注意報
日本の気象庁が災害の発生に注意を呼び掛ける情報
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注意報(ちゅういほう)とは、強風、大雨、大雪、落雷・突風、著しい低温、津波などの災害が起こるおそれがある場合に、気象庁(各気象台)が注意喚起のために発表する予報である。
一般に発表される注意報のうち、気象に関するものは17種ある。氾濫、大雨、土砂災害、高潮の4種は、「レベル2大雨注意報」のように標題に該当する警戒レベルが付く。また、上位に警報、危険警報、特別警報がある。この4種の注意報は、5段階の警戒レベルで下から2番目の警戒レベル2(自らの避難行動を確認)の情報[1]で、2026年5月に再編された。
さらに強風、風雪、大雪、波浪の4種も上位に警報、特別警報がある。雷、乾燥、濃霧、霜、なだれ、低温、着雪、着氷、融雪の9種は注意報のみである[2]。
本項目では、一般利用のための注意報のほか、気象業務法が規定する注意全般、特定用途のための注意報を解説する。津波注意報の詳細はその項目を参照。
定義と区分
日本における気象業務を定める気象業務法には、気象庁が気象、地象、海象の予報や警報を行う責務を負うことが規定されており、同法と関連する規定ではその種類および、伝達や周知などについて定められている[3][4][5]。警報の定義は気象業務法に明記されているが、「注意報」は気象業務法施行令の中に”予報及び警報”の区分として「災害が起こるおそれがある場合に、その旨を注意して行う予報」と定義されている[注釈 1]。
注意報には、一般利用のための注意報[注釈 2]と特定用途(水防活動)のための注意報がある[3]。
注意報の表題のうち、上位に警報がある表題は気象業務法施行令と気象庁予報警報規定にまたがって定められ、またいくつかの注意報は実務上独立して発表せず他の注意報に含められている。一般向けの注意報は施行令に9つ定められているが、予報警報規定にはそれを組み替えた十数種類の注意報が定められ、そのうち3つは地震・火山・津波に対するものである。また予報警報規定には雷、霜等の現象名を冠した気象注意報とあり、これは具体的には気象庁の運用により定められている。従って一般利用のための気象に関する気象注意報は17種類あり、上位に警報がある表題は氾濫、大雨、土砂災害、高潮、強風、波浪、大雪、風雪の8種類、上位に警報がない表題は雷、乾燥、濃霧、霜、なだれ、低温、着雪、着氷、融雪の9種類である(2026年5月時点)[2][4][6][7]。
| 一般の利用に適合する注意報(施行令第4条)(実際に発表される警報とは異なる)[2][4] | |
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| 気象注意報 | 風雨、風雪、強風、大雨、大雪等による災害の注意喚起。実際には現象名を冠した、暴風、暴風雪、大雨、大雪の4種類および雷、霜等に区分(予報警報規定第11条)[6]。 |
| 地震動注意報 | 地震動による災害の注意喚起。発生した断層運動に限る。緊急地震速報を参照。現在の予想精度では、予報レベルと警報レベルの区別が限界であり、中間段階を画し難いため、実際には注意報相当の表題は運用されていない。 |
| 火山現象注意報 | 噴火、降灰などによる災害の注意喚起。噴火警報、噴火警戒レベル、降灰予報、火山ガス予報を参照。火山現象による災害においては、注意報に相当する程度というものを画し難いため、災害のおそれがあれば即警報となり、実際には注意報相当の表題は運用されていない。 |
| 土砂崩れ注意報 | 大雨、大雪等に伴う山崩れ、地滑り等による災害の注意喚起。実際には土砂災害注意報、なだれ注意報、融雪注意報にそれぞれ含められる。(2023年11月の法改正で地面現象注意報から名称変更) |
| 津波注意報 | 津波による災害の注意喚起。 |
| 高潮注意報 | 台風などによる海面の異常な上昇(高潮)の有無と程度に関する一般への注意喚起。 |
