地方気象台

From Wikipedia, the free encyclopedia

地方気象台(ちほうきしょうだい)は、気象台の一種で、気象庁地方支分部局の一つ[1]北海道に6か所、沖縄県に3か所、そのほか管区気象台がない41府県にそれぞれ1か所ずつ、合計50か所置かれている[2][3]。その府県や担当地域の気象の予報、警報観測火山の観測などを行う[4]

気象台の位置

明治の近代気象業務開始から第二次世界大戦前まで、現在の気象台のほとんどは測候所として設立され、業務が拡充されてきた。運営していたのは府県や民間で、1937年(昭和12年)から1939年にかけて国営に移管された[4]

戦後、1956年(昭和31年)7月に中央気象台が気象庁となり、1957年9月の組織改正によって、気象庁が所管する地方気象台は44か所となった。一部の県・地域では地方気象台に代えて4か所の海洋気象台がその業務も担当した[5]

戦後米軍統治下に入った沖縄では、1965年(昭和40年)8月に3拠点が気象台となり、1972年(昭和47年)5月の本土復帰により気象庁の所管に戻ると、3つの気象台は地方気象台に改称された[6][注釈 1]。これにより地方気象台は47か所となった。

2013年(平成25年)10月、海洋気象台4か所のうち3か所が地方気象台に改められ、地方気象台は50か所となった[2][7]

  • 1939年(昭和14年)10月31日 - 名古屋、金沢、米子、沖縄の4つの中央気象台支台と仙台測候所が地方気象台に改称[8]
  • 1943年(昭和18年)11月15日 - 金沢、米子の2つの地方気象台が測候所に、新潟、広島の2つの測候所が地方気象台に改称[9]
  • 1945年(昭和20年)8月11日 - 仙台、名古屋、広島の3つの地方気象台、高松測候所が管区気象台に改称[10]
  • 1946年(昭和21年)6月27日 - 新潟地方気象台が[注釈 2]管区気象台に改称[11]
  • 1949年(昭和24年)11月1日 - 新潟、名古屋、広島、高松の4つの管区気象台が再び地方気象台に改称[12]
  • 1952年(昭和27年)4月1日 - 鹿児島測候所が地方気象台に改称[5]
  • 1957年(昭和32年)9月1日 - 旭川、室蘭、釧路、網走、稚内、青森、盛岡、秋田、山形、福島、水戸、宇都宮、前橋、熊谷、銚子、横浜、甲府、長野、富山、金沢、福井、岐阜、静岡、津、彦根、京都、奈良、和歌山、鳥取、松江、岡山、徳島、松山、高知、下関、佐賀、熊本、大分、宮崎の39の測候所が地方気象台に改称[5]
  • 1972年(昭和47年)5月15日 - 沖縄の本土復帰に伴い、八重山、宮古島、南大東島の3つの気象台が地方気象台に改称(八重山は石垣島に改称)[13]
  • 2013年(平成25年)10月1日 - 海洋気象台の廃止に伴い、海洋気象業務が管区気象台に移管され、海洋以外の予報・警報等の業務を継承して改称。函館、神戸、長崎の3か所が地方気象台となる[注釈 3][14]

設置都市

各都道府県に管区気象台(沖縄気象台を含む)または地方気象台のどちらかが1つ以上配置されている。管轄する面積が広大な北海道には6つの地方気象台を含む7官署、また島嶼部が多い沖縄県では沖縄県には3つの地方気象台を含む4官署が置かれている[2][3]。2013年まで[注釈 4]は、京都府についても舞鶴海洋気象台と京都地方気象台の2官署が置かれ、舞鶴が分担気象官署として一部の予報区の警報類の発表を担っていたが、廃止となった[3][14][15]

また、多くの府県の地方気象台は県庁所在地に設置されているものの、千葉県は銚子市、埼玉県は熊谷市、滋賀県は彦根市、山口県は下関市と、この4県では県庁所在地以外に置かれている[4][16]

銚子の気象台は、漁業者の協力を得て海運業者が1886年(明治19年)に設立した私立の測候所が前身である[16][17]。下関は内務省地理局が1883年(明治16年)に設置した国営(5年後に県営に移管)の測候所が前身で、これも海運の要衝に立地する[16][17]

なお、富山県でもはじめ海運業者が伏木(現・高岡市)に測候所を設け、後発の富山のほうが地方気象台へ移行した[17][5][18]。宮城県でもはじめ築港事業が行われた野蒜、数年後移転して石巻に測候所が置かれたが、後発の仙台が1939年には仙台地方気象台(後に管区気象台)となった[19]

彦根は、県域の中央という地理的配置や、琵琶湖が気象に与える影響を観測しやすい点があるとも推察されている[16]。関連して、各地の測候所の基準として「管轄の全境界までの距離ができるだけ均等になるような場所がふさわしい」という旨の1909年(明治42年)文部省発行の文書も残っている[20]。熊谷は、当初の勅令で埼玉県の測候所は浦和に置くとされたが変更された。そのはっきりした理由は分かっていないが、養蚕の拠点であったためとも推察されている[16]

各種観測の無人化と組織再編、防災対応ニーズの拡大などで、気象庁は自治体や関係機関などと連携する地域防災支援の強化を進めている。また、通信技術が向上し、観測に適した立地を重視する必要が薄まったとの見方もある。気象庁内では、各県の災害対策本部が置かれる県庁へのアクセスを重視し、中長期的には地方気象台を県庁所在地へ移転させる検討をしていることが2025年5月に報道された[16][21]

