銀河鉄道の夜の原稿
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原稿各葉
| 原稿番号 | 次稿数 | 4つ折り痕 | 綴じ穴 | 自筆原稿番号 | 書かれ方
用紙[注 2] |
章題 | 第1稿 | 第2稿 | 第2.5稿 | 第3稿 | 第4稿 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 4 | 原稿用紙裏 | 1.午後の授業 | 第4稿開始。銀河とはなにかと先生が質問 | |||||||
| 2 | 4 | 原稿用紙裏 | 先生がもう一度質問 | ||||||||
| 3 | 4 | 原稿用紙裏 | 先生の説明 | ||||||||
| 4 | 4 | マス目無視 | 先生の説明の続き(『ポラーノの広場』の計画メモが抹消されている。) | ||||||||
| 5 | 4 | 原稿用紙裏 | 2.活版所 | 活版所へ行く | |||||||
| 6 | 4 | 原稿用紙裏 | 活字拾いのアルバイト | ||||||||
| 7 | 4 | 原稿用紙裏 | 代金をもらって家へ | ||||||||
| 8 | 4 | 原稿用紙裏 | 3.家 | 母と対話 | |||||||
| 9 | 4 | 原稿用紙裏 | カムパネルラとは父親同士も友人 | ||||||||
| 10 | 4 | 原稿用紙裏 | 銀河のお祭りを見に行く | ||||||||
| 11 | 3 | 1 | マス目準拠 | 4.ケンタウル祭の夜 (第3稿開始) | |||||||
| 12 | 3 | 2 | マス目準拠 | ザネリが「らっこの上着」とからかう(その意味は第3稿に記載されたが4稿では削除) | |||||||
| 13 | 3 | 3 | マス目準拠 | 時計屋の描写(ジョバンニの心理を4稿は削除) | |||||||
| 14 | 4 | 原稿用紙裏 | ここは第4稿 時計屋の星座図 | ||||||||
| 15 | 3 | 4 | マス目準拠 | 夜の町(ジョバンニの心理は4稿で削除) | |||||||
| 16 | 3 | 5 | マス目準拠 | 牛乳屋へ行く | |||||||
| 17 | 3 | 6 | マス目準拠 | ジョバンニの心理は4稿で削除 | |||||||
| 18 | 3 | 7 | マス目準拠 | またザネリがからかう | |||||||
| 19 | 3 | 8 | マス目準拠 | 町の北はずれの描写は4稿で削除 | |||||||
| 20 | 3 | 9 | マス目準拠 | 5.天気輪の柱 | |||||||
| 21 | 3 | 10 | マス目準拠 | ジョバンニの心理は4稿で削除 | |||||||
| 原稿5枚分が削除された。ブルカニロ博士がここで一度登場していたと見られる | |||||||||||
| 22 | 3 | 16 | マス目準拠 | 夜空が林や野原や牧場に見えてくる | |||||||
| 23 | 3 | 17 | マス目準拠 | 6.銀河ステーション | |||||||
| 24 | 3 | 18 | マス目準拠 | 銀河ステーションと声がし、目の前に景色が広がる。 | |||||||
| 25 | 3 | 20 | マス目準拠 | ジョバンニは小さな列車に乗っていた。 | |||||||
| 26 | 3 | 21 | マス目準拠 | カムパネルラも同乗していた | |||||||
| 27 | 3 | 22 | マス目準拠 | カムパネルラが持つ地図を見る | |||||||
| 28 | 3 | 19 | マス目準拠 | 天の川の描写 (賢治自筆19番の原稿番号がついているが、第4稿でこの部位にさしかえた。) | |||||||
| 29 | 3 | 23 | マス目準拠 | この列車は石炭を焚いていない | |||||||
| 30 | 3 | 24 | マス目準拠 | りんどうの花が咲く | |||||||
| 31 | 3 | 25 | マス目準拠 | 7.北十字とプリオシン海岸 | |||||||
| 32 | 3 | 26 | マス目準拠 | 白い十字架が立つ島 | |||||||
| 33 | 3 | 27 | マス目準拠 | 白鳥の停車場に止まる | |||||||
| 34 | 3 | 28 | マス目準拠 | 2人は下車。河原に出る | |||||||
| 35 | 3 | 29 | マス目準拠 | 「プリオシン海岸」の標札が立つ | |||||||
| 36 | 3 | 30 | マス目準拠 | 化石発掘の現場 | |||||||
| 37 | 3 | 31 | マス目準拠 | 学者らしい人の解説 | |||||||
| 38 | 3 | 32 | マス目準拠 | 走って汽車に戻る | |||||||
| 39 | 3 | 33 | マス目準拠 | 8.鳥を捕る人 | |||||||
| 40 | 3 | 34 | マス目準拠 | 赤ひげの人は鳥をつかまえる商売 | |||||||
