Hsp47

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Hsp47(熱ショックタンパク質 (Heat shock protein) 47)は、コラーゲンに関し、人間のタンパク質シャペロンの1つとして機能するセルピンである[5][6]SERPINH1 としても知られる。熱ショックタンパク質としては、1986年に初めて報告された[7]

記号SERPINH1, AsTP3, CBP1, CBP2, HSP47, OI10, PIG14, PPROM, RA-A47, SERPINH2, gp46, serpin family H member 1
染色体11番染色体 (ヒト)[1]
終点75,572,783 bp[1]
概要 SERPINH1, 識別子 ...
SERPINH1
識別子
記号SERPINH1, AsTP3, CBP1, CBP2, HSP47, OI10, PIG14, PPROM, RA-A47, SERPINH2, gp46, serpin family H member 1
外部IDOMIM: 600943 MGI: 88283 HomoloGene: 20331 GeneCards: SERPINH1
遺伝子の位置 (ヒト)
11番染色体 (ヒト)
染色体11番染色体 (ヒト)[1]
11番染色体 (ヒト)
SERPINH1遺伝子の位置
SERPINH1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点75,562,056 bp[1]
終点75,572,783 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
7番染色体 (マウス)
染色体7番染色体 (マウス)[2]
7番染色体 (マウス)
SERPINH1遺伝子の位置
SERPINH1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点98,994,583 bp[2]
終点99,002,446 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 unfolded protein binding
collagen binding
RNA結合
serine-type endopeptidase inhibitor activity
細胞の構成要素 細胞質
脂質ラフト
endoplasmic reticulum lumen
エキソソーム
endoplasmic reticulum-Golgi intermediate compartment
細胞外空間
小胞体
collagen-containing extracellular matrix
生物学的プロセス response to unfolded protein
protein maturation
chondrocyte development involved in endochondral bone morphogenesis
collagen biosynthetic process
原線維形成
negative regulation of endopeptidase activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001207014
NM_001235

NM_001111043
NM_001111044
NM_009825
NM_001285776

RefSeq
(タンパク質)

NP_001193943
NP_001226

NP_001104513
NP_001104514
NP_001272705
NP_033955

場所
(UCSC)
Chr 11: 75.56 – 75.57 MbChr 11: 98.99 – 99 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
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概要

Hsp47 は、コラーゲン分子と結合して、コラーゲン分子の凝集を防ぎ[8][9]、そのフォールディングをサポートする分子シャペロンである。熱ショックにより小胞体において発現量が上昇する[7]。Hsp47 は小胞体においてコラーゲン分子と結合し、シス・ゴルジ網において解離して、小胞体に戻ってくる。Hsp47 の欠損又は変異により、コラーゲンの生成の不全が生じ、胎生致死や骨形成不全症となる。一方、Hsp47 の機能が正常であっても、多くの病気において、コラーゲンの異常生成との関係がみられる。また、がん治療の標的の1つである IRE1α との相互作用が指摘される[10][11]など、コラーゲン分子の産生とは関係がない機能の存在が発見されており、新たな広がりをみせている。

機能

Hsp47 はセリンプロテアーゼ阻害剤スーパーファミリーの一員である。熱ショックにより小胞体において発現が誘発される。そのような細胞が I 型コラーゲンおよび III 型コラーゲンを合成し、分泌する[12]。このタンパク質は本来小胞体内腔に局在し、コラーゲンの三重らせん構造に結合する[13][14]。それゆえ、コラーゲン分子の成熟に関与する分子シャペロンであると考えられている。Hsp47 は、結果正しくフォールディングされなかった(ミスフォールディングされた)プロコラーゲンの凝集を防ぐ機能を有する[8][9]

Hsp47 が欠損すると、コラーゲン繊維や基底膜の形成不全を引き起こし、マウスは生まれる前に死亡する[15]。Hsp47 は I 型コラーゲンのフォールディングに欠かせない要素である[16]。Hsp47 は分子シャペロンとしてはコラーゲンにのみ結合する、すなわち基質特異性を有すると考えられている[13][15]

欠損しないまでもある種の変異が発生した Hsp47 は骨形成不全症を引き起こすことが知られている[17][18]

Hsp47 に対する自己抗体が関節リウマチの患者に見受けられる[5]


他にも、Hsp47 がゴルジ体ストレスによる細胞死を抑制する機能を有する可能性が報告されている[19]

