SP-1 (航空機)

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SP-1 / СП-1

「トリイ」を搭載したSP-1

「トリイ」を搭載したSP-1

SP-1ロシア語:СП-1)は、ソビエト連邦ミコヤン・グレヴィッチ設計局が試作した戦闘機である。アメリカ合衆国国防総省(DoD)が割り当てたTypeナンバーType 19[1]MiG-15にレーダーを搭載して全天候戦闘機にする試みであったが、実用化に至らなかった。ただし研究はMiG-17の時代まで引き継がれ、SP-7がMiG-17Pとして採用されることになる。

1948年1月、ソビエト連邦(ソ連)当局は戦闘機開発を行う各設計局に対し、レーダーを搭載した全天候戦闘機の仕様書を提示した。これに対し、ミコヤン・グレヴィッチ設計局(以下、ミグ設計局)は操縦手とは別に専任のレーダー手を同乗させる必要があると考え、並列複座の製品«R»(後のI-320)案を提出した[2]。一方、ヤコヴレフ設計局は単発単座のYak-50を試作しており、ミグ設計局ではI-320と並行して、MiG-15を改造した単座のレーダー搭載戦闘機の試作も行うことになった[3]。ソ連の閣僚会議は同年12月7日には3つの設計局に航空機搭載レーダーの早急な開発を布告しており、MiG-15の改良型によって全天候迎撃機の配備が実現するのであれば、それが一番手っ取り早い手段だったのである[4]

ミグ設計局では全天候型を試作するうえで、1機のMiG-15を改造し、SP-1と命名した。エンジンをMiG-15bisと同じクリーモフ VK-1に換装し、エアインテークの上部にレドームを追加、そこにA.B.スレプシュキンロシア語版が開発した「トリイ(Торий)」レーダーを搭載した。重量増加に対応するため23mm 機関砲が取り外され、37mm 機関砲1門だけとなった[3]

SP-1は並行開発していたI-320の初飛行から1週間後の、1949年4月23日に初飛行した[3]。試験は1950年1月20日まで行われ、空軍飛行研究所(NII VVS)による試験は同年5月20日に完了した。その結果、MiG-15以来の欠点である高速域でのウィングドロップ問題の解消や、主翼のねじれ剛性を高めることを目的に、内側の境界層分離板を厚くする改修が施された[5]1951年にはクイビシェフ工場で新造された5機のMiG-15bisがSP-1仕様に改造され、MiG-15bisPと呼称された[6]。これらのうち1機が同年11月25日よりNII VVSでの試験に使用され、Tu-4Il-28を相手に迎撃を行った[5]

試験の結果、自動追尾機能を持たない「トリイ」レーダーの操作を操縦士が兼任するのは困難を極めると判断された[7]。その後、同系列のレーダーである「コーショーン(Коршун)」レーダーをMiG-17(原型3号機)に搭載したSP-2も試作され、1951年11月11日に初飛行したが、レーダー操作が難しい欠点は変わらず、不採用となった[8][9]

「イズムルード」を搭載したSP-5

一方、「トリイ」レーダーの保険として開発されていたのがV.V.ティホメーロフが開発していた「イズムルード(Изумруд)」レーダーであった。「イズムルード」レーダーは目標捜索と目標追尾で2基のアンテナを使用するレーダーで、捜索モードの探知距離は12 km程度だが、距離が2 km未満になると追尾モードに切り替わり、自動追尾を行うことができた。ミグ設計局はこちらならパイロットの負担を軽減できると考え、MiG-15bisに「イズムルード」レーダーを搭載したSP-5を1機改造した[6]。仕様の違いから機首形状も変わり、捜索用アンテナを機首上部に、追尾用アンテナをインテーク中央部に配置した。武装はSP-1とは逆に37mm 機関砲が外され、23mm 機関砲2門とした[5]。SP-5は1950年8月22日に初飛行し、9月9日まで試験が行われた[5]。試験の結果は良好だったが、I-330(製品«SI»、のちのMiG-17)の開発が進捗しているなかでMiG-15のレーダー搭載型を量産する必要性は乏しく、MiG-17のレーダー搭載型の開発に引き継ぐ形でSP-5の試験は終了した[6][10]

MiG-17に「イズムルード」レーダーを搭載した試作機がSP-7で、5機が製造された[11][9][8]。武装はNR-23 23 mm機関砲3門(各100発)だった[9]。SP-7は1952年夏にNII VVSの試験を合格し、MiG-17Pとして制式採用、防空軍および海軍の航空部隊に配備された[9]。防空軍でMiG-17Pを運用したのは主にアゼルバイジャンカザフスタン方面で、レーダーを操作しながらの迎撃任務は操縦士に負担を強いたが、訓練では晴天時の夜間であれば約9.5 km先のTu-4を探知できた[11]

各型

ここでは番号順に記載するが、時系列はその限りではない。

SP-1 (MiG-15bisP) / СП-1 (МиГ-15бисП)
MiG-15に「トリイ(Торий)」レーダーを搭載した試作機[12]。追加改造機はMiG-15bisPと呼称[6]
SP-2 / СП-2
MiG-17に「コーショーン(Коршун)」レーダーを搭載した試作機[9]
SP-5 / СП-5
MiG-15に「イズムルード(Изумруд)」レーダーを搭載した試作機[12]
SP-6 (MiG-17PFU) / СП-6 (МиГ-17ПФУ)
MiG-17PFにK-5英語版(RS-2U、NATOコードネームAA-1 アルカリ)空対空ミサイルの搭載能力を持たせた試作機[13]。MiG-17PFUとして制式化されたが新規生産はなく、40機がMiG-17PFから改造された[8]。SP-6では固定武装としてNR-23 23 mm機関砲を1門残していたが、MiG-17PFUには搭載されていない[13]
SP-7 (MiG-17P) / СП-7 (МиГ-17П)
MiG-17に「イズムルード(Изумруд)」レーダーを搭載した試作機。MiG-17Pとして制式採用[9]
SP-7F (MiG-17PF) / СП-7Ф (МиГ-17ПФ)
MiG-17PのエンジンをVK-1Fに換装した機体(MiG-17Fと同仕様)[13]
SP-8 / СП-8
「グラード(Град)」レーダーを搭載した試作機[14]
SP-9 / СП-9
「イズムルード-2(Изумруд-2)」レーダーとRS-2U空対空ミサイルを搭載した試験機[14]
SP-10 / СП-10
MiG-17PFの627号機を使用した新型双砲身型機関砲の試験機[13]

スペック

出典:「MiGシリーズの系譜」29頁(SP-1)[15]、「MiG Aircraft Since 1937」81、84頁(SP-2、SP-7)[16]

SP-1 SP-2 SP-7
全長 10.01 m 11.85 m 11.68 m
全幅 10.08 m 9.628 m 9.628 m
翼面積 20.6 m2 22.64 m2 22.64 m2
自重 N/A 4,010 kg 4,154 kg
離陸重量 5,038 kg N/A 6,280 kg
最大速度 1,080 km/h 1.109 km/h (高度3,000 m) 1,115 km/h (高度3,000 m)
実用上昇限度 16,000 m 15,200 m 14,500 m
航続距離 1,340 km 1,375 km 1,290 km
エンジン クリーモフ VK-1
遠心式ターボジェットエンジン ×1
クリーモフ VK-1F
遠心式ターボジェットエンジン ×1
クリーモフ VK-1A
遠心式ターボジェットエンジン ×1


脚注

参考文献

関連項目

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