| 41 | 3 | 35 | マス目準拠 | とらえた鷺を見る | |||||||
| 42 | 3 | 36 | マス目準拠 | 雁を食べる。菓子の味 | |||||||
| 43 | 3 | 37 | マス目準拠 | 鷺は食べるまでが手間 | |||||||
| 44 | 3 | 38 | マス目準拠 | 鳥捕りが鷺をつかまえる | |||||||
| 45 | 3 | 39 | マス目準拠 | 鳥捕りが列車に戻る | |||||||
| 46 | 3 | 40 | マス目準拠 | ジョバンニたちはどこから来たのか、答えられない | |||||||
| 47 | 3 | 41 | マス目準拠 | 9.ジョバンニの切符 | |||||||
| 48 | 3 | 42 | マス目準拠 | 車掌の検札 | |||||||
| 49 | 2 | + | マス目準拠 | 現存第2稿開始。第2稿ではジョバンニが2人分切符を持つ。3稿以後は2人別々に所持 | |||||||
| 50 | 2 | + | マス目準拠 | 鳥捕りが切符を論評 | |||||||
| 51 | 2 | + | マス目準拠 | 鳥捕りは消えた | |||||||
| 52 | 2 | + | マス目準拠 | 青年と姉弟登場(第2稿では計5人登場。第3稿から計3人になる) | |||||||
| 53 | 2 | + | マス目準拠 | 青年「わたしたちはじき神さまのとこへ行きます」 | |||||||
| 54 | 2 | + | マス目準拠 | 青年の話。タイタニック号らしい船の沈没。(3稿で青年の躊躇を追記) | |||||||
| 55 | 2 | + | マス目準拠 | 青年の話の続き。ジョバンニの感想 | |||||||
| 56 | 2 | + | マス目準拠 | りんごが出る(2稿では姉が所持。3,4稿では灯台看守が所持) | |||||||
| 57 | 2 | + | マス目準拠 | りんごをみんなでいただく | |||||||
| 58 | 2 | + | マス目準拠 | からす?を見つける | |||||||
| 59 | 2 | + | マス目準拠 | 讃美歌を歌う(第2稿では「主よみもとに近づかん」の歌詞あり) | |||||||
| 第2稿の続き原稿を一枚?削除 [注 4] | |||||||||||
| 60 | 1 | + | マス目無視 | 現存第1稿開始。孔雀がたくさんいた | |||||||
| 61 | 1 | + | マス目無視 | 赤帽の信号手 (第1,2稿でいるかは魚かと議論。第3稿から削除) | |||||||
| 62 | 1 | + | マス目無視 | 信号手の指示で鳥が飛ぶ | |||||||
| 63 | 1 | + | マス目無視 | とうもろこし畑、新世界交響楽 | |||||||
| 64 | 1 | + | マス目無視 | インデアン(第2稿では3人だった姉妹を、3稿以後1人に変えたのを直し忘れている) | |||||||
| 65 | 1 | + | マス目無視 | 下り坂。工兵の架橋 | |||||||
| 66 | 1 | + | マス目無視 | 発破がかかり、天の川の水がはねあがる | |||||||
| 67 | 2.5 | マス目無視 | 第2.5稿から追加 ふたご座 | ||||||||
| 68 | 1 | + | 藁半紙 | さそり座。さそりが燃える火 | |||||||
| 69 | 1 | + | 藁半紙 | さそりは無駄に死ぬ事を後悔し、神さまが燃やす | |||||||
| 原稿1枚?欠落 [注 5] | |||||||||||
| 70 | 1 | + | 藁半紙 | サウザンクロス駅に十字架が立つ | |||||||
| 71 | 2.5 | マス目無視 | 第2.5稿から追加 「そんな神さまうその神さまだい」議論 | ||||||||
| 72 | 1 | + | 藁半紙 | サウザンクロス駅で姉弟青年は下車 | |||||||
| 73 | 1 | + | マス目無視 | 「ほんとうのさいわいはいったいなんだろう」(裏面は震災見舞いの手紙の下書き) | |||||||
| 74 | 1 | + | マス目無視 | カムパネルラが消えた(裏面は震災見舞いの手紙の下書き) | |||||||
| (原稿No.74の後半から78まで、第4稿時点では削除する意図だったとみられる) | |||||||||||
| 75 | 2.5 | マス目無視 | 第2.5-3稿のみ 黒帽子の人が登場し言う「カムパネルラは遠くへ行った」 | ||||||||
| 76 | 2.5 | マス目無視 | 第2.5-3稿のみ 「おまえはあのプレシオスの鎖を解かなければならない」 | ||||||||
| 77 | 1 | + | マス目無視 | 「あのブルカニロ博士」登場。銀河鉄道は博士の見せた夢だった。(裏面は震災見舞いの手紙の下書き) | |||||||