| 波浪注意報 | 風浪やうねりによる災害の注意喚起。 |
| 浸水注意報 | 浸水による災害の注意喚起。実際には大雨注意報、融雪注意報にそれぞれ含められる。 |
| 洪水注意報 | 洪水による災害の注意喚起。実際には、指定河川の注意事項は氾濫注意報の標題で発表され、指定河川以外の注意事項は大雨注意報に含められる。 |
落雷はときに命にかかわる事故につながるが、雷警報はない。雷雲の広がりに対してピンポイントに発生し、場所・時間・規模を精度よく予測できないことなどが理由とされる。ただし、発雷のポテンシャル(可能性の大小)の予測は可能となってきていて、活動度の強弱として地図上に示す雷ナウキャストの提供は行われている[8][9]。
なお、かつて存在した竜巻注意情報(現・「気象防災速報(竜巻注意/竜巻目撃)」)、高温注意情報(現・熱中症警戒アラート)は気象庁が出す情報だが、注意報ではなかった。
警報との区別は、災害のリスクの大きさや緊急対応の要否などによる。注意報のうち、警報と同じ現象を対象とするものは、警報の先触れとして、あるいは警報の対象となっている地域に準ずる災害の発生が予想されることについて特に注意を喚起するために、周辺地域の警報と同時かつ一体的に発表されることが多い。
気象業務法と水防法は、一級河川をはじめとした比較的大規模な河川を河川管理者(国土交通省または都道府県)が指定し、河川ごとに洪水の予報・警報を行うことを定めており[注釈 3][3][10]、指定河川洪水予報という。2026年5月に新設された氾濫注意報は、指定河川洪水予報を兼ねて、河川予報区ごとに発表される形をとる[11]。
従来、洪水注意報と洪水予報[注釈 4]は別に発表される形であり、洪水予報の氾濫注意情報が発表されると氾濫水が及ぶ想定の市町村に連動して洪水注意報が発表されていた。指定外の中小河川では、河川ごとに洪水予報を個別に発表することが難しいため大雨注意報(従来は洪水注意報だった)をもって代用されている[11]。
また、地震・火山が2007年の法改正から予報・警報の対象に加わり緊急地震速報および噴火警報が警報に位置付けられているが、注意報相当はないものとして運用されている(2022年時点)[注釈 5]。
警戒レベルにおける位置付け
5段階の警戒レベル(氾濫、大雨、土砂災害、高潮が対象)の体系では、注意報は警戒レベル2に該当し、「警戒レベル」そのものに位置付けられる[12]。「警戒レベル相当情報」である警報、危険警報、特別警報とは位置付けが異なる[13][注釈 6]。
警戒レベル2は、今後レベル3高齢者等避難やレベル4避難指示が発令される可能性があり、気象状況が悪化しつつある段階である。住民らにとっては、以下に挙げるように自らの避難行動を確認することが推奨される[12]。
- ハザードマップなどで、自宅や自分がいる場所の災害のリスクを確認する[12]。
- 避難場所やそこへの移動経路、避難のタイミング、避難指示などの情報把握の手段など、今後の避難行動を確認する[12]。
- レベル3高齢者等避難やレベル4避難指示の発令に間に合うよう、(事前に準備することが望ましいがまだ行っていない場合は)持ち出す荷物の準備を始める[12]。
- なお、親戚・知人宅やホテル・旅館などに自主避難する際の調整、屋内安全確保(避難場所に移動せず安全な自宅等に留まる)をする場合の備蓄の補充といった、時間を要する準備についてはレベル2注意報よりも前、早期注意情報(警報級の可能性、レベル1)の段階から進めておくことが望ましいとされる[12]。
特定業務・用途のための注意報の規程
一般に発表される注意報
| 現象の種類 | 早期注意情報 の有無 |
注意報等の有無と標題 | 警戒レベル | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 注意報 | 警報 | 危険警報 | 特別警報 | |||
