ELK1

From Wikipedia, the free encyclopedia

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号ELK1, ETS transcription factor, ETS transcription factor ELK1
ELK1
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1DUX

識別子
記号ELK1, ETS transcription factor, ETS transcription factor ELK1
外部IDOMIM: 311040 MGI: 101833 HomoloGene: 3832 GeneCards: ELK1
遺伝子の位置 (ヒト)
X染色体
染色体X染色体[1]
X染色体
ELK1遺伝子の位置
ELK1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点47,635,521 bp[1]
終点47,650,604 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
X染色体 (マウス)
染色体X染色体 (マウス)[2]
X染色体 (マウス)
ELK1遺伝子の位置
ELK1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点20,799,634 bp[2]
終点20,816,847 bp[2]
RNA発現パターン


さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 DNA結合
sequence-specific DNA binding
DNA-binding transcription factor activity
DNA-binding transcription activator activity, RNA polymerase II-specific
クロマチン結合
血漿タンパク結合
二本鎖DNA結合
RNA polymerase II cis-regulatory region sequence-specific DNA binding
DNA-binding transcription factor activity, RNA polymerase II-specific
細胞の構成要素 細胞質
axon terminus
核質
soma
樹状突起
ミトコンドリア
細胞核
生物学的プロセス 細胞分化
regulation of transcription, DNA-templated
response to light stimulus
cellular response to testosterone stimulus
response to fibroblast growth factor
positive regulation of neuron death
transcription, DNA-templated
positive regulation of transcription, DNA-templated
cellular response to gamma radiation
cellular response to lipid
positive regulation of transcription by RNA polymerase II
transcription by RNA polymerase II
regulation of transcription by RNA polymerase II
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_005229
NM_001114123
NM_001257168

NM_007922

RefSeq
(タンパク質)

NP_001107595
NP_001244097
NP_005220

NP_031948

場所
(UCSC)
Chr X: 47.64 – 47.65 MbChr X: 20.8 – 20.82 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

ELK1(ETS like 1)は、ヒトではELK1遺伝子によってコードされているタンパク質である[5]。ELK1は転写アクチベーターとして機能する。ETSファミリーの下位分類であるTCF(ternary complex factor)サブファミリーに分類され、このファミリーは標的DNA配列への結合を調節する共通したドメインの存在によって特徴づけられる。ELK1は、長期記憶英語版の形成、薬物依存アルツハイマー病ダウン症候群乳がん抑うつなど、さまざまな状況下で重要な役割を果たしている。

ELK1のドメイン構造

ELK1はいくつかのドメインから構成される。N末端領域に位置するAドメインは、DNAへの結合に必要である。この領域には核局在化シグナル(NLS)や核外搬出シグナル(NES)も含まれており、それぞれ核への移行と核からの搬出を担っている。Bドメインは、二量体化のコファクターである血清応答因子(SRF)との結合を可能にする。Bドメインに近接して位置するRドメインは、ELK1の転写活性の抑制に関与している。このドメイン内のリジン残基はSUMO化を受けている可能性が高く、この翻訳後修飾によってRドメインの阻害機能は強化される。Dドメインは、活性型MAPKへの結合に重要な役割を果たしている。C末端領域に位置するCドメインには、MAPKによってリン酸化されるアミノ酸残基が含まれている。この領域内では、セリン383番と389番がELK1を介した転写を起こすためにリン酸化が必要な重要部位となっている。最後に、DEFドメインはMAPKの一種であるERKとの特異的相互作用を行う領域である[6]

発現

ELK1は転写因子として機能するため、神経細胞以外では核内に発現している。成熟した神経細胞では、このタンパク質は核と共に細胞質にも存在している[6]。分裂期を終えた神経細胞では、sELK1と呼ばれるバリアントが核内にのみ発現している。このバリアントは全長タンパク質に存在するNESを欠いている[7]。ELK1は幅広く発現しているが、その発現レベルは組織によって異なる。一例としてラットの脳にElk1は非常に豊富に存在するが、ほぼ神経細胞にのみ発現している[8]

