遺伝的多様性
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遺伝的多様性は、生態系の多様性や種多様性と比べて目で見て理解することが難しく、この概念の認知度も低いことから、環境保全活動の中で十分考慮されているとは言い難い事例がある。例えば、河川環境活動として魚を放流する事業で、在来個体群が存在するにもかかわらず近縁の別個体群を放流するなど、遺伝的多様性を損なう例があり問題となっている(遺伝子汚染、錦鯉の放流と生態系の破壊問題、メダカ#絶滅危惧と保護活動を参照)。
種の生存と適応
進化との関係
農業との関連
一般には遺伝的多様性は野生生物について論じられるが、農業においても農作物の多様性が問題となることがある。
農作物は野生の植物(野生種)から人為的に好ましい形質を選抜する育種によって作物化されてきた。その過程で、野生種の遺伝的多様性は狭められ、農業に適した性質を残すようになっている。この傾向は現代の品種でより顕著であり、現在栽培されている品種では、ほぼ1品種=1遺伝子型に近い状態になっている。さらには、特定の地域では特定作物・特定品種が栽培されることもある(単一栽培)。
このような場合、冷害などの環境悪化や病害虫の発生が起こると、遺伝的多様性が低く適応できない作物・品種は大きな被害を受けることになる(遺伝的脆弱性)。このような例として、アイルランドのジャガイモ飢饉、T型細胞質雄性不稔をもつトウモロコシのごま葉枯病被害[3][4][5]がある。日本においても、イネのいもち病に対する遺伝的脆弱性が問題になることもある。異なる耐病性遺伝子もつ品種を混合栽培し、耐病性を高める試みとして、コシヒカリBLという品種群が育成されている。