| 大雨 | あり※1 | レベル2大雨注意報 | レベル3大雨警報 | レベル4大雨危険警報 | レベル5大雨特別警報 | 警戒レベルに 対応している |
| 土砂災害 | あり※1 | レベル2土砂災害注意報 | レベル3土砂災害警報 | レベル4土砂災害危険警報 | レベル5土砂災害特別警報 | |
| 河川氾濫 | (なし)※1 | レベル2氾濫注意報 | レベル3氾濫警報 | レベル4氾濫危険警報 | レベル5氾濫特別警報 | |
| 高潮 | あり※1 | レベル2高潮注意報 | レベル3高潮警報 | レベル4高潮危険警報 | レベル5高潮特別警報 | |
| 風 | あり | 強風注意報 | 暴風警報 | — | 暴風特別警報 | 警戒レベルに 対応していない |
| 風雪 | (なし)※2 | 風雪注意報 | 暴風雪警報 | — | 暴風雪特別警報 | |
| 大雪 | あり | 大雪注意報 | 大雪警報 | — | 大雪特別警報 | |
| 波浪 | あり | 波浪注意報 | 波浪警報 | — | 波浪特別警報 | |
| 雷 | — | 雷注意報 | — | — | — | |
| 融雪 | — | 融雪注意報 | — | — | — | |
| 濃霧 | — | 濃霧注意報 | — | — | — | |
| 乾燥 | — | 乾燥注意報 | — | — | — | |
| なだれ | — | なだれ注意報 | — | — | — | |
| 低温 | — | 低温注意報 | — | — | — | |
| 霜 | — | 霜注意報 | — | — | — | |
| 着氷 | — | 着氷注意報 | — | — | — | |
| 着雪 | — | 着雪注意報 | — | — | — | |
| 市町村ごと[注釈 7]に発表される。氾濫の注意報等だけは、河川ごとに発表される。 ※1 大雨・土砂災害・高潮のいずれかの標題の早期注意情報が発表されているときに警戒レベル1。氾濫の標題の早期注意情報はない。 ※2 風について暴風の早期注意情報に含められる。 | ||||||
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| 気象災害 | |
| レベル2大雨注意報 | 大雨による、低い土地の浸水・冠水、下水道の溢水などの災害の注意喚起。河川の増水・氾濫による重大な洪水災害の最大級の警告のうち、市町村[注釈 7]内にある洪水予報指定外の中小河川を包括的に対象とした注意喚起事項(従来の洪水注意報の一部)を含む。 警戒レベル2の情報[1]。 |
| レベル2土砂災害注意報 | 大雨による、がけ崩れ、土石流、地滑りなどの土砂災害の注意喚起。直近の雨が地中に残り土砂災害の危険性が続いているときなどは雨がやんでもしばらく解除されない[16]。 警戒レベル2の情報[1]。 |
| レベル2氾濫注意報 | 大雨や長期間の雨、融雪による、河川の増水、堤防やダムが破堤損壊・溢水(氾濫)し低い土地にあふれ出す洪水災害の注意喚起。洪水予報指定がなされている比較的大きな河川に対して、河川ごとに発表される。 警戒レベル2の情報[1]。 |
| レベル2高潮注意報 | 台風や低気圧などによる海面水位の異常な上昇(高潮や異常潮位)が引き起こす、海岸付近の低い土地の浸水災害の注意喚起。 警戒レベル2の情報[1]。 |
| 強風注意報 | 強風による災害の注意喚起。風速10m/s前後を基準としている地域が多い[17]。 |
| 風雪注意報 | 雪を伴った強風による災害の注意喚起。雪を伴うことによる視程障害への注意喚起も内容に含まれる。風速10m/s前後を基準としている地域が多い[17]。 ※1 |
| 大雪注意報 | 大雪による建物被害や交通障害などの災害の注意喚起。 |
| 波浪注意報 | 風浪やうねりなどの高い波による災害の注意喚起。 |
| 濃霧注意報 | 濃い霧による、視界が悪化し交通機関に著しい影響が生じるなどの災害の注意喚起。 |