| 78 | 1 | + | 和半紙 | 第1,2,3稿共通の終了。 末尾3行のみ | |||||||
| 79 | 4 | 原稿用紙裏 | 以後の5葉は4稿のみ。ジョバンニは丘で目覚めた [注 6] | ||||||||
| 80 | 4 | 原稿用紙裏 | 牛乳を受け取る | ||||||||
| 81 | 4 | 原稿用紙裏 | カムパネルラの水死 | ||||||||
| 82 | 4 | 原稿用紙裏 | 「もう駄目です、落ちてから45分たちましたから」と彼の父 | ||||||||
| 83 | 4 | 原稿用紙裏 | 「いいえ」としか答えられずにカムパネルラの父親と別れる | ||||||||
執筆過程
第1稿
- 現存する原稿はNo.60-66,68-70,72-74,77,78
- 鉛筆書き、および藍インクによる修正
- 4つ折りあとがある。
- 原稿No.73,74,77の裏面に震災見舞いの手紙の下書きがある。したがって1923年9月以降。
- 画家の菊池武雄は、1924年末に賢治が原稿を読んで披露したと書いている。またこの時の原稿は「ケンタウル祭の夜」からあったと菊池は証言する。
第2稿
- 追加した原稿用紙はNo.49-59
- 上記の原稿用紙には仮綴じあととみられる綴じ穴がある。
- 青インク書き(原稿用紙への清書)、および鉛筆による修正
第3稿
第4稿
- 追加した原稿用紙はNo.1-10,14,79-83
- 黒インク(『ポラーノの広場』や『風の又三郎』の原稿に使われていたものと同じ)
- 原稿No.4に『ポラーノの広場』の作製メモがあり、『ポラーノの広場』はほぼ完成していたため『銀河鉄道』原稿に使われたとみられる。1931年 - 1932年かと入沢・天沢は推定[3]。
- 『銀河鉄道の夜』というタイトルが確認できるのはこの稿からである。
『銀河鉄道の夜』編集史
1933年
賢治の死。 枕元に『銀河鉄道の夜』の原稿があった。
1935年
最初の賢治の全集、文圃堂版全集第3巻に『銀河鉄道の夜』を収録。
岩田豊蔵(賢治の妹・シゲの夫)の意見で、原稿No.79-83はNo.21と22の間に入れて編集出版[注 9]。
この編集形式での出版物は以下の通り(ただし全く同一ではない)。
1951年時点で、原稿No.79-83の位置はおかしいと宮沢清六が谷川徹三に手紙を送っていた。(岩波文庫の谷川の解説による。)
1965年
岩崎書店『宮沢賢治童話全集』第6巻に収録(途中の版からの変更)。
原稿No.79-83は最後に置き換えて出版。
同じ編集形式なのが以下のものである(ただし全く同一ではない)。
1974年
筑摩書房『校本宮澤賢治全集』第9・10巻に、第3稿と第4稿を収録(第9巻が第3稿、第10巻が第4稿)
入沢と天沢が原稿を検討。主に4段階の原稿があり、No.74の後半からNo.78までの原稿は賢治は第4稿では削除するつもりでいたと結論。
つまり、後期形の黒インク手入れの段階でいまいった部分がすっかり取り替えられてしまったのだ、と言える。そう言うことができる論拠が、(結局これは賢治が黒インクで、第74葉のところで、ここから切り替えるということを指定してくれていないので、今までの編集者も非常に悩んだところだと思うけども)今度の調査によっていくつも出てきた。 — 入沢康夫[7]
この第4稿準拠の出版は以下の通り。
1985年
ちくま文庫版『宮沢賢治全集』第7巻 に収録。
第1稿 - 4稿それぞれを通読可能にした。 [注 12]
1996年
筑摩書房 『新校本宮澤賢治全集』第10・11巻
第1、2、3、4稿の修正過程を詳記。
登場人物・物品の変化
切符のゆくえ
- 第1-3稿
- No.77で「その切符を決しておまえはなくしてはいけない」と、ブルカニロ博士登場前の声が言う。
- 第2,3稿ではジョバンニが覚醒後も切符を持つ。
- 第4稿
- ジョバンニが覚醒後、切符はない。
カムパネルラとの別れ
原稿No.74でカムパネルラは消えてしまう。
- 第1,2稿
- カムパネルラはどこへ消えたのかわからない。第1稿とそれ以降ではカムパネルラが消えた時のジョバンニの反応が異なる。
- 第3稿
- 黒い帽子の人から、「カムパネルラは遠くへ行った。もうさがしてもむだだ」と言われる。
- 第4稿
- 夢からさめたジョバンニが、現実に水死したと知る。
ブルカニロ博士
- 第3稿まで
- No.77で登場。ジョバンニに銀河鉄道の夢を見せて導く、この物語の立役者だった。
- 第4稿
- 抹消された。このことが1974年の筑摩書房全集で広く知られ、議論を呼んだ。
初期形にこそ「銀河鉄道の夜」の醍醐味があり、賢治の宗教的世界が表れているという意見も少なくない。[注 13] — 大澤千恵子、『児童文学ファンタジーの星図』東京学芸大学出版会 2019 p.170
出版物
入沢康夫の解説・監修により、1997年に宮沢賢治記念館から、現存する全原稿を収録した図録『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の原稿のすべて』が刊行されている[8]。