相互作用

Hsp47 は I 型ないし V 型のコラーゲンと相互作用することが示されている[20]。Hsp47 は、その N 末端から見て、プロコラーゲンの少なくともトレオニンプロリンなども可)残基-グリシン残基-X残基(ここは何でもよい)-アルギニン残基の並びを認識して結合すると考えられている[21][22]。計算シミュレーションでは、さらにその 1 つ前(すなわち、アルギニン残基から見て 4 つ前)はフェニルアラニン残基またはプロリン残基が好ましいとされる[23]。 このうち、アルギニン残基が一番、次にトレオニン残基が重要であるとされる[21][22]

一方、Hsp47 側は、222 番(以下、いずれもイヌにおける配列順による)のアルギニン残基、303 番のアラニン残基、305 番のセリン残基、381 番の ロイシン残基、383 番のチロシン残基、385 番のアスパラギン酸残基が結合に関与する[24]。この中では、プロコラーゲン側のアルギニン残基と塩橋を形成するアスパラギン酸残基及びトレオニン残基等と塩橋を形成するアルギニン残基が特に重要であるということができる[24]。また、後述するように、Hsp47 が pH の低下によりプロコラーゲンから離れるという事実から、273 番と 274 番の両ヒスチジン残基が pH の低下によるプロコラーゲンからの離脱の点で重要な役割を果たすと考えられる[25]。さらに、209 番のヒスチジン残基が未成熟なプロコラーゲンの放出を防ぐことが指摘されている[25][26]


Hsp47 は、プロリル4-ヒドロキシラーゼと競合するために、プロリン残基の水酸化を遅らせることができる[27]

発現

Hsp47 は、熱ショックにより発現量が上昇する[7]小胞体ストレス由来では、熱ショック以外では発現しない[19][28]。 熱ショックにより、熱ショック因子1 が Hsp47 を生成するための mRNA の転写を活性化する[29]

また、ゴルジ体ストレスによっても発現量が上昇する[19]


遺伝子的には、例えば、ヒトにおいては 418 個の、セキショクヤケイにおいては 405 個のアミノ酸残基から構成される[30]。N 末端のシグナル配列の切断後は、ヒトにおいては 400 個[31]の、ニワトリにおいては 390 個[32]のアミノ酸残基から構成される。

Hsp47 は、シグナル配列を持つ前駆体(分子量 42,000)として翻訳され、シグナル配列が切断されて分子量 41,000 の分子になり[33]、その後、グリコシル化[34]、アセチル化[35]などを受けて、成熟した分子になると考えられる[33]

小胞体からの移動と帰還

Hsp47は、プロコラーゲンに結合したまま小胞体を出て、シス・ゴルジ網に移動する。シス・ゴルジ網内部は酸性であり、pH の低下により、Hsp47 はプロコラーゲンから離れる[36][37]。Hsp47 には KDEL 配列 英語版に似た RDEL 配列が組み込まれている[36]関係上、プロコラーゲンからの分離後シス・ゴルジ網から小胞体へと戻される[24][38]


これまでの記載から分かるように、本来、Hsp47 は小胞体ゴルジ体に局在するはずであることが予想されるが、膜ラフト[39][40]細胞外マトリックス[41][40]、細胞表面[42][43]血清[44]血小板表面[45]にも所在することが報告されている。もっとも、いかなる機構によっているのかまでは分かっていない[46]

病気との関係

上述した骨形成不全症以外の病気との関連性も指摘されている。

線維症との関係

線維症は、コラーゲンが異常に生成され、それが臓器に蓄積されることで引き起こされる[47]。Hsp47 は、このコラーゲンの生成にも関与することが示唆される。例えば、肝硬変においては、活性化した肝星細胞がコラーゲンを大量に分泌し、肝線維化が進行すると考えられているが[48]、Hsp47 はこの場合にも発現量が増加する[49]

がん(悪性腫瘍)との関係

他の熱ショックタンパク質のいくつかと同様、Hsp47 もがん細胞の増殖や浸潤転移を促進する[50]

冬眠や寝たきりの関係

冬眠中の熊や寝たきりの人間では、Hsp47が減少していることが確認されている。血小板表面にHsp47が多いと血流が狭くなった場所で好中球を引き寄せ血小板凝集、血栓を作りやすい。寝たきりになると、それらを起こさない状態になると考えられている[51]

参考文献

関連文献

外部リンク

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