| 雷注意報 | 積乱雲の発達に伴い発生する落雷および、急な強い雨、これに伴うひょうや突風などによる災害の注意喚起。なお雷注意報発表中に、竜巻やダウンバーストなどの突風の発生が予想される場合は、「気象防災速報(竜巻注意/竜巻目撃)」が発表される[18]。 |
| 乾燥注意報 | 空気の湿度が低下した乾燥状態における、火災などの災害の注意喚起。 |
| なだれ注意報 | 雪崩による災害の注意喚起。※2 |
| 着氷注意報 | 著しい着氷が生じることによる、通信線、送電線、船体への被害などの災害の注意喚起。北海道では船体への着氷を対象とする場合が多い。 |
| 着雪注意報 | 著しい着雪が生じることによる、通信線、送電線、船体への被害などの災害の注意喚起。 |
| 霜注意報 | 霜による、農作物への著しい被害などの災害の注意喚起。春季の晩霜・秋季の早霜を対象とし、恒常的に霜が降りる冬季には発表されない。 |
| 低温注意報 | 低温による、農作物への著しい被害や、冬季の水道管凍結・破裂による災害の注意喚起。 |
| 融雪注意報 | 融雪による浸水や土砂災害などの災害の注意喚起。 |
| ※1 風雪注意報には強風注意報の注意事項が含まれる。[注釈 8] ※2 「なだれ注意報」は雪崩と漢字表記されることもあるが、ひらがなが正式な表記。 | |
対象区域と発表機関
注意報は、警報と同様、原則として市町村単位で発表されている。ただし、東京23区は特別区ごとであるほか、一部の地域では1つの市町村を分割して区域が設定されている[7][20]。
原則として市町村単位となったのは2010年5月からである[21][22]。予報区としては、府県予報区やそれを分割した一次・二次細分区域が定められていて、放送などで伝えるときは状況に応じて予報区の地域名(例えば「23区西部」「多摩北部」など)も使われる[注釈 9][注釈 10]。
なお、東京都小笠原村は長らく対象ではなかったが、人が居住している父島・母島とその周辺海域に限り2008年3月26日から注意報・警報の発表が開始されている[23][24]。
注意報・警報は、担当気象官署である地方気象台(一部は測候所が分担)・管区気象台が発表する[注釈 11][6]。
ただし氾濫注意報は、河川予報区単位で発表される。河川予報区は、大河川の流域を一括、または上流・下流などいくつかに分割して設定されている[7][25]。氾濫注意報は共同発表であり、気象台等と、河川管理を担当する国土交通省または都道府県が連名で発表する[7][11]。
基準
具体的には、直近の降水量を元に算出される指数、単位時間当たりの降水量、風速、河川の水位などの数値の基準が定められている[注釈 12]。地理的な特性、過去の災害事例における観測値などが考慮され、地域により値には差がある[17][22]。
注意報では、概ね予想で基準を超過する見込みのとき発表され、土砂災害や高潮では超過する十数時間から数時間前を目途に発表される。実況で超過したときに発表されることもある。氾濫、大雨、土砂災害、高潮は、市町村等[注釈 7]ごとに異なる値の指数・雨量や潮位が細かく設定されている[17][11][26][27]。
地理的な特性、過去の災害事例や観測値などが考慮され、地域により差がある。概ね類似した基準だが、大雨や洪水、高潮などは市町村等[注釈 7]ごとに土壌雨量指数や潮位などが細かく設定されている。着氷、着雪、霜、低温などは主に府県予報区ごとに異なる。過去に何度か全面的に改正されており、2010年5月からは大雨注意報で土壌雨量指数、洪水注意報で流域雨量指数という複合指標をそれぞれ導入している[22][17]。
標題ごとに基準は過去に何度か全面的に改正されている。2010年5月からは、大雨注意報の土砂災害基準で24時間雨量に代えて土壌雨量指数、洪水注意報で流域雨量指数、2017年からは大雨注意報の浸水害基準で1時間・3時間雨量に代えて表面雨量指数という複合指標がそれぞれ導入された。また同時期に危険度分布(キキクル)の提供も開始された[22][28]。