スプライスバリアント

ELK1遺伝子からは全長タンパク質以外にも、∆ELK1、sELK1と呼ばれる短いタンパク質も産生される。∆ELK1は選択的スプライシングによって生み出され、SRFとの相互作用を可能にするDNA結合ドメインの一部を欠いている[9]。一方、sELK1はSRFとの結合を担う領域は完全であるが、NESを含む最初の54アミノ酸を欠いている。sELK1は神経細胞にのみ存在し、ORF内部の翻訳開始部位を利用することで形成される[10]。∆ELK1とsELK1はどちらも全長タンパク質が切り詰められたタンパク質であり、DNA結合やさまざまな細胞シグナルの誘導が可能である。神経分化においてsELK1はELK1に対抗し、NGF/ERKシグナルを調節する[8]

シグナル伝達

ELK1の活性化をもたらすシグナル伝達経路

ELK1の下流の標的は、FOS遺伝子の血清応答エレメント(serum response element; SRE)である[11][12]FOS遺伝子にコードされるFOSタンパク質の産生を引き起こすためには、MAPKによるELK1のC末端領域のリン酸化が必要である[13][14]。MAPKは細胞膜で開始されるシグナル伝達経路の最終のエフェクターであり[15]、MAPKによるリン酸化はELK1のコンフォメーション変化を引き起こす[16]。MAPKの上流で作用するRafキナーゼは、MEKまたはMAPK/ERKをリン酸化して活性化する[17][18][19][20]。Raf自身はRasによって活性化され、RasはGRB2とSosを介してチロシンキナーゼ活性を有する成長因子受容体と関連づけられている[21]。GRB2とSosは成長因子が対応する受容体に結合した後にのみ、Rasを刺激する。一方でRafの活性化はRasのみに依存しているのではなく、ホルボールエステルによって活性化されるプロテインキナーゼCもRasと同様の機能を果たすことができる[22]。またMEKキナーゼもMEKを活性化し、その後MAPKを活性化するため、Rafが不必要になる場合もある[23]。このように、さまざまなシグナル伝達経路がMEKやMAPKに集約され、ELK1の活性化をもたらす。ELK1の刺激後には、ELK1をFOSプロモーターへの結合を可能にするSRFのリクルートが必要である。ELK1のSRFへの結合は、ELK1のBドメインとSRFとのタンパク質間相互作用、そしてAドメインを介したタンパク質-DNA間相互作用によって行われる[6]

上述したタンパク質群は、特定のシグナル出力のためのレシピのようなものである。これら構成要素の1つ、例えばSRFが欠けた場合には、異なる出力が生じる。このケースでは、SRFの欠損によってELK1による他の遺伝子の活性化が引き起こされる[16]。一例としてELK1はSRF非依存的にLCK英語版遺伝子に結合し、活性を示す[16]。また、SREとELK1結合部位との間隔や相対的配向は柔軟であるため[24]、SREによって調節されるFOS以外の最初期遺伝子もELK1の標的となっている可能性がある。EGR1英語版は、SREとの相互作用に依存したELK1の標的の一例である[16]

シグナル伝達の研究においては、下流の標的の活性化に利用される各構成要素の重要性が変異導入によって浮き彫りとなる場合がある。例えば、MAPKによってリン酸化されるC末端ドメインの破壊によって、FOSの活性化の阻害が引き起こされる[16]。同様に、通常はELK1をSREにつなぎとめる役割を果たしているSRFの機能不全によって、FOSの転写は生じなくなる[21]。またELK1が存在しない場合、SRFはMAPKによる刺激後もFOSの転写を誘導することができない[16]。このように、ELK1はシグナル伝達経路と遺伝子転写の開始を関連づける必要不可欠な役割を果たしている。

臨床的意義

出典

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI