自重トレーニング

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An athlete doing planche
プランシェ英語版

自重トレーニング(じじゅう-、英:Bodyweight exercise)、自重運動(じじゅううんどう)またはキャリステニクス(英:Calisthenics)は、個人の体重を抵抗として用い、器具をほとんど、あるいは全く使用せずに多関節の複合運動を行う筋力トレーニング[1]

自重トレーニングは、個人の体重を抵抗として用いる筋力トレーニングの一種[2]で、筋力・瞬発力・持久力・速度・柔軟性・筋肉や関節の協調性・バランスといった多様な運動能力を高めることができる[3]。特徴として、四肢の長さや筋腱の付着部位といった個々人の身体的特性に自然に適合する[4]ため、さまざまな体格や年齢層に運動を個別化することができ、運動への取り組みや継続を容易にすることが挙げられる[5]

自重トレーニングは閉鎖運動英語版を基本とし、固定された身体部位に対して抵抗が相対的に移動しつつ、複数の関節が同時に関与して機能的で効率的な運動様式が促進され、全身の筋力、安定性、協調性が強化される[6]。器具使用を最小化することによる汎用性の高さから、さまざまな環境における筋力トレーニングの選択肢として広く普及している[7]

この種の筋力トレーニングは、レクリエーション層からプロのアスリートに至るまで普及が進んでおり、押す・引く・しゃがむ・曲げる・ひねる・バランスを取るといった基本的な運動能力を用いる[3]腕立て伏せ懸垂上体起こしなどは最も一般的な自重運動に数えられる[8]

高齢者における自重運動

自重スクワットを反復して実施している様子。直立姿勢を保ち、下肢(大腿四頭筋ハムストリング殿筋)を主として動員し、適切なスクワット動作を行っている。自重スクワットは、狭い空間で器具を用いずに実施できる。しゃがみ込みから、両腕を体側へ戻しながら直立位へ復帰する。スクワットの深さは体力や習熟度に応じて浅く(ハーフ、クォーター)調整できる。可動域の大きさから、スクワットは筋力および筋持久力の向上に極めて有効な運動と見なされる[9]

多くの自重運動は器具を必要としないが、一部の種目では器具を用いる場合がある。その際も、タオルカールに用いる浴用タオルなど家庭用品で代替できることが多く、懸垂用にはなんらかの水平のバーを利用するなど即席の代用品を工夫できる。したがって、旅行休暇でジムや専門器具へのアクセスがない場合でも、自重運動は利便性が高い[10]。さらに、自重トレーニングは費用を要しないという利点がある[11]

一部の自重運動は若年者のみならず高齢者にも有益であることが示されている[12]。高齢者においては、筋肉量、可動性、骨密度の向上、抑うつの軽減、睡眠習慣の改善といった効果が報告されている[13][14]。また、認知機能の低下を緩和または予防し得るとの見解もある[15]。高齢者でみられる転倒リスクの上昇は、自重トレーニングによって軽減され得る。とりわけスクワットランジ踏み台昇降など下肢および腹部に焦点を当てる運動は、脚部と体幹の筋力を高め、結果として転倒リスクの低減に資する[16]。自重運動は日常生活動作を模した多方向の運動を提供するため、ウェイトマシン英語版の使用よりも好ましい場合がある[17]

トレーニング方法

自重トレーニングでは、筋肥大英語版(筋量増加)、筋力、持久力など、複数の体力要素の向上を目的として用いることができる[18]。目標に応じて方法は異なり、筋肥大を目指す場合は時間とともに「総負荷量」を増やし、筋力向上を目指す場合は運動強度を高め、持久力向上には休息時間を段階的に短縮していく[19]。また、骨密度の向上、体幹コントロールの改善、こわばりの軽減などにも資するが、用途はこれらに限定されない[20]

一般的な種目

スクワット。しゃがみ込んだ後、両手を体側に戻しながら立ち上がる。
懸垂は代表的な自重運動である。
倒立習得のためのウォールウォーク練習。
メディシンボール上でのプランク。

腕立て伏せ

うつ伏せで床に向かい、手掌を肩の下に置き、つま先を立てる。頭からかかとまで一直線を保ったまま、上体を腕で押し上げ、高位では肘をほぼ伸展、下位では床に休まず肘をほぼ屈曲させる。主に胸筋、三角筋、上腕三頭筋を鍛える。容易な変法として、壁に手をついて腕を曲げ伸ばしする方法がある。

起き上がり運動

仰臥位で膝を曲げ、体幹を屈曲して頭部と胴体を脚側へ近づけ、元の位置へ戻る。床への昇降が難しい人向けには、軽く膝を曲げた立位で上体をやや前屈し、再び起き上がることで類似の可動域を得られる。