氾濫、大雨、土砂災害、高潮の4種は、2026年5月の再編後、以下のようになっている。
- 大雨 : 3つの氾濫型ごとに指数の基準を定める。氾濫型の内水氾濫は表面-、湛水型の内水氾濫は表面-と流域-の複合基準、指定外河川の外水氾濫は流域-であり、3つのいずれかを満たした場合にその市町村にレベル2大雨注意報を発表する。再編後、流域雨量指数の併用を開始した[11]。
- 氾濫 : 河川水位を基準とする。実況で氾濫注意水位に到達し、さらに水位が上昇すると見込まれるときにレベル2氾濫注意報を発表する。指定河川洪水予報の指標を引き続き使用する[11][29]。
- 土砂災害 : 土壌雨量指数と60分雨量の基準を基準とする。避難行動等のリードタイムを確保するため、レベル2土砂災害注意報は基準に到達すると予想される時刻の6時間前に発表することを目標としている。再編後、旧・土砂災害警戒情報で用いていた土壌雨量指数と60分雨量の併用に統一されたが、災害の捕捉率や発表頻度が従前の土砂災害基準による大雨注意報と同等になるよう調整された[26]。
- 高潮 : レベル2高潮注意報では、レベル4高潮危険警報の潮位基準を使う。危険警報の潮位に到達すると予想される場合のみ、避難行動等のリードタイムを確保するため、基準に到達すると予想される時刻の18時間前までに発表する。そして、警報は12時間前、危険警報は6時間前と段階を踏むこととなる。再編後、注意報・警報の潮位基準は廃止され、レベル4危険警報の前段階として一定時間前に発表されるものに位置付けが変わった[27]。
なお、直前に地震(おおむね震度5強以上)および豪雨災害[注釈 13]があったなどの状況に応じて、基準が引き下げられる場合がある。
伝達
警報については気象業務法第15条により関係機関への通知が義務付けられているが、注意報は規定されていない[3]。ただし、警報に準じて扱われる。
注意報は警報とは異なり、気象庁以外の者が行うことを気象業務法は禁止していない[3]ものの、防災上重要であることから、予報を認可されている許可事業者であってもそれと混同するような名称の情報を発表することはふさわしくないと考えられている[31]。
注意報の補足
注意報を発表中あるいは発表前の段階から、警報を発表するような気象が予想される場合には 早期注意情報(警報級の可能性)が発表される。発表の対象期間は5日後まで[14]。タイムラインも参照。
翌日までの雨・雪・風・波などの強さの推移の見通しは、「時系列情報(明日までの警報等の見通し)」として発表される。毎日4回定時に、また変化があったときは臨時に更新される。雨量・風速・波高など現象の強さが 注意報級などのレベルで表現される。ただし、土砂災害・高潮の注意報はリードタイムをもって発表されるため、注意報を発表する可能性がある時間帯が示される[14][32]。乾燥、なだれ、低温も注意報級の見通しが示される(2026年5月時点)[32]。
注意報を補足する気象解説情報が発表されることがある。台風や低気圧などの接近や、大気の不安定な状態が予想されることなどを前もって知らせたり、注意報等の発表中に現象の経過と予想、防災上の留意点などを解説したりする[30][14]。また、従前は高潮注意報が発表されていた大潮、異常潮位、副振動への注意喚起は、2026年5月以降、その役割が気象解説情報へと移された[27][30]。
雷注意報を補足する形で発表される情報に「気象防災速報(竜巻注意)」「気象防災速報(竜巻目撃)」がある。竜巻やダウンバーストなどの突風に注意を呼びかけるもので、有効期間は発表から約1時間であり、府県を数個に分ける一次細分区域単位で発表される。この発表基準にも使われている竜巻発生確度の地図上の分布は「竜巻ナウキャスト」で確認できる[18]。
警報と同様に危険度分布(キキクル)が利用でき、5段階のうち下から2段階目の黄色が「注意」(警戒レベル2)相当の分布を示す[14][33]。
