Y-20 (航空機)
From Wikipedia, the free encyclopedia
設計
デザインは下反角のついた高翼配置、大型の単垂直尾翼、高水平尾翼配置の、輸送機としてはオーソドックスなものである。過去にアントノフと中国でAn-70をジェット化したAn-77を共同開発する計画があり[7]、胴体形状がAn-70に似ているのはそのためと思われる。中国網はY-20の性能を「総合性能はアメリカ空軍のC-17の60%のみだ。」としながらも、「Y-20の高い航続能力は、中国の戦略物資輸送能力に質的な飛躍をもたらした。中国人民解放軍空軍(中国空軍)はY-20の持つ高い性能により、より多くの軍事任務をこなすことができる。」としており、Y-20の開発、運用の経験がもたらすものは大きいとしている[8]。
プロトタイプのエンジンはIl-76と同じ、ロシア製のソロヴィヨーフ D-30KP-2(推力12トン)ターボファンエンジンを輸入してパイロン懸吊方式で4基装備している[9]。しかしD-30KPではやや推力不足であり、将来的に換装されるとみられている。候補としては国産のWS-20(推力12トン)とSF-A(推力13トン)が上がっており、2015年10月26日にはY-20の試作5号機に開発中のWS-20が搭載したと公表された[5][10]。しかし、WS-20に関しては出力不足という意見もある[11]。そのほか、ウクライナとのエンジン開発も用意されている[3]。
Y-20は、主翼に超臨界翼を採用し、複合材料の使用比率を高める可能性があるとしている。これにより軽量化を図り、上昇能力を強化し、揚抗比を高め、エンジンの推力と最大離陸重量を変更せずに、搭載量を増やすことが可能としている。ボーイング787のようにコックピットには全曲面ガラスを採用している[12]。
Y-20は貨物室の高さと幅をAn-70並の4メートル、貨物室の容積を320m2まで拡大し、今後輸送することになる大型貨物に対応するとしている[13]。
Y-20は生産・製造コストを抑えるため、いくつかの部品を3Dプリンターにより製造している。3Dプリンターによる大型部品を使用した輸送機はY-20が初めてである[14]。
運用
2020年4月24日、パキスタンの新型コロナウイルス対策を支援するためにパキスタンへ医療チームと物資を輸送した。Y-20が国外で輸送任務を行った初めての事例となる[15]。
2021年11月28日には、空中給油機型のY-20Uが2機のJ-16戦闘機の護衛を伴い、バシー海峡から台湾本島西側を飛行した[16]。2024年11月22日にも、Y-20Uが4機のJ-16を伴い沖縄本島と宮古島の間を往復し、J-16に空中給油を行っているのを航空自衛隊が確認した[17]。Y-20に空中給油機型が登場したことで、中国空軍は洋上での空中給油能力を得ることになったが、このことは台湾本島中央の高山地帯でレーダーの電波が遮られ大陸から「聖域」だった中華民国の東部を、中国空軍の軍用機が島を迂回して飛来することが可能になると指摘されている[16]。
派生型


- Y-20A
- D-30KP-2エンジン搭載の基本型。
- Y-20B
- WS-20エンジン搭載型[18]。
- YY-20 (Y-20U, YU-20, YY-20A)
- 推定90トンの燃料を輸送できる空中給油機型[19]。Il-78に似た役割とされている。空中給油機型として降着装置が再設計されている[19]。従来はY-20UあるいはYU-20[20]として知られていたが、2022年に名称がYY-20であると確認された[21][22]。D-30KP-2エンジンが搭載されていることから、Y-20Aと同様にYY-20Aと表記されることもある[23]。既存のH-6U/DU空中給油機と比べ給油可能量が倍増しており、中国空軍の空中給油能力を飛躍的に向上させたといわれる[19]。2026年3月には、AI支援システムが組み込まれたことで複数の給油対象機の燃料レベルなどをリアルタイムで把握できるようになり、運用能力が向上したことが公表された[24]。
- YY-20B
- YY-20のWS-20エンジン搭載型[19][25]。
- Y-20 AEW
- Y-20Bを基にした早期警戒管制機型[26]。KJ-2000の後継と見られることから、名称が「KJ-3000」になると推測している報道もある[27][28]。KJ-2000などと異なり、大型の回転式レドームを搭載しないと考えられている[29]。2024年後半に飛行中の画像が初公開され、2025年6月時点で飛行試験中とされる[26]。
- Y-20E
- 輸出型。2024年現在、ナイジェリアへ提案されていると報じられている[30]。