30,000トン型巡視船
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2012年9月の尖閣諸島国有化以降、同諸島周辺海域では中国政府の公船の徘徊や領海侵入等の事案の頻度が増加しており、海上保安庁では、同海域を担当する第十一管区海上保安本部に領海警備専従部隊を設置して対応にあたってきた[7]。しかし中国側が多数の小型船を動員して上陸を図った場合、従来の巡視船では手が回りきらず、上陸を許す恐れが指摘されていた[2][3]。
また台湾有事などが発生した場合、海上保安庁は、同海域を含む南西諸島において武力攻撃事態等における国民保護の一環として住民避難を担うことが想定されており[8]、2023年6月には、防衛大臣の統制下で住民を乗せて避難させることを想定し、ジュネーヴ条約で定められた特殊標章を巡視船に掲げての訓練が実施された[9]。更に2024年の能登半島地震など、深刻な被害をもたらす自然災害も頻発していた[10]。
これらの状況に対し、海上保安庁では、多数の小型舟艇を運用して海上警備を行うとともに、優れた輸送力によって災害派遣や住民避難にも活用可能な巡視船の整備が検討されるようになった[2][3][11]。まず令和5年(2023年)度予算において数千万円を計上し、船の基本構造に関する設計前の調査を民間企業に依頼して、2024年3月に報告書を受領した[2]。これを踏まえて、同年6月には海保巡視船の中で最大規模となる30,000トン級の「多目的型巡視船」を最大2隻建造する方針を固め、2025年度予算に盛り込み、2029年度に実用化することとした[3]。2024年8月27日に公表された「令和7年度海上保安庁関係予算概算要求概要」において、正式に計画が公表された[12][注 1]。