氾濫、大雨、土砂災害については、警報と同様、ホームページ等で地図上に危険度を5段階で示す危険度分布(キキクル)が提供されており、1km単位の細かい分布を確認できる。略称は、氾濫(洪水災害)が「洪水キキクル」、大雨(浸水害)が「浸水キキクル」、土砂災害が「土砂キキクル」[14]。5段階のうち下から2段階目の黄色が 「注意」(警戒レベル2相当)[34][35]。
歴史
1883年(明治16年)から日本の気象当局(当時は中央気象台)が発表していた警報類は「暴風警報」のみであったが、1935年(昭和10年)7月15日からその下位に「気象特報」を新設、それまでの「暴風警報」は「特に重大な災害のとき」に発表することとされ、2段階となった。発表回数が増えると効果が低くなってしまうことが理由で、背景には前年9月の室戸台風により甚大な被害が発生したことがあった。太平洋戦争時の気象管制を経て、1952年(昭和27年)の気象業務法施行後に「気象特報」は現在の「注意報」に改称され、運輸省告示の気象庁予報警報規程にその種類が定められた[36][37][38][注釈 14]。
- 1935年(昭和10年)7月15日 - 暴風警報の下位に気象特報を設ける。気象特報 は「風雨、風雪、大雨、大雪、その他特に注意を要する気象上の異常現象の起こらんとするとき」[38][42][注釈 15]。
- 1950年(昭和25年)7月 - 運輸省告示の気象予報規程が制定される。この規定とその実施要領により、気象特報の種類として風雨、風雪、強風、大雨、大雪のほか、濃霧、高潮、霜、雷雨、なだれ、異常乾燥、気温の急変、着氷、着雪などが定められる[41][43][44]。
- 1952年(昭和27年)12月27日 - 気象業務法施行。翌1953年に運輸省告示の気象庁予報警報規程を制定。注意報は「災害の起こるおそれがある旨を注意して行う予報」と規定された[38][41]。
- 1988年(昭和63年)4月1日 - 雨を伴う可能性のある強風に対して発表されていた風雨注意報を廃止(暴風雨警報も廃止)し、既存の強風注意報と大雨注意報に分離。また、冬の雷雪にも違和感がないよう、雷雨注意報を雷注意報に、限られた極端な現象を意味する「異常」が実態とかけ離れていることから、異常低温注意報を低温注意報に、異常乾燥注意報を乾燥注意報にそれぞれ名称変更[44][45]。
- 2010年(平成22年)5月 - 注意報・警報の発表単位を市町村ごとに細分化[46]。大雨注意報・警報の標題に「土砂災害」「浸水害」を付記する運用変更[47]。大雨注意報・警報の土砂災害基準を土壌雨量指数に一本化。洪水注意報・警報の基準を流域雨量指数に変更[48]。
2026年の再編
2026年5月29日には、大雨等の注意報・警報類の再編と基準の一部変更が行われ、同時にいくつかの情報も改編された[49][注釈 16]。
大雨注意報(標題に浸水害・土砂災害のいずれかまたは両方を付記していた)の土砂災害の部分が土砂災害注意報に分離、洪水注意報は氾濫注意報に名称変更され、大雨、土砂災害、氾濫の3種類に再編された。これに高潮を加えた4種の警報は、標題に警戒レベルを冠する形になり、早期注意情報・注意報・警報・危険警報・特別警報の5段階に揃えられた[11][26][27][7]。
指定河川・指定外河川の氾濫への注意喚起を兼ねて市町村ごとに発表されていた洪水注意報は廃止され、指定河川ごとに発表される氾濫注意報に移行し、指定河川洪水予報を兼ねる形になった。指定外の中小河川の氾濫への注意喚起は大雨注意報に移行した[11]。
また、高潮だけ警戒レベルが異なっていた状態、すなわち、警報に切り替える可能性のある高潮注意報は警戒レベル3相当、それ以外の高潮注意報は警戒レベル2というねじれた位置付けは、注意報・警報基準の変更と同時に解消された[27]。
警戒レベルにあたる4種以外の注意報は、従来と変わらない標題で継続されている[7]。