クランチ

腹部の運動で、腹部の引き締めや、いわゆる「シックスパック」の形成および明瞭化に資する。

スクワット

足幅を肩幅程度に開いて立ち、大腿が床と平行になるまでしゃがみ、同時に腕を前方へ上げる。その後、腕を体側へ戻しながら立位へ復帰する。主に大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋、殿筋群、体幹を鍛える。個々の体力に応じて深さ(フル、ハーフ、クォーター)を調整できる。場所と器具をほとんど要しないため、最も汎用性の高いカリステニクス種目の一つである。

バーピー

腹筋、胸、腕、脚、背部の一部など全身を使う運動。しゃがみ込みから素早く腕・脚を伸ばして腕立て姿勢へ移行し、(任意で腕立て伏せを行ったのち)脚を引き付けて跳躍して1回を完了する。

懸垂

いずれも類似の運動だが、手掌の向きが逆である。 チンアップでは、手のひらを自分側に向けてバーを握り、体を引き上げる。プルアップより上腕二頭筋の関与が大きいが、主働筋は広背筋である[12]。 プルアップでは、肩幅程度のグリップでバーを握り、背すじを保ちつつ顎がバーの高さに達するまで体を引き上げ、制御しながら開始位へ戻る。バーは常に体の前方に位置する。主に広背筋を鍛え、上背部、前腕、体幹も二次的に動員される。

ディップス

平行棒、体操用リング、あるいは一部のジムにある台形型バーを用いて行う。足は交差させ、肘が肩の高さと同じになるまで体を下ろしたのち、肘をロックせずに腕を伸ばして押し上げる。胸筋、上腕三頭筋、三角筋(特に前部)を主に鍛える。

フロントレバー・バックレバー

フロントレバーは、バー(またはリング)に対して腕を伸ばしたまま体を引き付け、体幹を床と平行にし、腹側を上に向けて保持する。 バックレバーは、逆さ懸垂位から体を下ろし、床と平行に、腹側を下に向けて保持する。

倒立

両手で体を支え、安定した逆立ち姿勢をとる。基本形では、腕・脚を伸ばし、手幅は肩幅程度とする。

バック・エクステンション

うつ伏せで、脚・腕・上体を床から同時に持ち上げる。

レッグレイズ

仰臥位で、拳を握った両手を臀部の下に置き、脚を上下させる。

エルシット

体重を両手で支持し、上体をやや前傾させ、脚を水平に保持して体幹と直角(「L」の形)をなす姿位。体幹を緊張させて脚を水平に保つ必要があり、顕著な腹筋力と高いハムストリングス柔軟性を要する。

マッスルアップ

中級から上級者向けの種目。プルアップからディップスへの連続動作を一連の運動として行う(バーまたはリングで実施)。

プランシェ

最上級の種目の一つで、長年の訓練を要する。肩甲骨を前方突出・下制しつつ、両腕で体を水平に支持してバランスを取る。特に(身長の高い個体では)大きな筋力と平衡性を必要とする。

プランク

腕立て伏せの上体支持位(トップポジション)を一定時間保持する運動。特に骨盤の後傾を維持する場合、主要動員筋は腹直筋である。

カーフレイズ

下腿三頭筋を主に鍛えるつま先立ちの反復運動。

ランジ

片脚を前方に踏み出して屈伸する下肢主体の運動。

ジャンピングジャック

立位から、脚を肩幅以上に開きつつ両腕を頭上へ振り上げ手掌を合わせるように小跳躍する動作と、再び小跳躍して腕を体側へ下ろし脚を閉じて直立位に戻る動作を1反復として交互に行う。

協力型自重トレーニング

ファイヤーマンズキャリーは一般的な協力型自重運動で、全身の筋力・体力の向上に用いられる。写真は米海兵隊員によるデモンストレーション。[21]

協力型自重トレーニングは、2名以上が互いに補助し合って行う自重運動を指す[22]。パートナーエクササイズ、パートナーレジスタンストレーニング、パートナーキャリー、対人自重運動などとも呼ばれ、身体の筋力・持久力・可動性・協調性の向上を目的として古くから用いられてきた[23]

一般に、一方が運動を実施し、他方が抵抗を付加する(例:背に人を乗せてスクワット、抱きかかえて歩行)。ロープの両端を2人で持ち、互いに異なる方向へ引くといった器具を用いる形態もある。この際、一方は意図的に弱い抵抗を加えることで、もう一方が全可動域で動作できるようにしつつ、運動に適度な抵抗を付与する。

欠点として、フリーウェイトやウェイトマシンと比べて、パートナーが付加する抵抗量を定量化しにくい点が挙げられる。一方で、器具が不要でありながら高い抵抗を与えやすいという利点があり、競技場公園でもジムと同様に容易に実施できる[24]。また、単純な筋力向上以外の目標にも柔軟に対応でき、たとえばパートナースクワットを跳躍やホッピングを伴う瞬発力重視の運動へと変更したり、片膝立ちで相手を持ち上げるなどのアレンジも可能である。

研究

キャリステニクス公園

脚注

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