業務

気象官署として人員が配置され、それぞれ受け持ちの府県予報区を対象に、防災情報である注意報警報の発表、天気予報の発表、気象・地震の観測を行う[4]

新潟、名古屋、広島、高松、鹿児島の5つの地方気象台は、管区気象台とともに全国を分担する予報中枢官署であり、その地方の気象の監視・解析を担う。各気象台から情報を集め、気象現象の今後の見通し(シナリオ)を立てた上で、予報の決定や天気図の作成をしたり、指示報などの形で各気象台に対してアドバイスや指示を行う[4][22][23]

また、現在帯広・名瀬の2か所にある測候所は分担気象官署で、気象台管轄の一部の警報類の発表を担っており[15]、気象台はそれを監理(バックアップ)する。

なおかつては、気象台が県庁所在地にない県のうち、千葉市千葉県)と山口市山口県)は測候所を通じて、浦和市(当時)は熊谷地方気象台の連絡事務所を埼玉県庁内に設置して、それぞれ情報伝達を行っていた。ただし、大津市には測候所も連絡事務所も置かれていなかった[注釈 5][25]

組織

地方気象台の組織は基本的に、法律の国土交通省設置法、政令の国土交通省組織令および省令の気象庁組織規則が階層的に規定しており、以下のようになっている。

  • 地方気象台
    • 台長
    • 次長(南大東島地方気象台を除く。)(省令第121条第1項)
    • 広域防災管理官(新潟、名古屋、広島及び高松地方気象台に限る。)(省令第121条の2第1項)
    • 気象防災情報調整官(新潟、名古屋、広島、高松及び鹿児島地方気象台に限る。)(省令第121条の3第1項)
    • 地震津波火山防災情報調整官(新潟、名古屋、広島、高松及び鹿児島地方気象台に限る。)(省令第121条の4第1項)
    • 業務・危機管理官
      • (業務・危機管理グループ)
    • 防災管理官
      • (防災グループ)
    • 観測予報管理官
      • (観測予報グループ)

地方気象台一覧と管轄区域

統括する管区気象台
または沖縄気象台
地方予報区 地方気象台
名称所在都市管轄する府県予報区
札幌管区気象台北海道地方 (なし)札幌市石狩空知後志地方北海道
函館地方気象台函館市渡島檜山地方(北海道)
旭川地方気象台旭川市上川留萌地方(北海道)
室蘭地方気象台室蘭市胆振日高地方(北海道)
釧路地方気象台釧路市釧路根室十勝地方(北海道)
網走地方気象台網走市網走・北見・紋別地方(北海道)
稚内地方気象台稚内市宗谷地方(北海道)
仙台管区気象台東北地方 (なし)仙台市宮城県
青森地方気象台青森市青森県
盛岡地方気象台盛岡市岩手県
秋田地方気象台秋田市秋田県
山形地方気象台山形市山形県
福島地方気象台福島市福島県
東京管区気象台関東甲信地方 (なし)清瀬市東京都
水戸地方気象台水戸市茨城県
宇都宮地方気象台宇都宮市栃木県
前橋地方気象台前橋市群馬県
熊谷地方気象台熊谷市埼玉県
銚子地方気象台銚子市千葉県
横浜地方気象台横浜市神奈川県
甲府地方気象台甲府市山梨県
長野地方気象台長野市長野県
北陸地方 新潟地方気象台新潟市新潟県
富山地方気象台富山市富山県
金沢地方気象台金沢市石川県
福井地方気象台福井市福井県
東海地方 名古屋地方気象台名古屋市愛知県
岐阜地方気象台岐阜市岐阜県
静岡地方気象台静岡市静岡県
津地方気象台津市三重県
大阪管区気象台近畿地方 (なし)大阪市大阪府
彦根地方気象台彦根市滋賀県
京都地方気象台京都市京都府
神戸地方気象台神戸市兵庫県
奈良地方気象台奈良市奈良県
和歌山地方気象台和歌山市和歌山県
中国地方 広島地方気象台広島市広島県
鳥取地方気象台鳥取市鳥取県
松江地方気象台松江市島根県
岡山地方気象台岡山市岡山県
四国地方 高松地方気象台高松市香川県
徳島地方気象台徳島市徳島県
松山地方気象台松山市愛媛県
高知地方気象台高知市高知県
福岡管区気象台九州南部・奄美地方 (なし)福岡市福岡県
下関地方気象台下関市山口県
佐賀地方気象台佐賀市佐賀県
長崎地方気象台長崎市長崎県
熊本地方気象台熊本市熊本県
大分地方気象台大分市大分県
九州南部・奄美地方 鹿児島地方気象台鹿児島市鹿児島県
宮崎地方気象台宮崎市宮崎県
沖縄気象台沖縄地方 (なし)那覇市沖縄本島地方(沖縄県
宮古島地方気象台宮古島市大東島地方(沖縄県)
石垣島地方気象台石垣市宮古島地方(沖縄県)
南大東島地方気象台島尻郡南大東村八重山地方(沖縄県)
出典:[2][26][27][28]
地方気象台がない地方予報区の行には、予報区を直接担当している管区気象台の所在地を記載している。
札幌、仙台、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、沖縄の10気象台および気象庁本庁は地方予報中枢官署。

画像一覧

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI