブルがあり、激高した早坂に不倫相手の女性(病院のナース)をこの店に連れてきたことをバラされている。
書誌情報
- 湊かなえ『未来』
- 2018年5月22日発売、双葉社(単行本)、ISBN 978-4-575-24097-9[1]
- 2021年8月5日発売、双葉文庫、ISBN 978-4-575-52487-1[2]