学界では、複数の研究者から第二次世界大戦後の日本における渤海研究を石井正敏と共に牽引してきたと目されている。
浜田久美子は「実証的、科学的な渤海史研究を切り開いたのが一九七〇年代に登場する石井正敏と酒寄雅志である。両氏は今日に至るまで渤海史研究をリードし、二〇〇一年にはその業績が、石井正敏『日本渤海関係史の研究』(吉川弘文館)、酒寄雅志『渤海と古代の日本』(校倉書房)の両著書にまとめられた。両著書は戦後歴史学における渤海史研究の集大成といっても過言ではなく、日本における渤海史研究のひとつの到達点が示されたことになる」[6]「石井・酒寄両氏の著書刊行により、渤海史研究は一つの節目を迎え、この刊行を機に新たな展開をみせていくことであろう」[7]と評している。
河内春人は、「70年代から始まった渤海史再検討の動きは、90年代初頭になって方法論的に止揚することによって大きく加速しながら現在に至っている。かかる状況下において21世紀初めの年に、現在の渤海史研究をリードしてきた石井正敏氏の『日本渤海関係史の研究』(吉川弘文館)、酒寄雅志氏の『渤海と古代の日本』(校倉書房)という両著書が出版されたことは、渤海史研究がひとつの到達点に至ったことを示している」と評している[8]。
榎本淳一は「渤海史研究が今日のような盛況をみることになった背景には、酒寄氏、石井氏という研究スタイルの異なる両氏が良きライバルとして当該研究を牽引してきたということも大きな要因」「両氏の多年の研究により、古代日本と渤海との交流のもった歴史的な意義が多方面から明らかにされた。その成果は、唐との関係のみを重視し、その他の関係を捨象ないし軽視するという従来の日本古代対外関係史研究のあり方を見直させる大きな役割を果たした」「日唐関係を相対化し、多面的に当時の国際関係を分析する視覚をもたらしたことは大いに評価されるべき」と評している[9]。